編集・ライター。’83年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。

釼持 陽子

<h3><span class="strongInContent">361個の「ツボ」がWHOで有効性を認められている</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p><span class="strongInContent">「会議での発言やプレゼン前にいつもあがってしまうという人は、緊張を和らげるツボを押すと心が落ち着いて、安定してパフォーマンスを発揮できるようになります。ツボを覚えておけば『緊張してきた』とソワソワしたときにすぐに対処できます」</span></p>
<p>と話すのは、鍼灸師・国際中医師の田中友也さん。</p>
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<p>人前に出るとドキドキして呼吸が浅くなる、口の中がカラカラに乾く、手が震えて汗が出るなど、“あがり症”で悩んでいる人は意外と多い。しかも、周りが流暢に話せる人ばかりだと、ますます人には相談しづらい。</p>
<figure id="attachment_345307" aria-describedby="caption-attachment-345307" style="width: 5120px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b5307ea0"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/2907c658972293269f1016cde97500c2.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345307" class="wp-caption-text">緊張すると心臓がドキドキ・バクバクしたり、落ち着かなくなったりするのは、交感神経が優位になっているから。「あがり症は『失敗できない』と思っている完璧主義の人に多い」と田中さん（PHOTO：アフロ）</figcaption></figure>
<p><span class="strongInContent">「ツボ押しは、東洋医学のセルフケアです。鍼やお灸でツボ刺激をする鍼灸（しんきゅう）もそのひとつ。“ツボ”といわれてもどこにあるの？ と思う人がほとんどでしょう。</span></p>
<p><span class="strongInContent">東洋医学の考え方で、体には『経絡（けいらく）』というエネルギーの通り道があると考えられています。体の前側と後ろ側に合わせて14の経絡があり、ツボはその経絡に沿って存在しています。例えるならば、経絡は電車の“路線”で、ツボは“駅”のようなもの。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">東洋医学では、エネルギーをあらわす『気』と、血液などをあらわす『血』がスムーズに流れている体が健康とされます。ツボはこの気血（きけつ）が集まる場所。不調のある場所をツボ押しで刺激することで気血の滞りがなくなり、体や心の体調が改善するのです」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
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<p>頭のてっぺんから足の先まで、全身に点在しているツボ。頭や肩をもんだり目の周りを温めたりしたときにスッキリするのは、周辺のツボが刺激されて気血が巡ったからだ。ツボは単なる民間療法と思われがちだが、医療分野でも取り入れられ、その効果は世界でも認められている。<span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">「ツボの有効性は、WHO（世界保健機関）でも認められ、現在361個が認定されています。“路線と駅”で例えましたが、都内でいうと東京駅や品川駅のような主要駅は利便性が高く、重要な役割を担っています。それと似ていて、ツボの中にも緊張しやすい体質を改善するだけでなく、さまざまな心身の不調に作用する“万能のツボ”があります」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="緊張に効く３つのツボとは…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">メンタルがスーッと落ち着く「緊張に効く３つのツボ」</span></h3>
<p>緊張による“ソワソワ感”を落ち着かせてくれるツボが、「合谷（ごうごく）」「労宮（ろうきゅう）」「膻中（だんちゅう）」の３つだ。合谷と労宮は手のツボ。会議やプレゼンの直前まで押していても周りの人にバレにくい。</p>
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<p><span class="strongInContent">「手の甲にある『合谷』は、気の巡りを良くする働きがあります。ガチガチに緊張した体をゆるめたいときに押しましょう。合谷は、メンタルを落ち着かせるほか、頭痛や歯の痛みを鎮める、風邪予防などの効果がある“万能のツボ”。ふだんから合谷のツボ押しを習慣にして体調管理をするのもおすすめです。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">どのツボも押す時間と回数は５秒×５セットが目安。時間や回数は減らしても増やしてもOK。心地いい、ラクになったと感じる程度にしましょう」</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<figure id="attachment_345308" aria-describedby="caption-attachment-345308" style="width: 1600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="b1c3a565"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/8e87145099989e8eff7a96b18ccf5b14.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345308" class="wp-caption-text">【合谷（ごうごく）】親指と人差し指の骨の付け根。骨がV字になったくぼみ部分。押し方は、反対の手でくぼみ部分をはさみ、親指で人差し指の骨側に向かってズーンと響く強さで押し込む。手を入れ替えて反対側も同様に</figcaption></figure>
<p>２つ目は、手のひら側にある『労宮（ろうきゅう）』。体にこもった熱をクールダウンさせて、顔が赤くなるのを予防するツボだ。胃のムカムカを抑えてくれる働きがあり、緊張すると胃が痛くなる体質の人にも効果が高い。</p>
