<figure id="attachment_60235" aria-describedby="caption-attachment-60235" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="405ff5a2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/3b0032e01607c2feab34a687b6e38929.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60235" class="wp-caption-text">阪神、ヤクルトにいたパリッシュと中島氏。パリッシュの大好物ワニ肉を提供する新宿のレストラン「アフリカ」にて</figcaption></figure>
打点王４回、本塁打王２回、首位打者１回獲得したアレックス・ラミレス。ヤクルト、近鉄を優勝に導いたチャーリー・マニエル。来日初年に本塁打と打率の２冠を獲得したジャック・ハウエル……。プロ野球ファンなら、誰でも知っている外国人レジェンドたちだ。彼らはいずれも、巨人やヤクルトで活躍でした国際スカウト中島国章氏（64）が発掘した助っ人である。中島氏は40年近くスカウトに携わり、かかわった外国人は100人以上。グラウンドだけでなく、私生活やプライベートの面倒も親身になってみていた。“名伯楽”中島氏が、優良助っ人たちの意外な素顔を明かす。
<h2>ホーナー「現金500万円を持ち歩きクラブをハシゴ」</h2>
‘87年にヤクルトへ入団したボブ・ホーナーは、ブレーブスでクリーンナップを打っていたバリバリのメジャーリーガーです。来日デビュー戦の阪神戦で初ホーマーを放つと、翌日には３本塁打を記録。メディアも「さすが本物の大リーガー」と絶賛します。
取材はどんどん過熱しました。彼のマンションには連日マスコミが押し寄せ、レストランに入ったら何を食べたのかまで調べる始末。ホーナーも、ストレスが溜まっていったのでしょう。私にこう言って、マスコミには完全に口を閉ざしてしまいました。
「もうボクから語ることはない。キミが好きなように話しておいてくれ」
もともと酒好きでしが、日本で酒量も増えた。遠征先では500万円の現金を持ち歩き、クラブを何軒もハシゴし泥酔。ホテルに戻っても収まりません。
「すべての部屋のビールを持って来い！」
こう叫んで、朝まで痛飲していました。
結局「地球のウラ側にはもう一つの野球があった」という名言を残し、ホーナーは１年で帰国してしまいます。ただ、決して日本が嫌いになったワケではありません。翌年限りでメジャーを引退後、私に次のように話していましたから。
「日本では大きなケガをしなくて良かった。（打率３割、30本塁打以上記録し）ヤクルトに迷惑をかけなくて良かったと今でも思っているよ」
環境になじめずともキッチリ結果を残したホーナーの態度に、本物のプロとはどういうものか教えてもらったような気がします。
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<h2>パリッシュ「美空ひばりの唄を聴き『米国に帰りたい……』」</h2>
「オレの好物はワニの肉だゼ」
こう公言していたのは、’89年にヤクルトで本塁打王となったラリー・パリッシュです。東京・新宿に「アフリカ」というレストランがあり、その店でパリッシュは好んでワニの肉をバクバク食べていました。
しかし豪快なイメージと違い素顔はナイーブ。日本の管理社会になじめなかったのか、酒が入るといつもホームシックになっていました。よく聴いていたのは、美空ひばりさんの「川の流れのように」です。言葉はわからなくても、哀愁漂うメロディに望郷の思いを募らせていたのでしょう。「米国に帰りたい……」と言ってシクシク泣いていた。結局ヤクルトでは２年目の契約をせず、帰国してしまいました
<h2>ペタジーニ「食事中も選手の前で奥さんとイチャイチャ」</h2>
‘99年にヤクルトへ入団した、ロベルト・ペタジーニの愛妻家ぶりには閉口しました。遠征先にも奥さんを帯同。常に行動をともにしていました。実はペタジーニの奥さんは自分の同級生の母親で、25歳も年上なんです。
私が最初に驚いたのは、来日初キャンプ中に行われたパーティでのこと。選手やコーチ陣が見ている前で、平気で奥さんとイチャつき始めたんです。スプーンでスープをすくい奥さんの口に運ぶ……。そんな姿を見て呆気にとられました。
ペタジーニの家へ遊びに行っても、とにかく“奥さんファースト”でした。ビールがなくなると、買い足しに行くのは奥さんではなく彼の役目。外出する時にはペタジーニが玄関でひざまずき、奥さんに靴を履かしてあげるんです。
一つ間違うとチームの和を乱しかねないペタジーニの愛妻家ぶりを救ったのは、当時の若松勉監督です。「仕事さえしっかりやってくれれば問題ない」と放任。もし管理色の濃い監督なら、ペタジーニも本塁打王を２回獲得できるほど活躍できなかったでしょう。
…………… 
中島氏によると、日本で成功する外国人選手の妻の多くは強くてたくましいという。異国で思い切り暴れるには、安定した家庭状況が不可欠なのだ。
<figure id="attachment_60237" aria-describedby="caption-attachment-60237" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b9e3d667"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/52655f1431ce18046ef7cb8c4c3b03f6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60237" class="wp-caption-text">「無愛想な外国人」「大酒飲み」とマスコミの評判は悪かったホーナー。帰国前には「親友へ」と書いたサイン入りの写真を中島氏に送っていた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_60239" aria-describedby="caption-attachment-60239" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="1ce490ae"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/88a35f2976cf65010ff2f8733b71765c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60239" class="wp-caption-text">ペタジーニ夫妻と中島氏。後列にいるのはヤクルト本社の社員だ。&#8217;00年代前半に都内の鉄板焼き店で撮影</figcaption></figure>
