「観ていないテレビマンのほうが少ない」……『不適切にもほどがある!』が話題を独占している理由 | FRIDAYデジタル

「観ていないテレビマンのほうが少ない」……『不適切にもほどがある!』が話題を独占している理由

連載 スタッフは見た!週刊「テレビのウラ側」Inside story of Television

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阿部サダヲ(53)主演のドラマ、『不適切にもほどがある!』(TBS系)の第5話の世帯平均視聴率が8.3%と番組最高を記録。第1話の無料見逃し配信も400万回再生を超えるなど、冬ドラマの話題を独占している。

「放送前は″昭和ブームと流行りのタイムリープものをミックスした感じね″と、さほど注目されていませんでした。ところがいざ始まってみると『テレビ業界の共感と教訓が描かれていて考えさせられる』とたちまち話題になった。観ていないテレビマンのほうが少ないほど、業界視聴率が高い」(制作会社ディレクター)

阿部主演の『不適切にもほどがある!』は「あくまで1986年当時の常識や若者の感覚を忠実に再現しようとしたものです」とのテロップも話題
阿部主演の『不適切にもほどがある!』は「あくまで1986年当時の常識や若者の感覚を忠実に再現しようとしたものです」とのテロップも話題

第3話では山本耕史(47)演じる情報番組のプロデューサーが、コンプライアンスに縛られすぎてMCのありとあらゆる発言や演出にダメ出しをするというシーンが描かれたが、「全然、笑えませんでしたよ」とキー局プロデューサーは嘆く。

「正月番組の定番だった福笑いは″ブサイクを笑うルッキズムだ″とのことで不可。二人羽織も″両手が不自由な方を馬鹿にしていると思われる″という理由でNGになりました。″スイカ割り″などの目隠しをするゲームも″視覚障害者が不快な思いをするのでは?″という観点から目隠しに使う布やサングラスに目のイラストを入れることに……。『裸の大将』シリーズの山下清さんの吃音も、令和の今は放送にリスクが伴います」

昭和のテレビの定番、おっぱいポロリ系は完全にNG。令和のテレビ業界は下ネタにはとくに厳しいルールが課されているからだ。

「番組内で子供の出番がある場合、それがたとえ別のコーナーであっても、芸人が下ネタを話すような企画はNG。子役の親や保護者世代からのクレーム対策です。ただ、篠田麻里子(37)と小池徹平(38)の過激なラブシーンが話題のドラマ『離婚しない男ーサレ夫と悪嫁の騙し愛ー』(テレビ朝日系)の見逃し再生回数が絶好調なように、いつの世も下ネタにはニーズがある。『コンプライアンスをクリアしつつ、エロ企画をどう成立させるか?』が令和の大きな課題となっています」(前出・制作会社ディレクター)

NGの増加にはSNSの普及が関係している。「とくにファンをケアしている」と前出のプロデューサーは言う。

「アイドルや人気俳優が参加するゲームを企画したとします。負けた側が罰ゲームを受けると″可哀想だ″と局に批判が向かう。そこで、炎上を防ぐために考えだされたのが全員協力型のゲームです。勝ったらチーム全員でご褒美のスイーツを食べる、負けてもみんなで微笑ましい罰ゲームを受ける。苦肉の策ですよ」

コンプライアンス強化にメリットはないのか。ベテランの放送作家は「労働環境は良くなった」と指摘する。

「テレビ業界ではハラスメントが横行していましたからね。飲み会では男性若手スタッフは意味なく全員、裸にさせられていましたから。元お笑いコンビ『プラス・マイナス』の岩橋良昌(45)が、制作会社の社長にドッグフードや辛い粉を食べさせられた等と告発して話題になりました。彼の話が事実かどうかはさておき、かつてのテレビ業界なら、″あっても不思議じゃない″と思いました」

″不適切にもほどがある″のは、演出だけにとどめておくべきだろう。

FRIDAY2024322日号より

  • PHOTO中村和彦

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