「M-1」覇者『ウエストランド』を輩出したことで大注目!「西新宿ナルゲキ」の魅力 | FRIDAYデジタル

「M-1」覇者『ウエストランド』を輩出したことで大注目!「西新宿ナルゲキ」の魅力

事務所の垣根なし、漫才でもコントでも演劇でも面白ければ何でもOK  魑魅魍魎が跋扈するルール無用の地下劇場  劇場代表&参加芸人にインタビュー

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1月中旬に訪れると平日にもかかわらずほぼ満席状態。第7世代の『ハナコ』ら人気芸人が爆笑をさらっていた
1月中旬に訪れると平日にもかかわらずほぼ満席状態。第7世代の『ハナコ』ら人気芸人が爆笑をさらっていた

関東のお笑いシーンに、新たな芸人の聖地が誕生した。吉本興業のように常設劇場を持たない事務所の芸人たちがこぞって腕を磨くのが、’21年4月にオープンした「西新宿ナルゲキ」だ。この劇場を中心に活動する通称”ナルゲキ芸人”には、「M-1グランプリ」チャンピオンの『ウエストランド』や「キングオブコント」王者の『かもめんたる』といった実力派がズラリと並ぶ。

「一部の芸人さんだけじゃなく、誰でも日常的に賞レースが行われるような規模の舞台に立てる。そういう場を作りたかったんです」

ナルゲキを運営する制作会社K-PRO代表の児島気奈氏だ。劇場の魅力について聞くと、「芸人さん同士で作り上げた独自の文化」を挙げる。

「ナルゲキには、他の芸人さんに芸歴を聞かないという暗黙のルールがあります。いろいろな事務所の芸人さんが出入りするので、明確な縦関係はありません。仲は良いですが、一方で『自分たちが一番だ』というライバル心もある。芸人さん同士の距離感が絶妙なんだと思います。

芸人さんが決めたルールも多い。半年に1回行う『ナルゲキ最強決定戦』では、優勝者に願いをなんでも叶える権利が与えられます。たとえば前チャンピオンの『ママタルト』さんのオーダーで、控え室の冷凍庫には常にアイスが置かれている。芸人さん同士で作っていく独特な雰囲気が、一番の魅力だと思います」

今でこそ人気劇場の一つとなったナルゲキ。しかし、これまでの道のりは決して平坦ではなかったという。

「当初は客席148席のうち、1桁くらいしか埋まらないときもありました。芸人さんが傷つかないように、スタッフがサクラになって、客数を水増しすることもありましたね(笑)。転機になったのは、先ほども言った『ナルゲキ最強決定戦』です。ここで優勝した芸人さんたちが『ナルゲキは俺たちの劇場だ!』とどんどん告知を行ってくれるようになった。すると彼らのファンから次第に火がつき、今では満席のライブも増えました。芸人さんたちには本当に助けてもらった。感謝しかありません」

これからの目標は、一組でも多くの芸人が羽ばたいていく姿を見ることだ。

「昨年は『ウエストランド』さんが『M-1』で優勝するという素晴らしいことが起きた。ここで頑張れば未来に繋がることを証明できました。これからも芸人さんたちをサポートしていきたいです」

芸人から見た「ナルゲキ」

一方、演者から見たナルゲキはどのような存在なのか。”ナルゲキ芸人”である、『かもめんたる』のボケ担当・岩崎う大(44)が言う。

「’21年に初めて『M-1』に出場したのですが、挑戦するにあたり、漫才をさせてほしいとお願いして舞台に立たせてもらいました。ネタって人前で試さないと完成しないので、常にやっているナルゲキの存在は助かっています」

ツッコミの槙尾ユウスケ(42)は、お笑いに熱心なファンが多いことがメリットだと感じている。

「ナルゲキのお客さんはしっかりネタを観てくれて面白いときだけちゃんと笑ってくれるので、ネタをブラッシュアップするにはすごくありがたいんです。今でも多いときは月に4~5回は参加させてもらっています」

二人ともナルゲキには感謝していると語り、「いずれは伝説の劇場になってほしい」と願望を口にする。

お笑い界で独特な存在感を示すナルゲキ。その快進撃はまだまだ続く。

児島氏が「ナルゲキのドン」と言う『ウエストランド』。定期的に新ネタライブを行うなど精力的に活動
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コント職人の『かもめんたる』はナルゲキで漫才の腕を磨いた。昨年末の「M-1」では準決勝に進出
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最寄りの新宿駅からは徒歩10分ほど。地下にある劇場へ降りるにつれ、笑い声が漏れ伝わってくる
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’04年からライブの企画や運営を行っている児島氏。芸人からは”お笑い界の母”として慕われている
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『FRIDAY』2023年2月10日号より

  • 取材・文お笑い研究家・鈴木 旭PHOTOK-PRO提供(ウエストランド、かもめんたる、ハナコ) 結束武郎(児島氏、ナルゲキ外観)

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