<figure id="attachment_60241" aria-describedby="caption-attachment-60241" style="width: 3888px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5211da5f"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/09fd913e9d26dd979a76577f453fb6a1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60241" class="wp-caption-text">左から&#8217;78年～&#8217;79年にヤクルトにヤクルトに在籍したヒルトン、中島氏、巨人の王貞治。&#8217;78年の巨人戦前に王のファンだったヒルトンのたっての願いで撮影</figcaption></figure>
<figure id="attachment_60243" aria-describedby="caption-attachment-60243" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="8abbe687"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/60c8816aab670a674bdd16e1c6ae2cf3.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60243" class="wp-caption-text">阪神時代、首位打者にも輝いたオマリーと。&#8217;96年のシーズン前、米国ユマでのヤクルトキャンプ中に撮影</figcaption></figure>
<figure id="attachment_60245" aria-describedby="caption-attachment-60245" style="width: 5184px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ec04d028"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/fef0dcb4d9136b024b7fcf35e013c82a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60245" class="wp-caption-text">&#8217;89年に放送されたテレビ番組「珍プレー好プレー」に出演した中島氏とパリッシュ（中央の２人）。左から２人目は阪神の掛布雅之、右から３人目は巨人の斎藤雅樹</figcaption></figure>
<figure id="attachment_60247" aria-describedby="caption-attachment-60247" style="width: 2816px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="15a975dc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/5e4b685e1e42247547865569063a98fa.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60247" class="wp-caption-text">ヤクルト時代に世話をしたラミレス（現ＤｅＮＡ監督）は恩返しにと、&#8217;09年オフに中島氏と３人の娘をカリブ海クルーズに招いた</figcaption></figure>
<figure id="attachment_60249" aria-describedby="caption-attachment-60249" style="width: 3456px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="13888acb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/08/6b7d3a837bfb99d87aad2025ebe5ad6a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-60249" class="wp-caption-text">ヤクルト、巨人で国際スカウトととして活躍した中島氏。100人以上の外国人獲得に携わり私生活の相談にも乗っていた</figcaption></figure>

'52年生まれ。'72年にセント・メリーズ・インターナショナル高等部卒業後、南海へ臨時通訳として入団。'73年にヤクルトへ。ラミレス、ペタジーニなどを獲得に貢献。'05年、巨人へ。'12年に退職。著書に『地球のウラ側にもうひとつの違う野球があった』（日之出出版）、『プロ野球　最強の助っ人論』（講談社）など

中島国章（なかじま・くにあき）

中島国章氏提供

ホーナー、パリッシュ、ペタジーニ……。一時代を築いた大物助っ人たちの知られざるプライベートを身近にいた元通訳兼国際スカウトが明かす。知られざるプロ野球の外国人選手史。

巨人、ヤクルトの元国際スカウトが語る「大物助っ人の意外な素顔」

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