<h3><span class="strongInContent">会社の不正に気づき上司に報告・相談、「内部通報」⇒パワハラを受け、退職勧奨される</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>正しいことをした人が報われる世の中であってほしい――そう多くの人が思うことだろう。しかし、それがままならないことが現実にはある。</p>
<p>企業の不正について公益通報した後、仕事を干されるなどの不当な扱いを受け、訴訟を行っているのがX（旧Twitter）アカウント名「小林まる」さんだ。</p>
<p>小林さんは、外資系製薬会社・アレクシオンファーマ合同会社にMR（同社では希少疾病に特化した高度な知識を必要とするため、「MCC」と呼称）として’13年に入社した。</p>
<p>事の発端は、小林さんが入社直後に、発作性夜間ヘモグロビン尿症（PNH）を適応とする薬「ソリリス」に関する不正に気づいたこと。小林さんは上司に報告・相談、内部通報したが、パワハラを受け、退職勧奨される。そこから事態は悪化していく。</p>
<p><span class="strongInContent">「ソリリスに非典型溶血性尿毒症症候群（aHUS）の効能が追加された’13年９月以降は会社ぐるみで適応外患者さんにも自社製品の使用を促進する不適切なプロモーション活動をするようになりました。適応外使用促進は薬機法に違反する行為で、実際に適応外の患者さんの死亡が相次いだんです。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">この状況を憂慮した４つの医学会からは、安易な適応外使用をしないようにという注意喚起が出ましたが、会社は一時的に不適切な資材の使用を控えたのみで、すぐに再開、強化しました」</span><span class="strongInContent"> （小林さん、以下同）</span></p>
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<figure id="attachment_368058" aria-describedby="caption-attachment-368058" style="width: 3701px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f9031c5f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2024/04/46ed8ff7cb91b072835942da11a82b7b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-368058" class="wp-caption-text">アレクシオンファーマ合同会社は、アストラゼネカグループの希少疾患部門であるアレクシオン・アストラゼネカ・レア・ディジーズの日本法人（PHOTO:アフロ）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">アレクシオン日本法人に内部通報⇒内部通報が困難になる「確認書への署名」を要求される⇒米国親会社に内部通報</span></h3>
<p>顧客からのクレームもあったが、会社の対応は変わらず、小林さんは’16年３月にアレクシオンの日本法人に内部通報を行う。しかし、逆に内部通報が困難になる確認書への署名を要求された、小林さんは署名せずに、アレクシオンファーマシューティカルズ（米国親会社）に内部通報した。</p>
<p>その米国会社では第三者機関として、長島・大野・常松法律事務所に調査させると連絡してきたが、<span class="strongInContent">「調査とは名ばかりで、重大な不正を調査の範囲外とする調査結果でした」</span>。</p>
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<h3><span class="strongInContent">エスカレートするパワハラ⇒厚生労働省に「公益通報」</span></h3>
<p>そこからパワハラはエスカレートしたが、小林さんは適切な情報を得られずに適応外患者が死んでいくのを看過できず、’17年２月以降、厚生労働省に公益通報したという。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="厚生労働省による「行政指導」後に…"></div>
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<p><span class="strongInContent">「厚生労働省では何度か面談していただきましたが、最後の面談の時に職員の方から『行政が動けばあなたに不利益が生じる可能性がありますよ』と言われたんです。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">でも、私は『公益通報者保護法があります、不利益には自分で対処しますから不正を止めてください』とお願いしました」</span></p>
<p>その後も、会社の不正・小林さんへのパワハラは継続する。</p>
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<h3><span class="strongInContent">「労働審判」の申し立て、厚生労働省による「行政指導」⇒仕事を干される</span></h3>
<p>’18年８月に、小林さんは労働審判を申し立てる。その際に証拠として提出した日記には、会社の不正を克明に記録し、厳しく批判する記述がたくさんあり、厚生労働省の担当者と面談したことも書かれていた。’18年９月以降、業界紙『ミクスonline』がアレクシオンの不正を報道している。</p>
<p>そして翌月、厚生労働省がアレクシオンに文書による行政指導を行った。小林さんによると、<span class="strongInContent">「製薬会社の宣伝について、文書による行政指導が行われたのは、私の知る限り２社目」</span>という重大事だ。</p>
<p>さらに厚生労働省はその後、アレクシオンの本社に調査に入り、’19年２月にはアレクシオンにソリリスの添付文書改訂を指示する。</p>
<p>しかし、その直後、小林さんは配転させられたのだった。</p>
<p><span class="strongInContent">「私は’19年７月に配置転換無効訴訟を提訴しましたが、’20年からは仕事を干されるようになりました。さらに’20年８月に第２配転により、私１人だけの部署で仕事がない状態にされています」</span></p>
<p>たった１人の部署に配置され、仕事がないのだとしたら、配置転換の必要性はないと誰もが思うだろう。しかし、この配置転換無効確認訴訟は小林さんの敗訴となる。</p>
<p>「公益通報者保護法を本当に通報者を保護するものに改正しなければいけない、そうしないと私と同様のことが起こる」と感じた小林さんは、そこで「公益通報者保護法の改正」の署名活動を開始する。その一方、会社は昨年５月に小林さんの担当業務を完全にゼロにしたそうだ。</p>
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<p><span class="strongInContent">「これまでは１時間未満の仕事がありましたが、５月中旬以降は全く仕事がない状態です。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">いくらなんでもこれはひどいと思ったので、’21年より親会社になったアストラゼネカの内部通報窓口にアレクシオンファーマシューティカルズに不正を内部通報したが適切な対応をされなかったこと、仕事を干されていること等を内部通報しました。しかし、何の対策も取られませんでした」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p>そこで今年１月、小林さんはパワハラに関する損害賠償請求訴訟を提訴した。加えて、アストラゼネカと人事制度統合するとの理由で、管理職（シニアマネージャー、９等級）から一般職D（下から４番目）に降級され、基本給も下げられたことへの取り消しの訴えも検討中だという。</p>
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<p>■<a href="https://friday.kodansha.co.jp/article/368066" target="_blank" rel="noopener">後編</a>では、小林さんとともに声を上げた同僚たちの処遇、転職も難しい事態に追い込まれた現在の状況をお聞きします。</p>
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<p><a href="https://chng.it/F7S5WJzYNG" target="_blank" rel="noopener"><span class="strongInContent">■Change.org『製薬会社の公益通報者　公益通報者保護法の改正を！』</span>の詳細・署名はコチラから</a></p>
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田幸和歌子

企業の不正について公益通報した後、仕事を干されるなどの不当な扱いを受け、訴訟を行っているXアカウント名「小林まる」さん。小林さんは入社直後に、会社の不正に気づき上司に報告・相談、内部通報したが…。

「正しいことをしたはずなのに」内部通報・厚労省への公益通報で4年間続く仕事干し…MRの涙の訴え

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