堂本光一の新舞台「ナイツ・テイル」はココが凄い! | FRIDAYデジタル

堂本光一の新舞台「ナイツ・テイル」はココが凄い!

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日本のミュージカル単独主演回数の記録保持者がKinki Kids堂本光一であることをご存じだろうか? 18年に及ぶロングランで公演回数1630回という驚異の数字を叩き出し、今なお記録更新中なのが堂本主演の「Endless SHOCK」。その彼が同じく帝劇において新たに挑んでいるのが、7月27日から公演中のミュージカル「ナイツ・テイルー騎士物語ー」だ。そこでジャニヲタ歴25年のライター喜久坂 京がレポートする。 

帝国劇場で上演中のミュージカル「ナイツ・テイル―騎士物語―」の評判がかなりいい。主演はジャニーズの堂本光一と、ミュージカル界のプリンスこと井上芳雄。堂本光一と言えば、ミュージカル「Endless SHOCK」で、今なお日本のミュージカル同一演目単独主演回数を更新し続けている(現在1630回)。単純に彼がこの舞台で売り上げたチケット代金を概算してみよう(帝国劇場ほど座席数がない会場での上演もあるが、そこは無視する)。一回の公演で最低2200万円の売り上げとして、18年で約360億円。毎年平均20億円を売り上げていることになる。それでもチケットは即日完売。「日本で一番入手困難な舞台チケット」として、今もまだファンを魅了し続けているのだ。作中の曲には彼が手がけたものも複数あり、2005年からは演出も手がけ、08年には菊田一夫演劇大賞を受賞。「Endless SHOCK」は、堂本光一の代名詞とも言えるほどの演目だった。

そんな光一が、「Endless SHOCK」とはまったく違う作品で、帝国劇場に主演する――。演目は、シェイクスピアとジョン・フィッチャーの共作「二人の貴公子」をもとにした「ナイツ・テイル」。演出は、「レ・ミゼラブル」の演出により世界各地で数々の賞を受賞したジョン・ケアードだ。しかも、これがジョン・ケアード書き下ろしの、ワールドプレミアな作品になるという。豪華と言えば豪華だが、普通にしていても“客を呼べる”光一と井上芳雄が挑戦する価値のある作品になっているのか。実際に「ナイツ・テイル」を観るまでは、それらがどんな化学反応を起こすのか、イメージできずにいた。

だが結論から言うと、この日本で産声を上げたミュージカルは、思いの外素晴らしかった。古代ギリシャ時代にタイムスリップしたような演出の中、群衆から二人の騎士(アーサイトとパラモン)が登場したときは、その輝きに目を奪われた。まさに、“美しい!”としか形容できない存在感。輸入物のミュージカルを見るときは、タモリではないが、日本人が外国人になりきること、突然歌い出すことなどにどうしても違和感を覚えがちだが、「ナイツ・テイル」では、最初から堂本光一はアーサイトで、井上芳雄はパラモンだった。それも当然だろう。ジョン・ケアードは、彼らに役を“当て書き”したのだから。

ストーリー的にも、そこかしこに二人のアツい友情と騎士のプライドなど、これまた女子の大好物の“萌えポイント”が散りばめられており、「Endless SHOCK」のコウイチにも共通する若さゆえの危なっかしい振る舞いや、集中して張りつめた感じなど、すべてがアーサイトのキャラクターに活かされていた。そして、東京藝大卒のエリート・井上芳雄の卓越した技と、光一の華とハートと集中力。その対比により、お互いがお互いを引き立たせることが出来るのは、この2人の相性の良さだろう。似た者同士ではこうは行かないからだ。

ジャニヲタの性なのか、技の巧みさに浸るより、どうもハラハラしながら見守るほうを選んでしまう。善くも悪くも、アイドルとしての“危うさ”や“儚さ”は、人目を引くというものだ。“綺麗”でも“カッコいい”でも“端正”でもなく、ましてや“華やか”でも“ゴージャス”でも“セクシー”でもなく、ただただ人間の美しさに酔いしれる。現代の日本で、ステージに登場した瞬間に、観る者を非日常空間に連れて行くことができるエンターティナー。それが、堂本光一である。結局、今回の舞台でも筆者の目は光一に釘付けになっていた。観終わった後も、ずっと頭の中で音楽が鳴り続け、心が浮き立った。オペラや歌舞伎も含めて、ジャニーズ以外の舞台もかなり観ているほうだが、一つの舞台を観て、こんなに心が浮き立ったのは久しぶりだ。

 「ナイツ・テイル―騎士物語―」は、間違いなく、光一と井上の代表作になるはず。評判を聞きつけた演劇関係者が世界中からやってきて、「我が国でも是非上演させてほしい」とオファーしていてもおかしくない。そのくらい作品としてのクオリティが高い。

 でも、この作品が実現したのは、この二人の出演ありきだ。「光一さんが出演するなら!」と、無条件でチケットを買うファンが何万人もいると制作側が踏んだからこそ、潤沢な予算の中で、新しいミュージカルが生まれたと言える。

 

勢い任せにパンフレットを購入したら2800円もした(小さな劇団なら舞台一本観られる値段だ) 

 

 ジャニーズの中でも、とくに金払いのいいファンを多く抱えているのが、嵐の大野智と堂本光一。そして、今はジャニーズではないが、元KAT-TUNの赤西仁である。この3人が掲載された雑誌が売れることは、雑誌関係者の中ではよく知られていたし、ソロ活動をしたときなどは、チケットが入手困難になる率が格段に高かった。3人に共通点は特にないのだけれど、それぞれの濃いファンに、「どうしてそんなに光一くん(あるいは大野くん、仁くん)が好きなの?」と質問すれば、そのファンはきっとこう言うだろう。「生で見ればそのすごさがわかる」と――。たしかに、嵐の大野は、バラエティなどではぼんやりキャラだが、コンサートではその歌声の美しさ、ダンスのグルーヴ感など、アーティスティックな才能はジャニーズの中でも飛び抜けている。赤西仁も、KAT-TUNに所属していた時代から、特別な美と才能の持ち主であることは誰もが認めるところだった。光一の場合は、「SHOCK」という舞台で、命を削るような渾身のパフォーマンスを連日こなしていることが超人的であり、その自身の代表作を連日ブラッシュアップしている精神に、拝みたくなるような有り難さを感じてしまうのだ。

 今回の「ナイツ・テイル」の成功を見ると、ジャニーズのファンというのが、好きなタレントにお金を払うことで、芸術家に資金提供する貴族のような、“スポンサー”としての役割を果たしているようにも思える。美(ファンタジー)か才能(リアル)か成長(ストーリー)。その3つのうちのいずれかを自分の肉眼で確かめたくて、ジャニヲタは、せっせとコンサートや舞台にお金を払うのかもしれない。そして、堂本光一ほど、ファンタジックな美しさで観る側を魅了することができるアイドルは、他にいないのである。バラエティやコンサートでは毒舌キャラだが、一度舞台に立てば、瞬時に騎士にも王子にもなれる。その非日常への跳躍力こそが、彼のもつ魔力。その非日常力に、日常に疲れた女子は癒されるのだ。 

 これだから、ジャニヲタはやめられない。

 

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  • 文・撮影喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。広くジャニーズの素晴らしさを知ってほしいと思い、FRIDAY デジタルにジャニーズのコラムを寄稿することに

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