<p><a href="#" data-ident_hash="d9021ea7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/89efe72101aad68272b2bbe12f83359e.jpg" alt=""></a></p>
<p>今シーズンのプロ野球は、名将の″頭脳バトル″で幕を閉じた。ナカジマジックでパ・リーグ３連覇を達成したオリックスの中嶋聡監督（54）と38年ぶりの「アレ」を成し遂げた阪神の岡田彰布監督（65）は、日本シリーズ第７戦までもつれ込む一進一退の名勝負を繰り広げた。</p>
<p>そのウラで――。実は今季、″２年連続最下位″という屈辱を味わった迷将がセ・パ両リーグで誕生していた。中日の立浪和義監督（54）と、日本ハムの新庄剛志監督（51）である。</p>
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<p><span class="strongInContent">「同じ’22年からチームを率い、今季は両者ともに82敗と互角の負けっぷりで２年連続のビリとなりました。数字上では共通点の多い二人ですが、性格は正反対。立浪さんは、規律や上下関係に厳しい″昭和の体育会系″タイプです。新庄さんは、選手と距離が近い″兄貴分″タイプですね」（スポーツ紙デスク）</span></p>
<p>異なるアプローチで来季からの下剋上を狙う両者だが、現時点で名将になり得るのはどちらなのだろうか。まずはその指導法を比較してみよう。</p>
<p>「監督の指導には絶対服従。それが立浪ドラゴンズです」と苦笑いするのは、現役中日選手のＡだ。</p>
<p><span class="strongInContent">「前半戦のある日、監督は目にかけたとある選手のスイングを″矯正″すべく、マンツーマンで指導していました。ところが、監督が教えた″上から振り下ろすようなスイング″がフィットしなかったらしく、しばらくしてその選手は元の形に戻した。監督はそれに気づくと激怒、二軍降格を命じたのです。今はそれぞれの個性に合った指導をするのが当たり前の時代ですから、選手たちは困惑しています。</span></p>
<p><span class="strongInContent">『監督に逆らったら即二軍だし……』と顔色ばかり窺っている者も多い。<br>
もちろん、監督の教えで開眼する人もいますよ。侍ジャパンに選出された岡林勇希（21）は、教えがハマって今季の安打数163はリーグ３位。ベテランの巧打者、大島洋平（38）さんの後釜に立候補する大活躍でした。岡林のように、常に緊張感のある雰囲気で練習できることを喜ぶストイックな選手も一部います」</span></p>
<p>黄金時代のＰＬ学園さながらのトップダウン式指導は、選手間でも賛否が分かれているという。</p>
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<div data-friday-nextpage-lead="新庄剛志のこだわり"></div>
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<p>そんな立浪ドラゴンズのスポ根体質を「うちとは真逆」と評するのは、とある日ハム関係者だ。</p>
<p><span class="strongInContent">「監督から直接指導が入ることはめったにない。選手たちは自分で考えて、限られたチャンスをモノにしなければならないので必死です。『監督に従えば出してもらえる』なんてことはなく、サボろうと思えばいくらでもサボれてしまう。頭を使わない選手にとっては立浪さんより残酷です。</span></p>
<p><span class="strongInContent">今季、本塁打王争いを演じた万波中正（23）や、清宮幸太郎（24）ら主軸選手は監督の意図を汲み取って強振と軽打の使い分けができるようになり、打者として成長している。一方で、監督のビジョンについていけなかったり、監督が興味を失った選手は置いていかれます」</span></p>
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<p>放任主義で″ひらめき野球″を体現していると思われがちな新庄だが、こと采配にはこだわりがあるという。</p>
<p><span class="strongInContent">「監督は現役時代、ノーサインで奇想天外なプレーを決行しファンを喜ばせていましたが、ノムさんに可愛がられただけあって、監督としては規律を重視。選手たちには『サインには絶対服従』と指導しているようです。たとえばランナー一・三塁の場面でダブルスチールのサインを出した時のこと。三塁走者は状況を見て『間に合わない』と判断し、ホーム突入を自重したのですが、新庄監督はそれを叱責したんです。</span></p>
<p><span class="strongInContent">『まだチームが弱いんだから、そこまで機転を利かせなくていい』と。まずはサインプレーを身体に浸透させ、その上で選手が個人で判断できるようになることを理想としているようです。６月８日の広島戦で怠慢プレーをした清水優心(ゆうし)（27）を翌日に二軍降格させるなど、厳しい采配を見せることもありました」（野球解説者の高木豊氏）</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="規律の中に理屈はあるか"></div>
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<h2>規律の中に理屈はあるか</h2>
<p>新庄が自らの理想に真っすぐな反面、立浪采配には不可解な点が多い。</p>
<p><span class="strongInContent">「８月25日のＤｅＮＡ戦、立浪さんは６点ビハインドの９回に今季初登板の近藤廉（25）を送りこんだ。しかし、ＤｅＮＡ打線の猛攻を浴びて近藤は10失点。その間、立浪さんは投手交代を告げず、完全な見殺し状態に。顔面蒼白で投げる姿にファンから『がんばれ近藤』コールが起き、対戦相手のトレバー・バウアー投手（32）がフォローする異常事態となりました。なんとか３アウトを取った近藤の球数は62に達していた。潰れてしまってもおかしくなかった」（中日番記者）</span></p>
<p>前出の中日選手Ａは、近藤のその後の扱いにも憤慨している。</p>
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<p><span class="strongInContent">「二軍に落とされた近藤は、炎天下のナゴヤ球場で２日間にわたってポール間を″罰走″させられたようです。コーチと話し合って決めたと球団は説明していますが、監督の″スポ根精神″への忖度が背景にあることは間違いない。近藤はシーズン終了後に戦力外通告を受けました」</span></p>
<p>別の中日選手Ｂも同調する。</p>
