元マル暴刑事&暴力団幹部らが明かす「ヤクザと刺青」の意外な秘話 | FRIDAYデジタル

元マル暴刑事&暴力団幹部らが明かす「ヤクザと刺青」の意外な秘話

なぜヤクザは刺青を入れるのか。警察当局の幹部、当事者の暴力団員たちが語り尽くす

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暴力団と刺青は切っても切れない関係にある(写真はイメージです)

ファッションの一部として若者の間でタトゥーが流行している。タトゥーは暴力団組員らが背中に入れている刺青とは違うものだが、国内では反社会的勢力のイメージがぬぐえない。近年でも人気のボクシング選手が、リング上でタトゥーを隠さずに試合に臨んだことが問題視されたこともある。

タトゥーと違い、暴力団幹部らが背中に入れている刺青は和彫りとも呼ばれることがある。デザインには竜や鯉、観音像などが好まれるという。理由は、「昇り竜」「鯉の滝登り」など上昇志向や出世を意識したためとの指摘もある。刺青を入れる理由として、ある暴力団幹部は、「カタギ(一般)の社会と決別し、ヤクザとしての人生を進むため」と理由を説明する。

ただ、一部の暴力団幹部によると、刺青を入れていないが、業界では名が知れた大物組長もいて伝統的な習慣と言っても人それぞれ、さまざまだ。暴力団に特有の刺青とされるが、ある警察当局の幹部は、「汚職事件で逮捕した首長の背中に立派な刺青が入っていて非常に驚いたことがあった」とのエピソードを明かした。

「刺青の展覧会」とは

刺青は肌を針で傷つけながら着色料で指定のデザインを描いて行くことになる。このため当然ながら非常に痛みを伴うものとなる。背中全面に刺青を入れている暴力団幹部がこの激痛について語る。

「刺青を入れる際の痛みは我慢の限界に近いぐらいだった。1日に2時間ぐらいで、1週間に2、3日ぐらいが限度。人によっては、刺青を入れた後に熱が出て寝込んでしまうケースもあると聞いた」

暴力団幹部が入れるいわゆる和彫りだけでなくタトゥーは若者を中心に人気なため、「タトゥーを入れる彫師は、若いお客さんが多くてかなり忙しいらしい」(前出の暴力団幹部)という。

首都圏で活動している別の古参の暴力団幹部は、「刑務所の風呂はヤクザの刺青の展覧会のようなものだ」といった話を披露する。「刑務所の風呂では当然、全員が全裸になる。服役しているヤクザも少なからずいる。背中全体に立派な刺青を入れているのもいれば、上半身の一部というのもいる。刺青はすぐに目に留まる」

刺青を入れるヤクザ、入れないヤクザ

多くの暴力団幹部らが刺青を入れているなか、この暴力団の古参幹部が「意外だった」と感じたエピソードを明かす。

「ヤクザの業界では誰もが知るような大物組長が(刑務所に)入ってくるという噂が流れた。実際にその組長が来たために、風呂で見たら、刺青がなくきれいな背中をしていた。意外だと思ったが、やはり誰もが知る大物らしく刺青が入っているかどうかではなく、風格があった」

それと同時に暴力団幹部ではなくとも、「カタギでも同様に風格があり、一目置かれる人物がいるのも確かなことだ」とも語る。

「刑務所内では古株のボス格から新入りまで自然と序列が出来上がってくる。寝起きする雑居房は7~8人という場合もあるが、ヤクザとはまったく関係のないカタギの人でも漂う風格があって、それなりの扱いを受けるということがある。当然、カタギだから刺青はない」

こうしたコメントに対して長年、暴力団犯罪の捜査を続けてきた警察当局のベテラン幹部は、「ヤクザであろうとカタギであろうと、それなりの人物には器量というものが備わっているということではないか。刺青を入れているヤクザは多いが、そうではないヤクザもいる。刺青があれば立派なヤクザという訳ではない」と解説する。

元マル暴刑事の櫻井裕一氏。多くの暴力団組員の刺青を撮影してきた

首長を逮捕してみたら……

警察組織には暴力団犯罪などを専門に捜査する部署がある。例えば警視庁であれば組織犯罪対策部組織犯罪対策4課が捜査にあたっている。組対部は通称で「ソタイ」と呼ばれ、組対4課は縮めて「ヨンカ」との略称で警察、暴力団双方の業界で通っている。

警視庁組対部などで40年近くにわたり暴力団犯罪捜査に携わり、このほど「マル暴 警視庁暴力団担当刑事」(小学館新書)を上梓した櫻井裕一氏は在職時を振り返り、「4課というのはヤクザが相手だったら、どんな罪名でも事件化する。当時は『4課ブランド』と言っていた。オレは4課なのだというプライドを叩きこまれた」と話す。

主に暴力団を相手にする組対4課とは別に、政治家の選挙違反や公務員の汚職、詐欺、横領などの知能犯を捜査する刑事部捜査2課という部署がある。この捜査2課などで長年、知能犯捜査に従事してきた捜査幹部OBが「特異な体験」について語る。

「ある業者に便宜を図って賄賂を受け取っていた首長を収賄容疑で逮捕した。逮捕後の手続きとして、身体特徴を確認するために上半身の服を脱いでもらったら背中に立派な刺青が入っていた。これには当時の捜査員、みなが驚いた」

この首長は元ヤクザだったという顛末だった。前出の捜査幹部OBは「長年の捜査経験のなかでも、これは本当に特異な体験だった」と明かした。

  • 取材・文尾島正洋

    ノンフィクションライター。産経新聞社で警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブ、国税庁記者クラブなどを担当し、フリーに。著書に『総会屋とバブル』(文春新書)

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