「何度も悔しい思いをした」不振の村上宗隆が14年ぶりのWBC決勝に導く逆転サヨナラタイムリー | FRIDAYデジタル

「何度も悔しい思いをした」不振の村上宗隆が14年ぶりのWBC決勝に導く逆転サヨナラタイムリー

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1点を追う九回、サヨナラ安打を放った村上宗隆(写真:共同通信)
1点を追う九回、サヨナラ安打を放った村上宗隆(写真:共同通信)

野球の世界一を決めるワールド・ベースボール・クラシック(以下、WBC)で2009年以来の優勝を目指す日本代表はアメリカに舞台を移し、21日、準決勝でメキシコ代表と対戦し、1点を追う九回村上宗隆がセンターオーバーの逆転2点タイムリーで6-5とサヨナラ勝ち。2009年以来の決勝進出を決めた。

「何度も三振をして何度も悔しい思いをして、チームメートが助けてくれた。最後は僕が打ちましたけどチーム一丸となった勝ちかなと思う。2009年以来の決勝ですし、ベスト4の壁が難しかった。明日はこのチームでできる最後。最高の試合にしたい」

サヨナラタイムリーを打った直後、グラウンド内で仲間から水をかけられたヒーローは「ちょっと寒いですね」と最後は照れ笑いを浮かべた。

先発マウンドにあがった21歳の佐々木朗希は前日会見で引き締まった表情で語った言葉通り、気持ちのこもったマウンドとなった。

アクシデントは0-0で迎えた二回に訪れた。一死一塁の場面で6番・ウリアスの打球が佐々木の腹部を直撃。すぐにトレーナーや吉井投手コーチが駆けつけたが、「大丈夫」と制した。後続のトレイホを併殺に打ち取ったが、四回にメジャーの洗礼を浴びた。

二死一、二塁のピンチを背負うと、二回に腹部に打球を受けたウリアスにレフトスタンドに3ランを浴びる。昨年12月、佐々木はこの日2番手で登板した山本由伸とともに、この日の会場であるフロリダ州マイアミにある「ローンデポ・パーク」球場やロッカールームを訪れ、この試合に投げることをイメージしてきた。しかし、メジャーリーグのブルワーズの好打者の前に沈んだ。

その佐々木を援護したかった打線だが、五回に岡本和真の放ったレフトスタンドに入ろうかという打球をメキシコのレフト・アロザレーナが好捕。好機に3度打順が回ってきた村上がいずれも三振と得点がとれない状態が続いていた。

3点を追う七回二死一、二塁から吉田正尚がカージナルスの左投手・ロメロの内角低めのボールをとらえ、ライトポール際に同点弾。ベンチに戻った吉田は大谷の大きな胸に飛び込んで喜びを爆発させたが、同点に追いついた直後の八回、山本と湯浅京己がタイムリーを許し、再び3-5と2点差に広げられた。

その裏、山川穂高の犠飛で1点差に迫り、迎えた九回。大谷はメキシコの守護神・ガイエコスの初球をとらえ、二塁打。ヘルメットを飛ばす激走を見せ、塁上で手を広げながら何度も吠えた。続く4番の吉田が四球を選び、無死一、二塁とサヨナラの場面で回ってきたのがこの試合も3三振と不振にあえいでいた村上だった。

3月15日、野球解説者・高木豊氏のYouTubeチャンネル「高木豊Takagi Yutaka」に出演したダルビッシュ有が、村上の苦悩を明かしていた。

大谷翔平がエンゼルスのキャンプを離れ、帰国直後の3月上旬、名古屋のバンテリンドームで豪快なアーチを放つ打撃練習を見ている時のことだった。ダルビッシュがこう振り返る。

<(日本代表の)みんなが(大谷のバッティングを)すごいすごい、と言っている中でひとり(村上は)怒っていたんです。『負けたくねえ』とずっと言っていた。(昨シーズン)56本打っているし、どこかで勝てるんじゃないかと思っていたと思います。(中略)でも(大谷の打撃練習を見て)その時、自分では今は勝てない、と思ったんでしょうね>

そのイライラしている様子をみて、ダルビッシュは<この気持ちはすごくいいなと思った>。村上はロッカールームに戻ると、ダルビッシュに対し、大谷が飲んでいるサプリメントやトレーニングのことを真剣に聞いてきたという。

ただこの「大谷には今はかなわない」という気持ちを打席にまで引きずってしまったのが今大会の村上だったが、凡打したら終わり、という絶体絶命の場面で会心の一撃を放ち、今までのモヤモヤを吹き飛ばした。

九回、先頭打者として二塁打を放ち、口火を切った大谷は試合後、声を上ずらせた。

「本当にムネ(村上)が苦しかったと思うんですけど、最後にいい形を見せてくれた。僕が塁に出れば必ず点を取れると思っていた。チーム全体で折れかけたこともあったと思うけど、最後まであきらめず、つないでつないで、ああいう結果(サヨナラ勝ち)になったと思う。(明日の米国戦は)最高の舞台で最高の相手。緊張することもあると思うけど、楽しみたい。身を粉にして全力で準備したい」

大谷は打者だけでなく、展開次第ではマウンドにあがる意気込みも示した。明日は、どんな劇的なドラマが待っているだろうか。

大谷のすごさを間近に見て、負けん気が気負いに変わっていた村上。サヨナラ安打で吹っ切れるだろうか(写真:アフロ)
大谷のすごさを間近に見て、負けん気が気負いに変わっていた村上。サヨナラ安打で吹っ切れるだろうか(写真:アフロ)

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