約束は15分で反故に…芸能レポーターが羽賀研二に「騙された夜」

＜芸能リポーター・石川敏男の芸能界”あの出来事のウラ側は……”⑦＞

「大丈夫ですから。今日はどこのマスコミにも会いませんから。石川さんの番組だけです」

と、口約束してタレントの羽賀研二さんと別れて15分。番組スタッフから、

「羽賀とどんな話をしたのですか。羽賀は、マスコミ各社に“0時30分に赤坂のTBSの坂にいます”と連絡をしている」

と電話が入った。青天の霹靂だ。オレは11時半まで、彼と新宿、原宿と飲み歩いたのに、だ。

95年のことだ。当時は羽賀さんとタレントの梅宮アンナさんの交際が世間をにぎわしており、番組では、この日の昼間に羽賀さんを直撃インタビュー。アンナさんとの現状を独占取材していた。

「他の番組にも喋られたら元も子もない」と考えた番組芸能デスクが、オレに、羽賀さんとの深夜までの接待を要求した。

しかし、その夜、突然、別のニュースが飛び込んできた。『ニュースステーション』（テレビ朝日系）のキャスターを務める小宮悦子さんが、結婚を発表するという。

スタッフからは「いまなら小宮さんの会見に間に合いますから、行っていただければ」と電話が来たのは午後11時。“誠意大将軍”と自分で名乗ってきた彼に、事情を説明して「今夜は、どのマスコミにも会わないでくれ」と、約束を取り付け、その場を離れることになった。

「もちろん会いませんよ。石川さんとの友情ですから」と言った彼が、結局はマスコミ各社に電話していた。オレと別れて、たった15分で約束を破ったのだ。元々、オレも番組デスクも彼を信用はしてはいなかったが、舌が乾かないうちに取った彼の行動に呆れたね。

アンナさんのお父さん・梅宮辰夫さんも彼の饒舌な話術に何度も騙されてきたのだろう。

こんなこともあった。沖縄・北谷で羽賀さんがお店をオープンする前日、梅宮さん夫妻も彼から招待されていた。彼には“借金問題”で何度も泣かされてきた梅宮さんだが、“愛する娘に恥はかかせられない”という思いと“多くのマスコミも駆けつけているし”という思いもあったに違いない。

だが、当日、開店直前になって、またまた金銭トラブルが発覚する。羽賀さんの契約問題で店がオープンできないという。

梅宮さんは、娘のために、その場で借用書を書くことになる。その額は４千万円だったと聞いた。

羽賀さんとアンナさんは、両親や周囲の反対を押し切り交際をスタートさせた。アンナさんが、彼にベタ惚れだったのは見ていて分かった。

交際当初は「ペアヌード写真集」も発売し、茶の間から“バカップル”という称号ももらうことになったが、‘99年の春、二人は突然別れることになった。彼に二股疑惑が発覚する。アンナさんがいながらグラビアアイドルとの恋が発覚したのだ。

散々お金で苦労させられたアンナさんは、羽賀さんの誠意のなさにやっと気が付き、別れる決意をする。

４年間の交際だったが、この別れで彼女は、羽賀さんの保証人になった約８千万円の借金を被ることになった。しかし、破局で一番ほっとしたのは梅宮さんだったのろう。

そして、羽賀の金銭問題は、どんどんエスカレートするし、事件になっていく。未公開株を知人に不当な額で売り付け、返済を求めた債権者（知人）に暴力団系仲間とともに脅し恐喝未遂事件を起こし逮捕される。

この裁判は、最高裁まで行ったが、懲役６年の判決を受けて沖縄刑務所に服役する。株購入代金の返済を求める民事訴訟を起こされた彼は、妻と離婚し、所有する16の物件不動産をすべて元妻に譲渡してしまう。

偽装離婚、強制執行妨害で彼と元妻が逮捕され、今年３月に羽賀さんに懲役１年６か月、元妻に懲役１年６か月執行猶予３年の判決が言い渡されたが、羽賀さんは、判決を不服として控訴している。

あの「いいとも青年隊」で、芸能界にデビューしたのは21歳。それからの39年、羽賀さんは女性スキャンダルと金銭トラブル中心の芸能生活だったような気がするな……。