<figure id="attachment_345309" aria-describedby="caption-attachment-345309" style="width: 1600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ce27d84c"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/b68c648c284220e0f0f6d15f4a66ba2b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345309" class="wp-caption-text">【労宮（ろうきゅう）】手をグーにしたときに、人差し指と中指の指先が当たる場所の間。反対の手の親指を使い、手首側から指先に向かって押し上げるイメージで、イタ気持ちいい程度に押す。手を入れ替えて反対側も同様に</figcaption></figure>
<p>３つ目は、胸の真ん中にある「膻中（だんちゅう）」。上から下にさする、もしくは手を重ねて置く方法でツボに働きかける。<span class="strongInContent"> </span></p>
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<p><span class="strongInContent">「『膻中』は呼吸を整えて、肺や胃の“気”が上にあがるのを鎮めます。緊張すると息が上がる、せき払いが止まらなくなる人は膻中をさすってみてください。心がスーッと安らかになるはずです」</span></p>
<figure id="attachment_345310" aria-describedby="caption-attachment-345310" style="width: 1600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fa2943ac"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/3bd0a246bd4e328fc1392210134b872b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345310" class="wp-caption-text">【膻中（だんちゅう）】左右の乳首を結んだ線の真ん中にある。手のひらで上から下へさするか、手を添えて膻中を温める。軽い痛みを感じる程度にゆっくり押す方法でも良い</figcaption></figure>
<div data-friday-nextpage-lead="現代人の多くは「肝の気」が滞っている"></div>
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<h3><span class="strongInContent">現代人の多くは「肝の気」が滞っている</span></h3>
<p>東洋医学で緊張しやすい体質の人は、五臓六腑のうち「肝」の気の流れが悪いとされている。肝は自律神経や情緒をコントロールしているため、大事な場面になるとメンタルが落ち着かなくなる。</p>
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<p><span class="strongInContent">「肝は筋肉とも関係が深いため、緊張すると体がガチガチに。また、肝は血のタンクでもあり、うまく働かなくなると血も不足して手や声が震えたり、考えがまとまりにくくなったりします。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">肝はストレスに左右されるため、現代人のほとんどが弱っているといっても良いでしょう。こまめにストレスを発散する、頭を休める時間を持つ、睡眠時間を削って仕事をしないなど、がんばりすぎない生活で肝を労わることも重要。それが“あがり症”を克服する体質改善の基本といえます」</span></p>
<figure id="attachment_345311" aria-describedby="caption-attachment-345311" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c152b577"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/11/021fb31b1e87edba4991c92bde534ace.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-345311" class="wp-caption-text">手のツボを押すときの強さは「イタ気持ちいい程度」が目安。痛いほど効いている感じがするが、それは間違い。ツボ押しは自分が心地いいと思う強さがベストだ</figcaption></figure>
<p>人前で話すことは、誰でもプレッシャーを感じるはずだ。できるだけ緊張を和らげるには、飲み物を飲んだり、体を動かしたりすることも有効という。</p>
<p><span class="strongInContent">「ミントは気の流れをスムーズにして余分な熱を冷ます働きがあります。ソワソワして落ち着かないときは、ミント味のタブレットやミントティーを飲んでみましょう。牛乳には心を落ち着かせる効果があるので、コーヒーや紅茶に混ぜて飲むのもおすすめ。また、体を伸ばして胸を開くストレッチをすると呼吸が深くなります。</span><span class="strongInContent"> </span></p>
<p><span class="strongInContent">さらに、『この動画を見ると落ち着く』など、何でもいいのでいつもの自分に戻れる“安心材料”を持っておくのも手。完璧主義の人ほど、過緊張になりやすくなります。何事も完璧を求めずに、『失敗も経験のうち』と思って臨むと楽になりますよ」</span></p>
<p>緊張しやすい、でも周りにはバレたくないという人の救世主になるツボ押し。会議やプレゼン前にこっそりと心をほぐせば、いつもより“あがらない自分”で臨めるかもしれない。<span class="strongInContent"> </span></p>
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<p><span class="strongInContent">田中友也（たなか・ともや）　</span>鍼灸師、国際中医専門員（国際中医師）、国際薬膳管理師。兵庫県神戸市にある「CoCo美漢方（びかんぽう）」で漢方相談を行う。鍼灸学校で講師も務める。日々の養生をつぶやくX（旧Twitter）が人気で、フォロワーは15万人。著書に『不調ごとのセルフケア大全 おうち養生 きほんの100』（KADOKAWA）など多数。</p>


編集・ライター。1983年、山形県生まれ。10年間、健康情報誌の編集部で月刊誌・Webメディアの編集に携わったのちフリーランスに。現在はヘルスケア・医療分野などを中心に、医師や専門家の取材、企画、執筆を行う。

釼持陽子

まつもとえりこ

“あがり症”で悩んでいる人は意外と多い。緊張による“ソワソワ感”を落ち着かせてくれて、メンタルがスーッと落ち着く３つの「ツボ」。ツボの有効性は、WHOでも認められているという。

「過緊張・あがりやすい人」の救世主…会議やプレゼン前の“ソワソワ感”に「５秒ツボ押し」が効く！

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