のん独立、ピエール瀧「逮捕」…やっと再放送のNHK『あまちゃん』が初見「Z世代」を魅了するワケ | FRIDAYデジタル

のん独立、ピエール瀧「逮捕」…やっと再放送のNHK『あまちゃん』が初見「Z世代」を魅了するワケ

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麻薬取締法違反で逮捕されたピエール瀧。彼の事件は、『あまちゃん』再放送が延期した理由の一つ(’19年)
麻薬取締法違反で逮捕されたピエール瀧。彼の事件は、『あまちゃん』再放送が延期した理由の一つ(’19年)

4月3日からNHK BSプレミアムで再放送がスタートした朝ドラ『あまちゃん』。Twitterでは連日、関連ワードがトレンド入りを果たすなど、同日に始まった今期の朝ドラ『らんまん』を上回る盛り上がりを見せている。

「このドラマは、’13年上半期に放送され注目を集めた宮藤官九郎が脚本を手掛けるオリジナルストーリー。第一部では、岩手県三陸海岸沿いにある架空の街・北三陸市を舞台に、東京の女子高生アキ(能年玲奈・現在のん)が母・春子(小泉今日子)と里帰り。

祖母・夏(宮本信子)の後を追って海女になり、思いがけないことから人気を得て地元のアイドルになる姿が描かれます。ドラマに登場する『じぇじぇじぇ』という言葉は、その年の流行語大賞を受賞。最終回が終わると、『あまロス』に陥る視聴者が続出するなど、朝ドラ界に金字塔を打ち立てました」(ワイドショー関係者)

その国民的ドラマが、10年ぶりに復活。しかし、再放送までの道のりは、長く険しいものだった。

「『あまちゃん』をきっかけに国民的女優となった能年は、翌年主演映画『ホットロード』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。スターへの階段を一気に駆け上がっていくかに見えました。ところが個人事務所を立ち上げ独立。能年玲奈から〝のん〟に改名しました。

その後、テレビ界から離れたこともあり、なかなか再放送されなかったものの’19年に待ちに待った『あまちゃん』の総集編の再放送が決定。しかし、ここでもトラブルが発生。出演していたピエール瀧がコカイン使用疑惑で逮捕され、総集編の後半部分はお蔵入り。NHKで陽の目を見ることはありませんでした。それだけに、今回の放送で『あまちゃん』を初めて観る視聴者も多いようです」(前出・ワイドショー関係者)

国民的ドラマとまで言われた『あまちゃん』。この作品が果たした役割は、とてつもなく大きい。その一端をここでつまびらかにしたい。

『あまちゃん』が画期的だったのは〝ドラマを観ながらつぶやく〟視聴スタイルの先駆けとなり、朝ドラにネット民を呼び込むことに成功した点。そのおかげで、若年の視聴者層を掘り起こした。かたよった見方をするなら、ネット民とのコラボがなければ今頃、朝ドラの命脈も尽きていたかもしれない。

しかしネット民は、このドラマのどこに魅力を感じたのか。その秘密は、ストーリーのあちこちに散りばめられた〝小ネタ〟にある。

元々、宮藤官九郎は小ネタ好きで知られるが、これが主要キャストのみならず、脇役の個性派俳優にまで及ぶため、小ネタの数はねずみ算的に増えてゆき、小ネタの〝伏線回収劇〟が連日Twitterのトレンドワードを賑わす結果となった。さらに、〝小ネタの伏線回収劇〟が、バイプレーヤーブームに火を付け、〝推しの文化〟を生み出したといっても過言ではない。

さらに今回の再放送が、『あまちゃん』を観たことがない「Z世代」女子の心を掴む可能性も充分にある。

「平成生まれの〝Z世代〟女子の間では今、80年代アイドルブームが起きています。〝坂道系〟などグループアイドル全盛時代の今の世代に、可愛らしく、歌も上手く、個性的な80年代のソロアイドルたちの姿は新鮮そのもの。

TikTokなどでは、〝Z世代〟女子が歌って踊る動画の投稿も増えています。さらに人気音楽番組『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)などでも『80年代女性アイドルソングランキング ベスト15』といった特集が組まれるなど今、大きなトレンドになりつつあります」(音楽プロデューサー)

そんな中、『あまちゃん』には〝80年代女性アイドル〟を牽引してきた小泉今日子と薬師丸ひろ子が出演。5月20日に小泉演じる天野春子が『潮騒のメモリー』を歌うシーンが登場するやネット民も大興奮。

〝神回〟の声が上がる中、Twitterのトレンドワード1位を獲得。さらに5月24日に薬師丸ひろ子演じる大女優・鈴鹿ひろみのポスターが映し出されるだけで、〝鈴鹿ひろみ〟の名前がトレンド入りするなど、早くも大ブレイクの予感を見せている。

様々な思いが交錯する10年ぶりの『あまちゃん』の再放送。中でも特に期待を寄せているのが小泉今日子ではないか。

「小泉は今年の夏、みずからがプロデュースを手掛ける舞台『ピエタ』に出演。この作品は直木賞作家・大島真寿美の同名小説を舞台化。’20年にはコロナ禍のため中止となりましたが、この作品を舞台化することは小泉が事務所を独立した頃からの悲願でもあります」(制作会社プロデューサー)

この夏、東京・下北沢の本多劇場が満員になるかどうかは、『あまちゃん』にかかっているかもしれない――。

  • 島 右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

  • PHOTO蓮尾 真司

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