<figure id="attachment_269630" aria-describedby="caption-attachment-269630" style="width: 2453px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="e0d4a432"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/10000000000000087865_20221013215448089198_P220722000015.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-269630" class="wp-caption-text">二軍戦で指揮を執る平田勝男氏（写真：産経新聞社）</figcaption></figure>
<p>プロ野球セ・リーグではクライマックスシリーズ（CS）でDeNAを破った阪神がヤクルトと日本シリーズ進出を懸けたファイナルステージで激闘を繰り広げている。阪神が敗退した瞬間、今年の春季キャンプ開始前日の１月31日に今季限りでの退任を明言した矢野燿大監督（53）の政権が終わりを告げ、次期監督に内定している岡田彰布・元監督（64）が速やかに再登板することになる。</p>
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<h3>阪神球団内では「平田新監督」で一本化していたが……</h3>
<p>前代未聞のキャンプ前日の退任表明という奇手が裏目に出て、開幕９連敗というリーグ＆プロ野球史に残るワースト記録を樹立した阪神。チームの立て直しを託された岡田氏は2004年から2008年まで指揮を執り、2005年に阪神にとって22年時点で最後のリーグ優勝をもたらした生え抜きの元指揮官でもある。</p>
<p>親会社グループの総帥でもある角和夫・阪急阪神ホールディングス会長（73）と５月にゴルフで同席。当時最下位に低迷していた球団の、来季に向けた立て直し策を献じたことも報じられた。角会長と岡田氏は同じ早大出身で交友もあり、以前から再登板への意欲もみせていた。このまますんなりと決まるかに見えたが、監督就任を巡るドタバタが骨髄に染みて十八番となっている阪神では、そうは問屋が卸さなかった。そう、元々岡田氏は阪神電鉄の意中の人ではなかったのだ。</p>
<p>当初は第35代阪神監督の座に就くのは平田勝男二軍監督（63）とみられていた。阪神担当記者は<span class="strongInContent">「９月上旬の時点では阪神電鉄と球団内では平田氏に一本化していた。後は角会長の了承を取り付ける段階まで進んでいたが、その角会長が首を縦に振らなかった」</span>と明かす。</p>
<p>2019年から二軍の指揮を執る平田氏は、現役時代はゴールデングラブ賞４回の守備の名手として知られ、1985年の日本一メンバーでもある。1994年の現役引退後は評論家を経て1997年に一軍内野守備コーチとして現場復帰。2002年に明大の先輩でもある星野仙一氏の監督就任に際してコーチから監督専属広報兼運転手に転身した。星野氏の側近中の側近としてかわいがられ、薫陶を受けている。2004年からは星野氏から政権を引き継いだ岡田氏のもとで一軍ヘッドコーチに就任し、2006年から2010年秋に退団するまでは二軍監督と要職を務めた。岡田新政権では一軍ヘッドコーチを務めることが内定している。「２番手としてベンチに残したあたりに球団のせめてもの抵抗がみえる」とスポーツ紙デスク。</p>
<p>先の記者は「星野氏を監督に招聘した時点で、球団は平田氏を将来の幹部候補の一人として見ていたことが伺えます。指導者としては関西の独特のメディア文化も熟知している。経験に不足のない、まさにたたき上げの人材といえる」と解説する。球団が推したかった理由はそれだけではない。</p>
<p>球団が岡田氏の再登板を嫌った理由として、前政権時のトラウマがあるというのだ。岡田氏が前政権を執った05年前後は巨人・原辰徳監督や落合博満氏など、編成権や広報活動を含めた全権を掌握した監督を戴くチームがリーグを席巻。岡田氏も同様だった。</p>
<p>「岡田氏は星野氏と同様にフロントの補強にも口を出していたし、『予算はどうとでもなる。現場の意見が最優先されるべきだ』という姿勢は球団フロントの反発を買った」と同記者は語る。</p>
<p><span class="strongInContent">「『勝てるかもしれないが、とにかくカネがかかる』というのです。しかも巨人と中日が強くて岡田監督自身の２度目の優勝までは届かなかったために埋没した面は否めない」</span>と徐々に評価を下げていった。2008年に一時は２位に13ゲーム差と独走からV逸した責任を取り辞任。2010年からオリックスの編成権やメディア対応など、全権を握って監督を３年間務めたが、５位、４位、最下位とBクラスに低迷し続けたことも評価を下げる一因になっていたが、球団の藤原崇起オーナー（70、阪神電鉄代表取締役会長）が９月16日に角会長と会談を持ち、最終決断。<br>
<span class="strongInContent">「藤原オーナーは最後の最後まで粘ったようだが角会長の意思が強かった」</span>と先の記者は明かす。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="阪急と阪神の力関係"></div>
