「足が速くないから」侍ジャパン吉田正尚が大学時代に語っていた「パワーヒッターになった原点」 | FRIDAYデジタル

「足が速くないから」侍ジャパン吉田正尚が大学時代に語っていた「パワーヒッターになった原点」

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青山学院大学硬式野球部時代の吉田。この当時から小さな大打者と言われていた
青山学院大学硬式野球部時代の吉田。この当時から小さな大打者と言われていた

WBC2023の準決勝が米マイアミのボーンデポ・パークで行われ、日本がメキシコに6-5でサヨナラ勝ち。決勝戦は前回王者のアメリカと対戦する。

メキシコとの準決勝は苦しい戦いとなった。先発の佐々木朗希が4回2死1、2塁でウリアスから3ランホーマーを打たれ3点を先制される。一方の侍打線はメキシコの先発左腕パトリック・サンドバルに抑えられ、6回終了時点で散発5安打無得点。重苦しい空気が日本チームに漂う中、一人気を吐いていたのが2安打を放っている吉田正尚選手(29)だった。

「サンドバルは’22年の対左打者の被打率はわずか.151でした。日本は初回は全くサンドバルに手も足も出ず三者三振。しかし吉田は最初の打席でセンター前にヒットを放つと2打席目もレフト前に弾き返し、一人気を吐いている感じでした」(スポーツ紙記者)

そして7回裏、吉田はツーアウト1、2塁から内角低めの難しいボールをミートするように掬い上げた。ボールは高く舞い上がり、ライトポール際ギリギリに飛び込む3ランホームラン。この同点弾でチームは逆転勝利への勢いがついた。決して強振したわけではないが、吉田のミート力と腰の強いパワーが生んだホームランだった。身長わずか173センチ。この小さな体のどこからあのようなパワーが生まれるのだろう。’15年10月、本誌は当時、大学日本代表の4番を務め、その年のドラフト候補選手の一人として吉田の独占インタビューを行なっている。そこで語られたパワーヒッターの原点とは…。

「足が速くないので、ひたすらバットを振った小学生時代」

「もっと足が速かったら、コツコツヒットを量産する選手になっていたと思います。でも、足が速くなかったので。小学1年生から野球を始めたんですが、とにかくバットを振ってました。ひたすらバットを振っていたんです。それで、父にバッティングセンターに連れていってもらって、打った球がどんどん遠くに飛ぶようになっていったんです。そのときの喜びというか、その感じが忘れられないんです。バットを振り続けていたら、ちょっとずつでもボールが遠くに飛ぶようになるのが実感としてわかるんです。それが楽しくて、気がついたら遠くに飛ばしたいと思うようになっていました。体はずっと小さかったですが、高校になって体幹をつければ追いつけると思っていたので、全然焦ることはありませんでした」

ウェイトトレーニングも、バッティング練習も、身体が小さいからという理由で他の選手よりも多くこなそうとは思わなかったという。

「食べ物も寮で出されたものを普通に食べているし、ウェイトトレーニングも他の選手よりも多くこなすとか、そういうことは全くありません。ただ重たいものを持ち上げるとか、見せる筋肉を作っても意味がないので、野球に必要な筋肉をつけるということだけを意識してずっとやってきました。

バッティング練習も特別なトレーニングは全然していなくて。ただ、意識しているのは、ボールにアジャストする瞬間に自分の10の力を無駄なく出せるようにというのを理想として、ありとあらゆることを試しながらやっています。例えば、最初から力を入れて打つとどうなるんだろうかとか、変化球の場合は、こういうタイミングでこういう力の入れ方をするとどれくらい飛ぶのだろうかとか。自分なりの幅を試しながらやっているというイメージです。

がむしゃらに振りながらもインパクトのこつだとか、手首を返すタイミングだとか、いろんなことを試して、これだ!と思ったことを徹底的にやってきたということかもしれません。ただバットを振るだけではわからないんです。ティーバッティングでボールにしっかり当てて、そのあとフリーで素振りをするとか、段階を踏んで大事なところを徹底的にやるということだと思います」

吉田が理想とする自身の将来像は、

「ホームランバッターではありません。打率2割で30本を打つのではなくて、打率3割で20本を常にキープできるような、そういうバッターを目指しています。初球からいい球がくれば、それをしっかり叩いてホームランにできる。追い込まれたら同じスイングをするのではなくて、ピッチャーのウィニングショットをしっかり叩いて打ち返すような、ピッチャーから『いいバッターだな〜』と思ってもらえるような、そういうバッターになりたいです。ホームランを狙うのではなくて、甘い球をミスショットせずに捉えれば入る。そういう感覚を大事にしていきたいと思います。

3割打てるバッターはほんの一握りなので、それを1年間だけでなくコンスタントに打てるようになって初めて長く活躍できる選手になれます。もちろん、1年目から目標にして、コンスタントに打てる安定感のある選手になりたいです」

そんな吉田の気晴らしといえば、

「YouTubeもあるので、ずっとプロ野球やメジャーの野球を見ています。他に興味あることがないんです。漫画とかゲームも興味ないし。遊びには行きますけど、趣味がないんです。僕にとっては、気晴らしも野球です」

最後に、将来的にメジャーを目指すのかと聞くと、このような答えが返ってきた。

「もちろん、メジャーへの憧れはあります。今年、テキサスレンジャーズのキャンプに行かせてもらったんですけど、スケールがデカすぎて…。ボールのスピード。バットスイングのスピード。全然違いました。自分が子供のころ感じたようなインパクトでびっくりしました。いまの僕じゃ、もう全然…」

当時は、そのように語っていたが、吉田のWBCでのここまでの成績は打率.474、2本塁打、打点は13でトップを独走している。吉田の力強いバッティングは、14年ぶりの世界一を確実に引き寄せてくれている。

バッティングフォームはほとんど変わっていない
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カメラマンの「笑顔をお願いします」の声に、「学生時代ほとんど注目されてなかったので慣れてないんです」と、はにかむ吉田
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吉田の鍛え上げられた二の腕はアイススケート選手の太ももと同じくらいの太さだ。’17年2月撮影
吉田の鍛え上げられた二の腕はアイススケート選手の太ももと同じくらいの太さだ。’17年2月撮影
吉田の真骨頂はマン振りのフルスイング。’17年2月撮影
吉田の真骨頂はマン振りのフルスイング。’17年2月撮影
  • PHOTO濱崎慎治、小松寛之

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