<p><span class="strongInContent">「話題になった″令和の米騒動″の一件もそうです。監督が軽食コーナーにあった炊飯器を『試合前に米を食べると体が動かなくなる』と撤去してしまった。監督の現役時代は試合前に炭水化物を摂らないのが当たり前だったのかもしれませんが今の時代にはマッチしていないし、もし撤去するにしても説明が欲しかった。</span></p>
<p><span class="strongInContent">なにより、『夕刊紙にリークしたのは誰だ』と犯人探しが始まったり、他球団の選手に『米すら食えないなんて大変だな（笑）』とバカにされるのがツラかった。やっと収まったと思ったら、昵懇の野球好きタレントである稲村亜美（27）に『米騒動の件、ホントですか？』と聞かれアッサリ『ホンマよ』と認めてしまい、話題が再燃しました。野球以外のことで不名誉な注目を浴びるのはイヤですよ」</span></p>
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<div data-friday-nextpage-lead="名将の片鱗を見せているのは……"></div>
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<p>采配にも選手のマネジメントにも苦戦している様子の立浪だが、前出の高木氏は「同情の余地もある」と話す。</p>
<p><span class="strongInContent">「中日はチーム編成がおかしい。内野が薄い一方で、外野手が19人も登録されているというアンバランスなチームを任されて、勝てというほうが難しい。球団を再興するためには厳しい指揮官が必要ですよ。あと３年ほど続投して初めて、彼の真価が試されるでしょう」</span></p>
<p>現時点で名将の片鱗を見せているのは、新庄のほうだろう。</p>
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<p><span class="strongInContent">「監督１年目は『優勝を目指していない』『１年かけてトライアウトをやる』と宣言。ポジションをシャッフルしたり、打順をファン投票で決めたりして選手やファンから顰蹙(ひんしゅく)を買いましたが、今季は見込んだ選手をガマンして起用。選手の育成にも成功しています。12球団で最も平均年齢が若いチームで勢いもあるし、日ハムはこれから強くなります」（高木氏）</span></p>
<p>最下位チームによる″裏日本シリーズ″の監督対決は、新庄に軍配が上がった。ドラゴンズを率いる立浪に、終盤での粘りがお家芸だった母校・ＰＬ学園のように「逆転」を期待したいところだが……。</p>
<figure id="attachment_344402" aria-describedby="caption-attachment-344402" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f2671836"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/34259b6c25bb0250703bd1e21336a2b2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344402" class="wp-caption-text">新庄ファイターズ一番の成長株・万波は今季25本塁打でブレーク。強肩を活かした守備も魅力</figcaption></figure>
<figure id="attachment_344403" aria-describedby="caption-attachment-344403" style="width: 1599px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="f8374886"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/1f20a20733210fc64b9db471202701df.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344403" class="wp-caption-text">立浪就任以前は２年間でわずか30試合出場だった岡林。監督の愛のある指導が実ったか</figcaption></figure>
<figure id="attachment_344404" aria-describedby="caption-attachment-344404" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="bee4a236"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/cc69ee07ff7155d0786e63ff4347e96c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344404" class="wp-caption-text">ある日の中日ベンチ。若手は浮かない表情を見せ、ベテランは茫然。まるで「最後の晩餐」のような悲哀が漂う</figcaption></figure>
<figure id="attachment_344405" aria-describedby="caption-attachment-344405" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="47f3f3d7"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/b68bad0cde06b86c18b4f48e23487e73.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-344405" class="wp-caption-text">清宮の俊敏な動きに目をつけ、今季から三塁手にコンバートした新庄。減量を命じたのもBIG BOSSだった</figcaption></figure>
<p>『FRIDAY』2023年12月1日号より</p>
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時事通信社　アフロ　共同通信社

今シーズンのプロ野球は、名将の″頭脳バトル″で幕を閉じた。そのウラで…今季、"２年連続最下位"という屈辱を味わった迷将、中日の立浪監督と日本ハムの新庄監督。来季の名将になり得るのはどちらか徹底分析！

《プロ野球閉幕「特別企画」》″PL出身体育会系″のミスタードラゴンズか″ひらめきエンターテイナー″のビッグボスか、マネジメント、采配、指導法を徹底分析

「昭和の体育会系」「兄貴分」中日･立浪 VS.日ハム･新庄 …名将になるかもしれないのはどっち？

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