<figure id="attachment_49473" aria-describedby="caption-attachment-49473" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e5c99c52"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/5bd81bdab7700a90bbe13b7dbbe14021.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49473" class="wp-caption-text">宮西尚生（みやにし・なおき）　’85年、兵庫県生まれ。関西学院大学から大学生・社会人3巡目で日ハムに入団。1年目から50試合以上に登板し、’16年と’18年には最優秀中継ぎ投手のタイトルを獲得。180㎝、79㎏</figcaption></figure>
「スポーツニュースで中継ぎ投手がクローズアップされるのは、抑えた場面ではなく打たれたケースがほとんど。抑えて当たり前だし、打たれれば目立つ。正直しんどいこともありますが、弱音を吐きたくありません。調子が悪かろうが相手が誰であろうが、『行け』と言われればすぐに肩を作り結果を出すだけです」
こう語るのは、日本ハムファイターズの中継ぎエース宮西尚生(33)だ。
昨季までのプロ通算11年で、入団以来毎年50試合以上の登板を記録。先発のマウンドには一度も立ったことがなく、これまでに積み上げたホールド数は309（5月28日現在）。世界記録の数字だ。
「ボクは速球が特別速いわけでも、変化球のキレがいいわけでもありません。球種もストレートとスライダーぐらいしかない。それでも抑えられるのは、一球一球リリースポイントやヒジの位置などを数㎜単位で変え、微妙に変化させているからです。普通は決まったフォームで投げないとケガをしますが、ボクのヒジは医者が驚くほど伸縮性が高いんですよ。負けん気も、人よりかなり強いと思います。根性で投げているんです」
負けん気の強さは子どもの頃からだ。エースだった市立尼崎高校（兵庫県）時代には、こんなエピソードがある。
「3年時の最後の県大会で、38度5分の熱を出してしまったんです。相手は強豪の報徳学園。ただ、戦う前にギブアップしたくなかった。監督にも高熱のことは言わず、試合前に病院へ行き点滴を打ってマウンドに上がりました。結果は8回を投げ7失点と散々なデキでしたが」
関西学院大学に進んだ宮西は、’07年に大学生・社会人3巡目（当時は高校生との分割ドラフト）で日ハムに入団。だが大場翔太（元ソフトバンク）や加藤幹典（元ヤクルト）ら、宮西と同じ大学日本代表に選ばれた同期生は全員1巡目の指名だった。
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<h1>気持ちが切れて「登板拒否」</h1>
「悔しかったですね。『絶対に同期を見返してやる』という気持ちでした。与えられたのは左のワンポイントという役割。中継ぎで投げるのは初めての経験でしたが、とにかく必死でした」
気持ちとは裏腹に、なかなか結果が残せない。1年目の成績は防御率4.37。救援に失敗し負け数も4つを数えた。象徴的だったのが、シーズン49試合目の登板となった楽天戦。3分の2回を投げ5失点と打ち込まれたのだ。
「もう感情を抑えきれず、降板後は『クソッ！』と怒鳴りロッカーの床に帽子を叩きつけてしまった。情けなくて、明け方まで眠れませんでした。それから10日以上登板なし。シーズン残り3試合となったロッテ戦で、ようやく『宮西、行くぞ』と声をかけられました。
しかし、あろうことかボクは『いや、いいっすよ』と登板を拒否したんです。気持ちが切れていたんですね。その時、厚澤（和幸）投手コーチが優しく諭してくれました。『この試合はオマエの野球人生で大きな意味を持つ。行っとけよ』と。ボクは9回2死から打者1人だけを抑えました。
この登板はシーズン50試合を投げさせようという、首脳陣の親心だったんです。ありがた味が身に染みました……。あの試合がなかったら、今のボクはいない。以後は、どんなことがあってもマウンドに上がろうと心に決めたんです」
’15年は、宮西の気持ちの真価が問われるシーズンとなった。オープン戦前の練習中に、左ヒジを故障したのだ。
「『バキバキバキ』と、自分でもヒジが壊れる音が聞こえました。すぐに病院に行くと、軟骨が剥(は)がれ遊離していた。医者からは、『すぐに手術が必要』と言われました。ただ栗山（英樹）監督は、ボクを『欠かせない存在』と信頼してくれています。『それなら意地でも1年間投げ切ったる』と、痛み止めの注射を打ちながら登板し続けました。手術を受けたのは、シーズン終了後の10月のことです」
気持ちが前面に出る宮西には、登板前のルーティンがある。
「何も考えず、トイレに5分間ぐらいこもるんです。冷静にならないと、相手打者の攻略法も考えつきませんから。打たれても、以前のように帽子を叩きつけるようなことはありません。ボクもベテランの域に達し、若手のお手本にならないといけないでしょう。気持ちは熱く、頭はクールな状態なのがベストです」
宮西の目標は前人未到の400ホールド。そして元中日の岩瀬仁紀が達成した、15年連続50試合以上の登板だ。
<figure id="attachment_49475" aria-describedby="caption-attachment-49475" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="189b8169"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/372b6d2fa6970c4de72b4376bda52a4f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49475" class="wp-caption-text">左のスリークォーターという変則フォームだ。一球一球投球間隔を変え、打者を翻弄するようにして投げる</figcaption></figure>
<figure id="attachment_49476" aria-describedby="caption-attachment-49476" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="169b880e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/05d2248a72fcc3c4c31d5cecbe15a2a5.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49476" class="wp-caption-text">’15年と’18年のオフに2度の手術をした左ヒジ。「ボクの身体は痛みに強い」と話すがキズ痕は生々しく残る</figcaption></figure>
<figure id="attachment_49477" aria-describedby="caption-attachment-49477" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="78d862bf"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/9ea8818dffd75d16744ed1c220b3d7e4.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49477" class="wp-caption-text">グラブに縫い込まれた「勇往邁進」の文字。高校時代の恩師・竹本修監督が好んだ言葉で、恐れることなく目標に向かい進めという意味</figcaption></figure>
<figure id="attachment_49479" aria-describedby="caption-attachment-49479" style="width: 667px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ea5a2828"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/945ae31c61cb3700d15c41335bc64dfe.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49479" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　日ハム・宮西尚生 スペシャルインタビュー　中継ぎで世界記録を作った「ど根性野球」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_49480" aria-describedby="caption-attachment-49480" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e035c46b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/41264703074caaa3900dfa5d6997953e.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49480" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　日ハム・宮西尚生 スペシャルインタビュー　中継ぎで世界記録を作った「ど根性野球」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_49481" aria-describedby="caption-attachment-49481" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6cc605e3"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/308779f64a4e139c93773edb2952f394.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49481" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　日ハム・宮西尚生 スペシャルインタビュー　中継ぎで世界記録を作った「ど根性野球」</figcaption></figure>
<figure id="attachment_49482" aria-describedby="caption-attachment-49482" style="width: 855px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1e46d0cc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/06/d46f2f5d76b900e2dcbb45fb221129d8.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-49482" class="wp-caption-text">本誌未掲載カット　日ハム・宮西尚生 スペシャルインタビュー　中継ぎで世界記録を作った「ど根性野球」</figcaption></figure>
『FRIDAY』2019年6月7日号より

黒瀬ミチオ

プロ通算11年で、入団以来毎年50試合以上の登板を記録。これまでに積み上げたホールド数は309（5月28日現在）。そんな日本ハムファイターズの中継ぎエース宮西尚生(33)へスペシャルインタビュー。

日ハム・宮西尚生　中継ぎで世界記録を作った「ど根性野球」

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