<figure id="attachment_292319" aria-describedby="caption-attachment-292319" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="db952a54"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/22085d29d70af20e4915d2823c2500de.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292319" class="wp-caption-text">2012年８月に行われた高校日本代表の壮行会での大谷翔平</figcaption></figure>
第５回ワールド・ベースボール・クラシックを戦う侍ジャパンの30選手が正式に発表された。胸が躍る、夢を描きたくなる、多士済々の面々。その中でもチームの牽引役を期待されるのがダルビッシュ有、大谷翔平、村上宗隆の３人だ。彼らは今、いるべくして、ここにいる。そう思わせる若き頃のエピソードを恩師らが明かす。
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「勝つことだけ考えて」
１月６日、12選手が先行発表された会見にサプライズ登場した大谷は、何度もその言葉を繰り返した。日本の世界一奪還に向け、当初は否定的な意見がほとんどだった投打二刀流での躍動が楽しみな大谷は、高校当時から野球の常識の枠を飛び越えていた。スポーツジャーナリストの安倍昌彦氏が回想する。
「私が大谷と言われて最初に浮かぶのはピッチングでもバッティングでもありません。ベースランニングなんです。花巻東高校のグラウンドで、彼らがシートバッティングをやっていたのですが、大谷がライト前に火の出るようなヒットを放った。普通なら一塁をオーバーランして終わりですよね。でも、大谷はなんの躊躇もなく二塁に突っ走った。そこだけ見れば暴走です」
ところが、次の瞬間、予期せぬことが起こった。捕球したライトは顔を上げるなり一塁に返球。大谷は二塁ベース上で平然と息を整えていたのだ。
「練習が終わってから大谷に理由を聞いたんです。すると『ライトが打球を捕る前に一瞬、ファーストを見たんです。僕がオーバーランするところを刺すために投げてくる。そう思って躊躇なく走れました。僕の中では確信がありました』と。そこまで見抜いているところ、自分の確信に基づいて迷わず決然と行動ができる。すごいやつだと思いました。ベースランニングの限界を押し広げてくれるような、限界はもっと先にあるんだと教えてくれるようなプレーでした」
二刀流はもちろん、野球の可能性を誰よりも楽しみ、追い求めている。だからこそ、メジャー・リーグにルールを変更させてしまうほどの選手になれたのだ。
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冒頭で紹介した会見で大谷が唯一、我を出したのが、「（一緒に）やるのは楽しみ」と口にしたダルビッシュとの共闘だ。
ダルビッシュは東北高校から入団した日本ハムで１年目から５勝をマーク。翌年以降は２桁勝利を積み続けるなど、20代前半にして日本球界のエースに登り詰めた。
「１年目は膝の故障で出遅れ、１軍デビューは６月になりましたが、それがなければ開幕からローテーションに入っていてもおかしくなったでしょうね。それくらい間違いのない才能の持ち主。細かった体が鍛えられて２年目の後半には指にかかった伸びのあるボールの割合が増えて大崩れすることがなくなった」
そう振り返るのは日本ハムでコーチを務めた恩師の佐藤義則氏。早くから片鱗を見せていた右腕は22歳になったころには、数々の名投手を育ててきた佐藤氏をも唸らせるようになる。
<div data-friday-nextpage-lead="名コーチも唸ったダルビッシュの投球術の極意"></div>
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<figure id="attachment_292320" aria-describedby="caption-attachment-292320" style="width: 1729px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="3ae9ad06"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/ca5e09544ff0bf20bcec1ea41b6e7638.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292320" class="wp-caption-text">東北高校時代の“セミヌード”写真。当時は「寝る時もハダカ」と明かしていた</figcaption></figure>
「そのころには最初からコースを狙ってストライクカウントを取ることはしなくなった。真っすぐで真ん中の高めを狙って投げて力でファールを打たせてカウントを稼いで、追い込んだらスライダー、フォークを厳しいコースに投げて打ち取るのがパターンだった。ベースの上を通してファールを取るのはピッチャーの理想。見送りのストライクは同じところに何球も投げないといけないから、なかなかカウントを取れないんですよ」
狙いはストライクを増やすことだけではなかった。
「バッターにバットを振らせることで狙いや穴が見えてくる。そうやって優位に進めて、ストライクが増えるごとにストライクゾーンの外を狙って投げていく。これができると四球で潰れることもない。彼の負けが少なかった理由の１つがここにあるし、こういうピッチングができるピッチャーはそういません」
今大会ではさらに円熟味を増したピッチングが見られることだろう。
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そのダルビッシュが第２回の同大会で抑え役を担い、胴上げ投手になった姿に目を輝かせていたのが、打線の中核を任される村上宗隆である。村上の成長を３年間、見守った九州学院高校前監督の坂井宏安氏が教え子の心境を推し量る。
