「ダウンタイム中のパンパンの顔をあえて公開する」歌舞伎町ホストたちが惜しげもなく配信する理由 | FRIDAYデジタル
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「ダウンタイム中のパンパンの顔をあえて公開する」歌舞伎町ホストたちが惜しげもなく配信する理由

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和6年、歌舞伎町はいま……第82回

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歌舞伎町では整形への後ろめたさがない。ある意味では先進的な街かもしれない
歌舞伎町では整形への後ろめたさがない。ある意味では先進的な街かもしれない

以前、本連載でホストクラブにおける整形の福利厚生について取り上げた。整形費用を稼ぐために夜の仕事を始める男女が増える中、接客業で整形のネックになるのが施術後の傷跡や腫(は)れが引くまでのDT(ダウンタイム)期間。売り上げがなければ給料のない夜職男女はどのように過ごしているのだろうか。

「マジで家に引きこもってますね。この一年、風俗か整形しかやってないかも」

そう話すマキコ(仮名・28)は主にパパ活と風俗の出稼ぎで生計を立てている。

「整形分と当面の生活費を稼いだら、手術する。終わったらまた働くの繰り返し。整形って終わりがなくて、少し直すと他にもやりたいところが出てくる。毎日自分の顔を見て、美容情報を見て、稼げる仕事を探して……DTの間はお客さんと連絡とりつつゆっくり過ごしてますね」

このように完全休業する女子は多いが、ホストたちはさらに商魂たくましい。

「TikTokとかYouTube用の撮影を主にしてます」

そう語るユキト(仮名・26)は去年、韓国で大規模な整形を敢行。すっきりした輪郭で売れっ子となっている。

「高校生の時、垢(あか)抜けなかったやつが、今こんなにイケメンで大金を稼いでるってストーリーがバズるんですよ。DT中のパンパンの顔もあえて公開すると、通常時とのギャップがあるんで跳(は)ねやすい。だから恥ずかしいというよりおいしいって気持ちで動画を撮ってますね。ライブ配信とかでも整形の質問がいっぱいくるんで、自分でやる勇気はないけど興味がある人が多いんだなと感じます」

ユキトのように整形中の様子を惜しげもなく公開するホストは珍しくない。なかにはDT中の自分の写真をLINEスタンプにして販売するホストもいるほどである。顔がパンパンでいまの自分と差があるほど、エンタメとして昇華されやすいのである。

DT中に出勤するホストも存在する。『TOP DANDY V(ファイブ)』に所属する善(25)は、現在年に1億円を売り上げるホストだが、売れるためにリスクを取り続けてきたという。

「鼻にギプスしながら自分のイベントのシャンパンタワーをやりましたね。初回とかはギプスが取れてから接客しましたが。もう関係性ができているお客様は僕の中身を見てくれているから、整形中で顔が腫れていても酒が飲めなくてもあまり影響がない。整形をしてからむしろ接客に自信が持てましたね。

『俺、身体に1000万課金してるけど?』って。1200万円の時計と900万円のバーキンも買ったんで、服とかアクセも合わせると毎日総額5000万円で歩いてる。嫌なことがあっても『まぁ俺歩く5000万だしなぁ』って思えるのでいいですよ」

以前は整形はひっそりと行い、なるべく隠しておくような空気感があったが、今の歌舞伎町にそんな概念は存在しない。むしろ、「整形代を出せるくらい稼いでいる」「自己投資ができる」「自分を磨いて成功している」といったポジティブなイメージを持たれることが多い。

そして、歌舞伎町には実際に整形によって容姿を整え、成功しているロールモデルが溢(あふ)れている。そのため、歌舞伎町に来るまでは容姿にコンプレックスもなく整形に興味がなかったにもかかわらず、売れている先輩や容姿に厳しい客と出会うことで悩みを持ち、整形を始める女性やホストも多いのだ。

ルッキズムと資本主義が密接につながっている街ならではの思考だろう。

『FRIDAY』2024年2月16日号より

  • 取材・文佐々木チワワ

    ’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では歌舞伎町を含む繁華街の社会学を研究している。『「ぴえん」という病 SNS世代の消費と承認』(扶桑社新書)が好評発売中

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