「黄金の3年間」岸田「ドヤ顔」政権が危険水域に…国民軽視の防衛増税、入管法改悪の恐怖
「急すぎる会見で申し訳ありません、でも、どうしてもやらないければ、と」
1月12日、弁護士有志による「入管法改悪案」再提案に反対する緊急会見は、こんな悲痛な「お詫び」から始まった。急遽設定された会見だが、多くのメディアが集まった。
2021年5月、政府の提案した入管法「改悪案」が、国民から高まった反対の声によって事実上「廃案」になった。が、その「廃案」とほぼ同じ内容の提案が、次の通常国会に提出されるという。
「2021年3月、名古屋の入管施設に収容されていたスリランカ人女性、ウィシュマさんが亡くなった事件は、今、裁判が進んでいます。一部報告された施設内での虐待のようすは、人々の大きな怒りをよびました。日本の入管制度は、国連機関からも、国際人権法違反、不適切だと、たびたび懸念を示されています」(駒井知会弁護士)
今回、再度提案される「改悪案」は、2021年の「廃案」時点でその問題点が強く指摘された。国内外からの批判と、ウィシュマさんの衝撃的な死もあって、多くの市民が連日、国会前に集まり意見をした。あの大きなうねりから2年。
「廃案になったものと、同じ内容の法案を提出しようという政府は、市民を舐めきっています。国民は、時間がたてば忘れるだろうと思っている」(指宿昭一弁護士)
背景には、岸田文雄政権「黄金の3年間」がある。昨年の国政選挙を乗り切った岸田政権は、支持率がどれほど下がろうとも、その是非を国民の声=選挙によって問われることがない。昨年末、国会閉会後にぶち上げた「防衛増税」も「異次元の少子化対策」も、その是非を直接問う機会がない。
この国の人権軽視は、他人事ではない
「これは、国際人権法に対する重大な挑戦です。国際社会のなかで、どう説明するのか。2021年の市民の声が裏切られた。残念を通り越して絶望の気持ちです」(駒井弁護士)
「入管法の問題は日本人には関係ない」という声もある。が…
「これが、自分たちの社会で起こっていることなんです」(高橋済弁護士)
人の命を軽視する政府の姿勢は、いつしかわれわれにも向けられる。「時間がたてば忘れる」と軽視される国民。けれども今、与党内でもその「ドヤ顔」政権運営に批判の声が上がり始めている。岸田首相は、党内の不協和音と内閣支持率が激減している理由を、今こそ直視すべきだろう。