「理解できない」…落合氏が新庄監督を批判した意外すぎる真意
「あれじゃ、選手がかわいそう。選手は優勝するためにプレーしているんだから。給料を上げるために一所懸命やっている。それにストップかけちゃ、モチベーションが上がらないでしょう。理解できなかったね」
日本ハムの新庄剛志監督(50)を、こう批判したのは元中日監督の落合博満氏(68)だ。3月6日に行われた、日ハム対巨人のオープン戦。テレビ解説を務めた落合氏は、新庄監督の「優勝なんか目指さない」という発言に対し「喝!」を入れた。
さらにレギュラーを固定せず、日替わりでスタメンを決めていることに関してはーー。
「う~ん。主力がそろそろ出始めるからね。今までレギュラーだった選手がシーズンに入ってスタメンから外されたら、どうしてだろうと不信感を持つとも限らないでしょう」
とチクリ。選手より、監督のパフォーマンスが目立っているという指摘にーー。
「監督なんだから、好きにやればイイんじゃないですか。それしか言いようがない。今まで誰もしなかったことを、やりたいんでしょう。シーズン終わって結果がどうか、その評価だけ。それまでは自分のやりたいようにやればイイ」
2人の意外な共通項
ちょっと突き放した、冷たい印象も受けるコメント。もしかして落合氏は、新庄監督が嫌いなのでは? しかし、両者には共通する点が多いという指摘もある。
「新庄さんも落合さんもプロでの正式な指導経験がなく、監督就任時は『この人で大丈夫か』という疑問の声が多くありましたからね。明るい新庄さんと独自理論で寡黙な落合さんではタイプが違いますが、下馬評は決して高くなかったんです。低評価を覆し、落合さんは04年に中日の監督に就任すると、いきなりリーグ優勝を果たします。新庄さんも、ひょっとしたら……。
周囲が驚く、突飛な行動に出るのも似ている。落合さんは監督に就任すると、キャンプ初日に異例の紅白戦を開催。前年まで3年間白星どころか1軍のマウンドにさえ立っていなかった川崎憲次郎を、開幕投手に抜擢しています。その後も不動の二遊間と言われた荒木雅博と井端弘和のポジションを入れ替えるなど、ファンを驚愕させた采配は新庄さんに通じるでしょう」(スポーツ紙担当記者)
はたして、落合氏の「新庄批判」の真意は……。背景には、意外なメッセージが込められているようだ。
「激励ですよ。落合さんは、常識にとらわれない新庄さんを評価しているんだと思います。落合さんは、自分が認めない人物は無視。談話を残しても、一言二言とそっけないものです。一方、期待する人間に対しては一度突き放したようなコメントをしますからね。
落合さんを描いたノンフィクション『嫌われた監督』によると、主力に成長してもらいたい森野将彦の守備力を上げるためには、こうハッパをかけたそうです。『もう限界だと思ったらグラブを外せ。外せばオレはそれ以上ノックを打たない。それが終わりの合図だ』と。ポジションを変えられた井端への言葉です。『監督から嫌われても、使わざるを得ないような選手になれよ』。
一見、冷たい物言いで相手の反応を見ているんです。森野も井端も、落合さんの言葉に発奮し一流選手になりました。新庄監督にも、ここまで突っ込んだコメントをするのは期待の表れでしょう。今はメディアに連日取り上げられていますが、『天狗にならずガンバレよ』という落合さん流のメッセージだと感じました」(同前)
新庄監督にボールを投げた形の落合氏。「嫌われた監督」の辛口批評を、ビッグボスはどう捉えるだろうか。
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- 写真:共同通信社 時事通信社 ロイター/アフロ