”年末年始特番の勝者”は誰だ?テレビマンが明かす 「勝ち組バラエティ」の戦略と舞台裏 | FRIDAYデジタル

”年末年始特番の勝者”は誰だ?テレビマンが明かす 「勝ち組バラエティ」の戦略と舞台裏

【年末年始】視聴率競争「仁義なき戦い」  『紅白歌合戦』 『ジャニーズカウントダウン』 『芸能人格付けチェック』 『SASUKE』 『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』ほか

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5人では最後となる『King & Prince』の出場が話題となった紅白。『ジャニーズカウントダウン』も高視聴率を獲得
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「日本テレビが強いな、という印象です。バラエティではないですが、箱根駅伝も持っていますしね。年末年始の風物詩的な番組があり、特番で手堅く数字を稼ぐレギュラー番組も育っていますから」

昨年12月26日から今年1月3日の間に放送されたバラエティ番組のコア視聴率(13〜49歳男女の視聴率)と世帯視聴率のランキング(左)を見た、キー局プロデューサーの弁である。

コア・世帯とも1位に輝いたのは『NHK紅白歌合戦』というまさに″風物詩″だったが、このプロデューサーは「日テレのあの番組があれば、紅白に肉薄していたと思います」と分析する。

「『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』の年末特番″笑ってはいけないシリーズ″です。十数年続いたことで風物詩になっていましたし、タレントの豪華さ、仕掛けの豪華さ、練り込まれた企画といった″テレビでしかできないこと″を追求した番組でしたから」

キー局でコア対策に最も後れを取り、ふだんはコア視聴率で苦戦しているテレビ朝日から『芸能人格付けチェック!』『アメトーーク!』『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』と3本がランクインしているが、いずれも「風物詩化」と「テレビでしかできない大掛かりで豪華な企画」というヒットの条件をクリアしている。

「タレント力の高さが光ったのは『格付け』司会の浜田雅功(59)。一部で、強すぎるツッコミは暴力的で時代に合っていないという議論がありましたが、浜田は自分より格上の上沼恵美子(67)や和田アキ子(72)に率先してツッコミを入れるから不快感がまるでなく、彼の全盛期を知らない親戚の中学生が大笑いしていました」(ライターの大山くまお氏)

71連勝したGACKT(49)ら出演陣やセットの豪華さもさることながら、「いいものを食べ、一流の芸術に触れているはずの芸能人のオンチぶりを笑うというフォーマットが素晴らしい。浜田さんも楽しいんでしょうね、7時間に及ぶ収録をハイテンションで乗り切った」(テレ朝ディレクター)という。

いま、テレビマンたちが注目しているのがTBSの躍進だ。年末年始のコア視聴率ランキングをベスト30まで見てみると、実に11本も入っているのだ。

「『マツコの知らない世界新春SP』(コア19位)のラーメンと昭和美女特集は面白かった。視聴者はオネエ系タレントに説教されるのが好きだし、マツコ・デラックスは視聴者の代表的なポジションで話すのも上手い。TBSはバラエティに音楽、『SASUKE』のようなスポーツとバランスよく数字を取っている」(テレビウォッチャーの北川昌弘氏)

『SASUKE』の強みは、テレビだからできるスペシャル感にあるのだが、TBS関係者は「元阪神の糸井嘉男(41)ら出場者の熱量が異様に高かったこと」も勝因に挙げるのだった。

「『ラヴィット!』の特番『ゴールデンラヴィット!』(コア19位)は『ニューヨーク』や『見取り図』ら売れっ子たちが50人並ぶ画(え)が圧巻でしたね。彼らを生放送でおさえているのも凄い。″バラエティのTBS″という評判が裏付けられた形です」(制作会社スタッフ)

芸人もジャニーズも坂道シリーズも巻き込むキャスティング手法は「観ていて楽しく、業界内視聴率が高い」(テレ朝ディレクター)と高評価だ。

コア、世帯とも苦戦したのがフジテレビだ。前出の制作会社スタッフが言う。

「昔は『新春かくし芸大会』とか、お祭り感のある風物詩的な番組がありましたけど、今年はレギュラー番組のスペシャルばかり。例外は25年続く『ジャニーズカウントダウン』ぐらい。ジャニーズと『逃走中』頼みで、落ちぶれた印象です。新たなコンテンツを生み出せておらず、他局との″スペシャル合戦″にことごとく敗れてしまった」

先述の通り、テレ朝はコアで3本の特番がベスト15入りしたが、他局からは将来を危惧する声があがっている。

「世帯視聴率のベスト15に7本も入っているんですよ。社として世帯視聴率を取りに行っていることの証左なんですが、それに何の意味があるのか。実際、CM枠の売り上げはジリジリ下がってきています」(前出・キー局プロデューサー)

先のテレ朝ディレクターは「紅白のように世帯が取れるならコアも比例するはずだし、世帯が見込めないと編成から番組制作のOKが出ない」と反論する。

「深夜の『バラバラ大作戦』という枠で旬のタレント・芸人を使った新企画を見出そうともしている。世帯=コアが成り立つのか、ウチは模索しているのです」

もうひとつ、民放幹部が危惧していることがある。

「CM枠のセールスは好調だったのですが、年末年始の視聴率自体はコア、世帯とも前年より微減しているのです。対照的なのが配信。12月23日から1月3日の再生回数は直前12日間の1.5倍でした。かつて年末年始の主要コンテンツのひとつだった格闘技にABEMAが参入したように、『ネットでテレビを観る』という視聴習慣への対策も必要でしょう」

変わりゆく令和のテレビ業界。生き残るのはコア対策に舵(かじ)を切った日テレ&TBSか、それとも――。

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『FRIDAY』2023年2月3日号より

  • PHOTO島 颯太(あいみょん) 菅原健二(吉高・北村) 西 圭介(石橋) 小松寛之(杉谷)

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