「人と口をきくのもイヤな心境」…WBCの主砲・吉田正尚が語っていた「知られざる壮絶な苦悩」 | FRIDAYデジタル

「人と口をきくのもイヤな心境」…WBCの主砲・吉田正尚が語っていた「知られざる壮絶な苦悩」

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吉田の鍛え上げられた二の腕はアイススケート選手の太ももと同じくらいの太さだ。’17年2月撮影
吉田の鍛え上げられた二の腕はアイススケート選手の太ももと同じくらいの太さだ。’17年2月撮影

「弁当を食いにきただけですよ」

3月18日(日本時間)、野手として唯一米国マイアミでの練習に参加した吉田正尚(29、レッドソックス)はベンチで食事をしながら報道陣を笑わせた。

もちろん、吉田は弁当を食べるためだけに球場に現れた訳ではない。WBC侍ジャパンがマイアミに到着したのは同日午前3時。21日に行われるメキシコとの準決勝を前に、時差ボケを解消するため軽めの調整をしたのだ。吉田は、報道陣へこうも話している。

「外で陽を浴びて、昼寝をしないようにね。夜しっかり寝られるようにと」

吉田は準決勝までの5試合で、打率.400、1本塁打、10打点と絶好調だ。特に準々決勝のイタリア戦(3月16日)では、主砲として先制打にダメ押しの本塁打と存在感をみせている。象徴的なフルスイングで日本を代表する強打者となった吉田だが、ここまでの道のりは決して平坦ではなかった。『FRIDAY』(’17年3月17日号)は、当時オリックス入団2年目だった吉田をインタビューしている。以下に再録して、知られざる吉田の苦悩を紹介したい(内容は一部修正しています)ーー。

小学2年で1kgのマスコットバットをブンブン

フルスイングを繰り返し吉田の手のひらはマメだらけ。’17年2月撮影
フルスイングを繰り返し吉田の手のひらはマメだらけ。’17年2月撮影

インパクトの後に反りかえる背中。バットのヘッドが、キャッチャーの頭上まで伸びる大きなフォロースルー。

吉田は身長173cmの小兵ながら、持ち味のフルスイングでキャンプ中から6試合で3本塁打の活躍をみせていた。吉田が語る(以下、コメントは吉田)

「小学2年の頃かな。父親にバットを買ってもらったんです。カラフルで格好いいと選んだのが、重さ1kgのマスコットバット。プロでも900g前後が主流なのに、子どもがまともに振れる訳がありません。なんとかしたい一心で、当時から毎日ブンブン振り回していました」

敦賀気比高(福井県)から青山学院大学に進んだ吉田は、ドラフト1位でオリックスへ入団。1番打者として開幕スタメンに名を連ねるが、4月にアクシデントが襲う。重度の腰痛で、グラウンドに立つことすらできなくなってしまったのだ。

「いいところをみせようと、キャンプ中からオーバーワークしたのがいけなかったのかもしれません。足が痺れて歩けず、ストレッチと食事以外は横になっている日々です。もうフルスイングができないんじゃないかと不安になり、人と口をきくのもイヤな心境でした」

8月に復調し63試合で10本塁打を放ったが、シーズンの半分以上を棒に振り納得のいく成績とはならなかった。吉田はオフに大きな決断をする。幼少期に『筋肉番付』(TBS系)をみて以来憧れていた、ハンマー投げアテネ五輪金メダリストの室伏広治氏に直筆の手紙を送り教えを請うたのだ。

「ケガをしない身体を作りたかったんです。室伏さんが勤務する東京医科歯科大学へ3日間通い、20種類ほどのトレーニングメニューをこなしました。重さ7kgほどのハンマーを両端にぶら下げた、55kgのバーベルを上げるスクワットはしんどかったです。経験したことのない練習ばかりで新鮮でした」

室伏流トレーニングを続けることで、吉田は全身のバランスを安定させた。体重は前年の84kgから87kgに。現在はオリックスの主砲から、侍ジャパンの4番へと成長した吉田。新人時代の苦難を乗り越えたからこそ、今の充実した日々があるようだ。

吉田の真骨頂はマン振りのフルスイング。’17年2月撮影
吉田の真骨頂はマン振りのフルスイング。’17年2月撮影
スクワットや筋トレは吉田の日課だ
スクワットや筋トレは吉田の日課だ
身長173cmと小柄ながら鍛え上げられた肉体で長打力も高い。’17年2月撮影
身長173cmと小柄ながら鍛え上げられた肉体で長打力も高い。’17年2月撮影
  • PHOTO小松寛之 ジジ

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