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<figure id="attachment_269631" aria-describedby="caption-attachment-269631" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b5e7c42a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/10/10000000000000087864_20221013215118015275_P120306021369.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-269631" class="wp-caption-text">2004年、当時の岡田監督と平田ヘッドコーチ（左）</figcaption></figure>
<p>平田氏は広報まで経験した多彩な経験の持ち主。球団フロントが制御しやすいという側面でも岡田氏よりも優先されていたが、時計の針を巻き戻してでも勝利を求める決断を下したということになる。戦前の1935年に阪神、翌36年に阪急がチームを発足。ともに歴史は古いが、プロ野球界における阪神の人気、知名度は阪急と比べると抜群だった。しかし2006年に阪急ホールディングスが、阪神電気鉄道の株式を取得し、その経営権を取得したあたりから立場は“逆転”した。</p>
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<p>事実、2015年に就任した金本知憲元監督が2018年に矢野監督に政権交代するときも、シーズン途中までは阪神球団の方針は「金本続投」だった。しかしこの年、最下位に終わったことも影響したのか、親会社の阪急側が「NO」を突き付け、二軍監督だった矢野監督が就任した経緯がある。つまり、人事における発言力は阪急側の方が優位なのだ。</p>
<p>そんな過去の経緯も考えて岡田氏が阪急HDの決定権のあるトップと「距離」を近づけていたなら一枚上手だったかもしれないが、筆頭候補から外れた平田氏も一軍監督の参謀役におさまり、「暗闘」は終わりを告げた。</p>
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<p>こうした背景は阪神担当記者も承知していたが、広報担当者から代表幹事社を通じて「人事を書いたら出禁」のLINEが送りつけられたことで各紙は身動きが取れなくなっていた。</p>
<p><span class="strongInContent">「『報道協力のお願い』という題名で優勝の可能性がなくなった後でもCS進出の可能性がある限り、監督やコーチ人事に関する報道は自粛せよ、という内容でした。『球団からの協力依頼に応じない場合、無期限で一切の報道協力を行わない』といい、その例として『球団からの情報配信停止（プレスリリース・幹事連絡等）』、『チーム関係の取材不可（代表囲み取材、会見等への参加不可）』、『インタビュー・イベント等の協力見合わせ』と書き連ねてあった。つまり人事を報じれば事実であっても出禁（出入り禁止）処分ということ。コロナ下で関係者に自由に取材できないこともあり、死活問題になるのでスポーツ紙各社は書きたくても書けなかった」</span>と前出記者。</p>
<p>しかし、９月27日付で産経新聞とサンケイスポーツが１面で「岡田新監督」を報じたことで規制は死文化。各紙も裏舞台を報じるに至った。</p>
<p>CSファーストステージでは２位DeNAを下した阪神だが、ヤクルトには地力の違いを見せつけられて苦戦中だ。2005年以来、優勝から遠ざかっているのは、監督や選手の去就についての「報道の自由」さえ認めない、球団の度量の狭さも少なからず影響していると思うのだが……。</p>
<figure id="attachment_266389" aria-describedby="caption-attachment-266389" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="270e9c54"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2022/09/913818d7e9b9873574e5d7fc931bdb73.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-266389" class="wp-caption-text">2002年、星野仙一監督（右）が就任するとき、平田氏は明大の先輩にあたる当時の星野監督の推薦で広報になったという</figcaption></figure>


今季限りで退任する阪神・矢野監督の後任に岡田彰布氏の就任が内定した。9月上旬まで最有力候補だった平田勝男・二軍監督説がなぜ消えたのか。深層レポートをお伝えする。

阪神・岡田彰布新監督内定　最有力だった「平田勝男」が消えたワケ

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