「本当に錚々たる顔ぶれですよね。オールスターに初めて出た時も『柳田さんはすごいです』『あの選手はすごいです』と憧れの目で見て子供のように喜んでいましたが、今回も同じじゃないですか。ダルビッシュさん、大谷さんはまだ会ったことがないですから、今からギラギラして、待ち遠しくてしかたがないはずです。宮崎でのキャンプで一緒になったら、『すげぇ～』『すげぇ～』と言っている姿が目に浮かびます」
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坂井氏は高校時代の村上を「邪気のない子」と形容した。真っすぐに、純粋に、野球に取り組む姿勢を持ち、練習が好きで、常にもっとうまくなりたいという欲で満たされていた。
「体型がポテッとしているころは、僕の目には赤ちゃんに見えていました(笑)。でも、あの子はなにをするにも最初からトップギアで努力できる。それにゴールを作らない。こういう選手になりたいといった目標はなくて、もうちょっとうまくなろう、もうちょっとあそこでいいバッティングができるようになろうとか、自分をどう高めるかをいつも考えていた。そういったことが彼を作ったと思うし、それは今も変わらないと思います。このオフも会いましたがホームランの記録とか三冠王ではなく、日本シリーズのここで打てなくて、といったうまくいかなかった話の方が多かったですから」
今大会では４番打者に指名される可能性もあるが、彼の信条を知れば実現を願いたくなる。
「あの子はとにかくフォア・ザ・チームなんです。高校の時も自分のホームランよりも仲間のヒットの方を喜んでいた。今回も活躍ではなく、貢献したいと考えているんです。活躍は自分のことですけど、それよりどうすればチームに貢献できるか。タイムリーも打ってもらいたいですけど、犠牲フライでもいいから打点を挙げてほしい。あと、東京オリンピックでもそうでしたが、劣勢になった時に突破口を開いたり、試合が均衡した状況でホームランを打ってくれる。そんな姿も見たいですね」
３人が導く先は、世界一しかない。
<figure id="attachment_292323" aria-describedby="caption-attachment-292323" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a0c1a146"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/f695eddb1c7a9a01f68e6fdb11a1bb99.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292323" class="wp-caption-text">2012年８月、高校日本代表の合宿にて。背後にいるのが来季からメジャーでプレーすることが決まった藤浪晋太郎</figcaption></figure>
<figure id="attachment_292322" aria-describedby="caption-attachment-292322" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="4689a93a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/a550435d49274ad4de6fc13190cba993.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292322" class="wp-caption-text">いがぐり頭で藤浪（左）と大谷（右）の貴重な２ショット</figcaption></figure>
<figure id="attachment_292324" aria-describedby="caption-attachment-292324" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a1cc19ec"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/4b9918388faa38ef5c6df9d2c4bec52d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292324" class="wp-caption-text">高校時代、清宮幸太郎がいる早実と練習試合をした九州学院・村上宗隆（左）は打球の行方を追う。村上は当時、捕手だった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_292325" aria-describedby="caption-attachment-292325" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="01f9f99a"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/f8a79f47522bbdc7ec4f499c2b4c803d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292325" class="wp-caption-text">一塁ベース付近で並ぶ村上（右）と清宮。当時の高校野球界の主役は清宮だった</figcaption></figure>
<figure id="attachment_292326" aria-describedby="caption-attachment-292326" style="width: 1352px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="2607d0c4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/3b28503f184121bc86e7c86e4e4264e1.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-292326" class="wp-caption-text">高校時代、194cmまで背が伸びたダルビッシュ。天井に余裕で手が届いた。こんな感じでWBCの頂点に届くだろうか</figcaption></figure>

霜越春樹　荒川祐史　神崎龍　産経新聞社（村上宗隆の２枚）

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