「女性記者は4分以上も…」ジャニーズ会見でベテラン芸能レポーターが憂慮する「質問者の劣化ぶり」
芸能リポーター・石川敏男の芸能界〝あの出来事のウラ側は……〟
《芸能リポーター・石川敏男の芸能界〝あの出来事のウラ側は……〟》
ジャニーズ事務所の創始者・ジャニー喜多川さんが引き起こしていた未成年を含む性加害問題が、白日の下にさらされた。事務所側は〝時間無制限〟という記者会見を9月7日に開いた。
質問したい記者に挙手をさせて「一人一問」という形で始まった会見は4時間を超えた。手を挙げ続け約3時間たったころ、司会者から指名が来た。
代表権を持って新社長になった東山紀之さんに
「ジャニーさんの性の嗜好を知った時の気持ちと、その後のジャニーさんに対する思いの違い」
を聞くと、
「自分の本当に根本にあったものが全てなくなった思いでした。自分の人生の中でこれほどの落胆はなかったですね。ましてはそれを隠蔽していた。生きている意味とか、そういうことも含めて本当に考えました」
と答えた。ゆっくりと考えながら話す東山さんに好感を持った。
社長を務めるにあたって、タレント活動は引退すると言った。謝罪も補償も片手間ではできないという強い思いが生まれているのだろう。レギュラー番組を持ち、あえて社長業をしなくてもよかった人生だったのではないか。
オレにとっては、4時間以上という長い会見は、
「何でも聞いてください」
というジャニーズ側の潔い思いを感じた。
「今後、命を懸けて問題に取り組んでいきます」
と誓った東山さん。藤島ジュリー景子氏は、
「取締役は退任しますが、補償の問題が片付くまでは、役員として残ります。すべてが解決したら辞めます」
と話していた。また、
「会社の中に誰にも相談できない空気があった」
と答えた井ノ原快彦さんを含め、視聴者にも3人の誠意が伝わったんだろう。だが、数百人の少年らを巻き込んだ前代未聞の大事件が、そう簡単に幕を引くことはないのだろう。
それにしても、テレビカメラ約50台、スチールカメラマン60人という〝大記者会見〟。質問する記者を指名する進行役の手際の悪さが気になった。
「右側の列の前から3列目の白いワイシャツの方」
「真ん中の列の4番目のマスクをした人」
などと、声をかけていく。
記者会見と〝インタビュー取材〟は大きく違う。まして「一人一問」という制約付き。
それでも、守らない記者も出てくる。それに前の記者が質問した後、次に選ばれた記者は関連した質問をしない。
結果、同じ質問の堂々巡り。会見は肝心なことを
「最短の言葉で聞いて、相手の話を聞き出す」
というのが大テーマ。残念ながら記者の連係プレーは成立していなかった。
芸能人の記者会見では、前にずらっと並んだレポーターたちが短い質問で関連質問を聞き出していく。そのあとに記者さんたちが、疑問点をさらに深く聞いていく。
その方がテレビを観ている人には分かりやすい。まして、NHKも含め民放各局が生中継していたのだから。
最近は記者会見が少なくなってしまったから、下手になってしまった記者たちが増えたとしか思えない。偉そうには言えないが、まるで素人だ。
今回の記者会見で気になったのが、質問中止を呼びかけられた中で、一人頑張っている様子を見せた女性新聞記者。知り合いの後輩記者が
「ドラマにもなった、有名な〇〇さんですよ」
と名前と〝どんな人〟かを教えてくれたが、あえて書かない。無知なオレはその人を全く知らなかった。
記者会見では東山さんがJr.にしたというセクハラに関して質問。一部報道では〝4分以上〟も一方的に話していたと書かれていたが、これじゃ質問じゃなくて自分の〝意見〟だよ。
元Jr.が書いた本の中身を持ち出し、東山さんの過去のセクハラ疑惑について迫っていた。でも、これだって自分がきちんと取材しているのだろうか?
とにかく、生放送だったからか分からないけれど、〝自分が目立つ〟ことしか考えていないように見えた。こんな感じで、この記者は読者や視聴者からは信用されているのだろうか――。
取材・文:石川 敏男(芸能レポーター)
‘46年生まれ、東京都出身。松竹宣伝部→女性誌記者→芸能レポーターという異色の経歴の持ち主。『ザ・ワイド』『情報ライブ ミヤネ屋』(ともに日本テレビ系)などで活躍後、現在は『めんたいワイド』(福岡放送)、『す・またん』(読売テレビ)、レインボータウンFMにレギュラー出演中
PHOTO:中村 和彦