「枕営業をしたら性病をうつされて…」酒の代わりに色恋枕……アルコールに頼れない10代ホストの苦悩 | FRIDAYデジタル

「枕営業をしたら性病をうつされて…」酒の代わりに色恋枕……アルコールに頼れない10代ホストの苦悩

現役慶應大生ライターが描くぴえんなリアル 令和6年、歌舞伎町はいま……第88回

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10代は酒の力に頼れない。だからこそ、ホストとしてのセンスと力量が問われる
10代は酒の力に頼れない。だからこそ、ホストとしてのセンスと力量が問われる

今年から大手ホストクラブでは売り掛けの自主規制が始まり、20歳未満の入店が禁止されているホストクラブも増加。

これにより10代の若い女性がホストに迷い込む……といったことは少なからず減るはずなのだが、18歳以上なら働くホスト側に規制はなく、今年も多くの「10代ホスト」が流入する見込みである。

10代ホストは接客中に酒が飲めない。その時点で他のホストよりも大きなディスアドバンテージを背負っているからか、「10代だけど売り上げを上げた」ホストは「10代1000万プレイヤー」などと呼ばれ、有名ホストとして扱われる。

「酒が飲めないので、先輩の卓のヘルプとかも難しいんですよ。単価が上がらないし、お客様に自分のためにノンアルコールドリンクをわざわざ注文してもらうことになる。仲良くない10代の喋(しゃべ)れないやつに数千円払いたい人は少ないので、トーク力がないとキツいですね。飲むことに逃げられない」

そう語る元10代ホストのアラタ(仮名・21)は20歳になる誕生月に初のナンバーワンの座を獲得したという。

「ぶっちゃけアフターとかバーでは飲みますが、ホストクラブでの飲酒は大手ほど客もキャストも厳しいんです。そんな中、ノンアルで頑張り続けて、20歳の誕生日は自分のお客様にも、先輩のお客様にもお祝いしてもらえて。死ぬほど飲まされて潰(つぶ)されました。コロナで成人式とかそんなに盛り上がらなかったので、僕の中の大事な思い出ですね。

あの頃は毎日コーラでお腹がタプタプでしんどかったですが、テキーラまみれの今よりはマシかもしれないです。でも酔っぱらってるほうが距離感の近い接客ができたりするし……どちらにも利点はあります」

「酒の力が借りられない」ことで苦労する10代ホストは多い。中にはこっそり飲酒をして接客する強者もいる。

筆者が出会った中で一番ぶっ飛んでいた10代ホストは香水のアトマイザーにテキーラを入れ、店のトイレで肛門に噴射し粘膜からアルコールを吸収していた。「飲んでいないから違法ではない」と言っていたが、あれが酔いからきた発想なのかシラフで思いついたのかは見当がつかない。

一昔前のホストクラブといえば新人はとにかく酒を強要されるイメージがあったが、現在は飲酒コンプライアンスが強化されている。一方で色恋営業や枕営業はとくに規制されていない。

「童貞でホストを始めたんですけど、お客さんがみんな僕の貞操を狙っている気がしてきて毎回怖かったですね」

そう苦笑するミナト(仮名・19)は男子校出身。大学進学後、モテない自分を変えたくてホストを始めたという。

「新人だから舐(な)められるうえに童貞。最初素直に話してたら、年上の女性客に指名してあげるからホテル行こうよ、って誘われたり。意を決してお金を使ってくれた女の子と枕をしたら性病をうつされて最悪でしたね。

先輩からも『若くて接客能力ないなら枕で客掴め』って言われてたんで、僕にとって新人時代のホストはほぼセックスワークに近かった。オナニーよりは多少気持ちいいかもしれないけど、何かを得るための労働って印象が抜けなくて。今はそんなに頑張らなくていいコンカフェに転職しました。

同じく童貞だった男子校の同級生たちが、大学ではっちゃけてヤリチンになってるのを見ると複雑な気持ちになりますね(苦笑)」

4月、全国から夢を抱いた若者が、新たにこの街に足を踏み入れる。

『FRIDAY』4月5・12日合併号より

  • PHOTO佐々木チワワ

    ’00年、東京生まれ。小学校から高校まで都内の一貫校に通った後、慶應義塾大に進学。15歳から歌舞伎町に通っており、幅広い人脈を持つ。大学では繁華街の社会学を研究していた。本連載をまとめた新刊『ホスト!立ちんぼ!トー横!オーバードーズな人たち』(講談社)が好評発売中

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