<figure id="attachment_300862" aria-describedby="caption-attachment-300862" style="width: 6000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="a78491d2"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/03/aflo_188754855.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-300862" class="wp-caption-text">世界的大ヒットとなったトム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』だが、アカデミー賞は厳しい結果に…</figcaption></figure>
第95回米アカデミー賞授賞式（現地時間3月12日）は、SFコメディ〝エブエブ〟こと『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』が作品賞、監督賞（ダニエルズ）をはじめミシェール・ヨーのアジア系女優史上初の主演女優賞。さらにはキー・ホイ・クァンの助演男優賞、ジェイミー・リー・カーティスの助演女優賞など7部門を制覇し圧勝に終わった。
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そうしたなか、主演した大ヒット作『トップガン マーヴェリック』が作品賞など6部門にノミネートされていたトム・クルーズが授賞式を欠席したことをめぐって諸説取りざたされている。
そのひとつは、プレゼンターとして授賞式に出席した元妻の女優ニコール・キッドマンと鉢合わせするのを嫌ったというもの。
「トムが授賞式にいなかったのは、彼女（キッドマン）がそこにいたからであり、彼は鉢合わせを望まなかった」
と一部英紙が報じている。だが、クルーズの関係者は
「個人的なことではなく、スケジュールの問題だった」
と否定した。
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「クルーズはキッドマンと’90年に結婚して’01年に離婚しており、キッドマンはその後キース・アーバンと再婚し、クルーズはケイティ・ホームズと再婚して’12年に離婚している。キッドマンとの間にわだかまりはあるにしても20年以上も前のことで、今回の授賞式欠席とは関係ないでしょう」
とハリウッドに詳しい映画関係者は語る。
かといって「スケジュールの都合」というのも説得力に欠けるという。
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「トムは『トップガン マーヴェリック』で主演男優賞にはノミネートされなかったが、作品賞にノミネートされていた。作品賞は製作者に授与され、トムは主演だけでなく、製作にも名前を連ねているので作品賞を受賞すればオスカーを手にする1人となる。トムならスケジュールの調整は難しいことではなく欠席は異例」（同・映画関係者）
そこで噂されているのが
「主演男優賞にノミネートされなかったことと、『エブエブ』が今年の賞レースを総なめにしていることに関係があるのでは」（同関係者）
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そもそも、1月24日（現地時間）にアカデミー賞のノミネートが発表され、『トップガン マーヴェリック』は作品賞、脚色賞、歌曲賞など6部門にノミネートされたが、肝心のクルーズが主演男優賞にノミネートされず、クルーズのファンは
「トム・クルーズが『トップガン』でオスカーを獲れなかったらこの賞は何の意味があるんだ」
などとツイッターで不満をあらわにしていた。これはクルーズの胸中を代弁していたのではないかというのだ。
クルーズは『7月4日に生まれて』（’89年）と『ザ・エージェント』（’96年）でゴールデングローブ賞主演男優賞を受賞。『マグノリア』（’99年）で同助演男優賞を受賞しているが、その3作品ともアカデミー賞にノミネートされたものの受賞を逸している。それだけに〝今度こそは〟の思いがあったとみられる。
ところが主演男優賞にノミネートされなかったばかりか、賞シーズンが深まるにつれて「エブエブ」の快進撃が続き、ハリウッドの4つの主要組合であるSAG（全米映画俳優組合賞）、PGA（全米製作者組合賞）、DGA（全米監督協会賞）、WGA（全米脚本家組合賞）すべてで作品賞を受賞。
これは過去4作品（『アメリカン・ビューティ』『スラムドッグ＄ミリオネア』『アルゴ』『ノーカントリー』）しかない快挙で、この4作品はすべてアカデミー賞の作品賞を受賞している。そして米映画誌などの直前予想は「エブエブ」一色となったのだった。
そうした「エブエブ」旋風がクルーズの授賞式欠席と関係しているのではないかと噂されるのも無理はない。
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そして、もう一人のハリウッドの巨匠で『アバター：ウェイ・オブ・ウォ―ター』のジェームズ・キャメロン監督も授賞式に姿を現さなかった。昨年に続いて授賞式の司会を務めたコメディアンのジミー・キンメルは
「劇場に足を運べと主張した2人が（授賞式に）来なかった」
とトークのネタにしていた。
ちなみに『トップガン』の昨年の全世界の興行収入は約15億ドル（約2010億円）。『アバター：ウェイ・オブ・ウォ―ター』は20億1200万ドル（約2696億円）で『スター・ウォーズ／フォースの覚醒』を抜いて歴代4位を記録した。
この2本が昨年のハリウッドを代表する大ヒット作だったが、アカデミー賞では『トップガン』は音響賞のみの受賞。『アバター』は作品賞など4部門にノミネートされていたが視覚効果賞のみの受賞に終わった。
クルーズが実際の戦闘機を操縦するなど画期的な映像とドラマを見せた『トップガン』や、革新的な映像美や家族愛のドラマで観客を魅了した『アバター』のハリウッドを代表する超大作2作品とも主要6部門（作品賞、監督賞、主演男・女優優賞、助演男・女優賞）以外の単独の賞しか受賞しなかった。クルーズとキャメロンは事前にそうした今年の流れを感じ取って授賞式を欠席した可能性は否定できないと映画関係者は推測している。
ちなみに「エブエブ」は日本では3月3日から公開されているが、米国では昨年3月に公開されて全世界の興行収入は約1億ドル（約134億円）だった。まさにジャイアントキリングといってもいい「エブエブ」の7冠だった。

東京スポーツ新聞社（文化部記者、文化社会部部長）出身。退職後、Webマガジン『PlusαToday』を始め、映画、ハリウッド情報などの記事を書く。日本映画ペンクラブ会員

阪本良（ライター）

AP/アフロ

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