テレビ各局の“散歩番組”が増え続けるのはなぜか…その背景 | FRIDAYデジタル

テレビ各局の“散歩番組”が増え続けるのはなぜか…その背景

テレビを見る側にも、作る側にもメリットがあった!

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テレビ朝日の『じゅん散歩』で街をテクテク歩いている高田純次(中央)

週末になるとつい見てしまうテレビ番組といえば、ドラマ『赤い霊柩車』シリーズ(フジテレビ系)の再放送が定番だと思っていたけれど、時代は変化していた。ふとラテ欄を見ると、片平なぎさと神田正輝の名前は消えて、散歩番組が各局に並んでいることに気づく。

コロナ禍により、各局のロケが非常に厳しいという話を聞く。うまい店を回れば「外食ができない時期なのに」と怒られて、楽しそうなロケをしていれば「不謹慎だ」と視聴者から揶揄される。こんな状況にもかかわらず、散歩番組がまるで散歩の速度のようにゆっくりと数を増やしている。それは一体なぜなのだろうか? テレビオタクの脳内にストックされたデータを掘り起こして考えてみた。

フジテレビ、圧倒的な散歩番組の多さを誇る

全ての番組を掲載すると、それだけでこのコラムが終わってしまうという惨事になりそうだ。なので、代表的だと思われる番組をピックアップ。

・ブラタモリ(NHK総合・土曜、19:30)
・じゅん散歩(テレビ朝日系・月〜金曜、9:55)
・ぶらり途中下車の旅(日本テレビ系・土曜9:25)
・モヤモヤさまぁ〜ず(テレビ東京系・日曜18:30)
・国分太一のお気楽さんぽ~Happy Go Lucky~(フジテレビ系・月〜金曜、11:25)
・有吉くんの正直さんぽ(フジテレビ系・隔週土曜12:00)
・なりゆき街道旅(フジテレビ系・日曜12:00)

並べてみると、フジテレビの散歩番組に対する気合が伝わってきた。もちろん、番組はこれだけではない。路線バスや電車を使って移動するなど、旅番組というカテゴライズで見ると、約30番組が放送されている。どの番組もワンクールで消えることはなく、長寿番組として続いているのだから優等生だ。

ではなぜ増えるのかと視聴者目線でたどると「著名人の突撃アポ取りが通常演出になったこと」が挙げられる。誰が始めたのかは定かではないけれど、最近のロケでは人気アイドルも普通にアポを取っている。「やらせじゃないの〜?」と思っていたけれど、取材中に某タレントさんに聞いたらガチでやっているらしい。これならスタッフの仕込み負担も減るし、何より面白い。私は突撃アポで、著名人の敬語使いをチェックするのが好きだ。二重敬語になっているのを発見するのも面白いけれど、その人の度胸や対応力も垣間見ることができる……などと言っている自分の性格が、嫌味っぽい自覚はある。

全年代を網羅する人気と、ゆるさと、コスパと

「ながら見をできる緩さがある」。これも魅力だ。放送時間を見ていると、週末であること、お昼前後であることが多い。社会人であれば昨日の二日酔いを引きずりながら、ちびっ子なら母親お手製のランチを食べながら。老人になるとランチは早いはずなので、食べ終わっていてまったりと。

つまり日本のほとんどが、腑抜け状態になっているほんわかした放送帯。特に誰が見るわけでもないのに、テレビがついている時間帯。そんなときにゆるゆると散歩をしていたら、つい見てしまう。ゴールデンのバラエティ番組に見られるような「笑うぜ!」という気合がいらない。

そしてロケ番組を見ている醍醐味と言っていい「行きたい、知りたい店やもしくは地元が登場する」。散歩番組には、たくさんの芸能人が出演しているけれど今をときめくアイドルは少なく、ほどよいベテランタレントがキャスティングされている。これがいい。ロケ中の交通整理も必要がないし、話題の店も撮影に行っているので、外食をするときの参考になるという食べログ要素がある。

加えて、知っている店が出ると「おっ」と思うし、田舎にロケが来ようものなら市民、郡民は喜びの舞である。私の地元・静岡県浜松市に『バナナマンのせっかくグルメ!!』(T B S系)が登場した話は、放送から約半年経過した今でも友人から「見た?」と聞かれているほどだ。

あとはコロナ禍で非常に役に立ったと思うけど「放送内容に既視感がない」。熱血ファンでもない限り、放送内容を凝視していることはない。でも放送内容は常に歩くか、食べるか、もしくは遊ぶかのルーティーン。そんなゆる映像なので何度見ても同じ放送回には見えないという利点がある。

おそらく3〜4年は繰り返し放送をしても既視感はなく、保存が効く。昨年、緊急事態宣言が最初に発令された時にも、過去作を放送していたテレビ局もあったし、最近でも放送されている。

と、ここまで散歩番組がなぜ増えるのか理由を並べてみた。何度もリサイクルできるし、親近感もあるし、年代問わずファンが多い……となれば、番組としてはコスパがいい。そんな番組であれば、増えるのはわかるし、長寿番組が多いこともうなずける。

しばらくはまだ自粛とやらが求められるらしいので、散歩番組でせめて行った気分になっておくとするか。

  • 小林久乃

    エッセイスト、ライター、編集者、クリエイティブディレクター、撮影コーディネーターなど。エンタメやカルチャー分野に強く、ウエブや雑誌媒体にて連載記事を多数持つ。企画、編集、執筆を手がけた単行本は100冊を超え、中には15万部を超えるベストセラーも。静岡県浜松市出身、正々堂々の独身。女性の意識改革をライトに提案したエッセイ『結婚してもしなくてもうるわしきかな人生』(KKベストセラーズ刊)が好評発売中。

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