<h3><span class="strongInContent">年会費無料の「ゴールドカード」も登場</span></h3>
<p>NTTドコモが実施した調査が一部で話題となっている。クレジットカードのいわゆるゴールドカードを保有している人の約63%は、個人年収400万円未満だった、という内容だ。「ゴールドカードは、“大衆化”の時代へ」という見出しも付いている。</p>
<p>ここでいうゴールドカードは、NTTドコモが発行する<span class="strongInContent">『dカード GOLD』</span>だけでなく、他社発行も含まれている。また、調査の中には、「保有者数トップのゴールドカードはdカード GOLD」という項目がしっかりと入っていることから、調査自体が宣伝の一環として実施されたことが窺われる。それらを踏まえた上でも、<span class="strongInContent">一般的なゴールドカードのイメージと違って、「ユーザーの年収はそんなに高くない」という結果</span>が、関心を呼んだということだろう。</p>
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<figure id="attachment_347407" aria-describedby="caption-attachment-347407" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="59c37508"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/5c78ec5d0c0f9d624e70925cb512427b.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-347407" class="wp-caption-text">憧れだった「ゴールドカード」。しかし、保有者の約63%は、個人年収400万円未満だったという現実</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">カード会社自らが招いた「ゴールドカード」の地盤沈下</span><span class="strongInContent"> </span></h3>
<p>但し、実は似たようなアンケート調査は、ここ数年で他にも実施されており、今回のNTTドコモの内容と、それほど大きな違いはない。したがって、クレジットカード業界にある程度明るい人には、違和感はないはずだ。</p>
<p>そもそも、ゴールドカードの大衆化は、カード会社が先導したものといえる。’10年代の中頃、まず若者向けゴールドカードが流行った。ユーザーを20代に限定したものが多く、<span class="strongInContent">審査基準を緩くし、年会費も既存のゴールドカードから大幅に引き下げた。20代のうちからユーザーとして取り込んでおこうという、カード会社の戦略</span>だった。</p>
<p><span class="strongInContent">その後、登場したのが「格安ゴールドカード」である。若者向けよりもさらに年会費を引き下げたものも多く、中には、年会費が税込みで2000円を切るカードもあった。この格安ゴールドカードは、カード会社の前向きな戦略というよりも、新たな収益源を求めた結果、生まれたという側面が強い。</span></p>
<figure id="attachment_347408" aria-describedby="caption-attachment-347408" style="width: 2499px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="cc3ab34b"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/71b9234da68f81d8295cd634f144bf18.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-347408" class="wp-caption-text">ゴールドカード保有者の個人年収は、１位が「200万円未満（39.6%）」、次いで「200万円～400万円未満（23.2%）」（NTT ドコモ「全世代のゴールドカード保有・利用に関する調査」より）</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">券面がゴールドになっただけ…「ゴールドカード」の価値は？</span></h3>
<p>というのも、その頃は、すでに<span class="strongInContent">『楽天カード』</span>が猛威を振るい始めていたから。<span class="strongInContent">「年会費無料・ポイント還元率１％」という、当時としては破格のスペックに、既存のカード会社は太刀打ちできなかったのだ。そこで、対抗策として、ゴールドカードのステータス感、プレミアム感を切り売りして、年会費で収益を確保しようとしたのが格安ゴールドカードというわけだ。</span></p>
<div data-friday-nextpage-lead="「コスパ追求」でゴールドカード？"></div>
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<p>実際、格安ゴールドカードは、国内及び海外の旅行傷害保険が付帯する程度で、レギュラークラスのカードとの差別化要素には乏しく、基本的には、券面がゴールドになっただけ、という仕様が多かったといえる。</p>
<p>その後、世の中の移り変わりとともに、クレジットカードにステータス感を求める人はどんどん減り、コスパ重視の傾向が強まっていく。<span class="strongInContent">「年会費無料・ポイント還元率１％」は、半ばカードのデフォルトのスペックとなり、生活のあらゆるシーンでポイントを貯めようとする「ポイ活」も定着。</span>現在では、<span class="strongInContent">『イオンゴールドカード』</span>や<span class="strongInContent">『セブンカード・プラス（ゴールド）』</span>のように、招待制のインビテーションカードで年会費無料のゴールドカードも存在する。</p>
<figure id="attachment_347409" aria-describedby="caption-attachment-347409" style="width: 2800px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="864c64fc"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/c910f2e72ececbbfc386881386ca1ad9.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-347409" class="wp-caption-text">クレジットカードクチコミ情報サイト「クレコミ」が実施した『所持しているゴールドカードと発行した理由』のアンケート結果より（’21年３月・240人・複数回答あり）</figcaption></figure>
<figure id="attachment_347411" aria-describedby="caption-attachment-347411" style="width: 2500px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="5d947568"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/d4e66da6aa240743e952a800af23ccd7.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-347411" class="wp-caption-text">現在所有しているゴールドカードを発行した理由についてのアンケート結果は…</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">「コスパ追求」で選ばれている現在のゴールドカード事情</span></h3>
<p>その点、dカード GOLDの年会費は、ゴールドカードらしい１万1000円（税込）だ。一見、コスパ重視の風潮に反するようだが、そうではない。スマホ代や光ケーブル代などをひっくるめた料金の10％分がポイント還元されるのだ。たとえば、毎月約9000円の利用があれば、ほぼ年会費の元は取れる計算となる。格安スマホが普及している昨今、「そんなに携帯料金ってかかるの？」と疑問を持つ人もいるかもしれない。実は、格安スマホが浸透する一方、通常キャリアでデータ通信の「中・大容量プラン」にしている人も増加している。</p>
<p>NTTドコモの資料をみると、中・大容量プランの契約者数は’22年度で前年度比＋20％の1200万人いる模様。dカード GOLDのユーザーは1000万人超なので、計算は合う。おそらく、中・大容量プランの契約が増えているのは、『ネットフリックス』や『ディズニープラス』といった動画系のサブスクを視聴する人が増えている影響だろう。</p>
<p><span class="strongInContent">つまり、お得なカードを選んでいったらゴールドカードに行きついた、という人が多数派なのだろう。年収が低い人でも、十分に持つ動機はある。ゴールドカードの〝大衆化〟というよりも、〝コスパ追求〟の結果、というわけだ。</span></p>
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<p>なお、auの<span class="strongInContent">『au PAY ゴールドカード』</span>やソフトバンクの<span class="strongInContent">『PayPayカード ゴールド』</span>にも、同様の特典がある。（au PAY ゴールドカードは、毎月の料金の11％を還元していたが、’24年２月以降は10％と他社並みとなる予定）。dカード GOLDのユーザー数が多いのは、中・大容量プランの契約者数に、まだ差があると推測される。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="「NISA」で変わるクレカの選択基準"></div>
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<h3><span class="strongInContent">「NISA」で変わるクレカの選択基準</span></h3>
<p>携帯キャリアのクレジットカードが使われるようになったのは、毎月の携帯料金の支出が膨らんだことが大きい。支出が増加したため、それを少しでも減らすべく、携帯会社のカードの特典を活用しようとする人も増えたのである。</p>
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<p><span class="strongInContent">そして、今後、家計において支出が増えると予想される項目がある。「</span><span class="strongInContent">資産運用」関連だ。税制面で資産運用を優遇する国の制度『NISA（ニーサ）』は、一種のブームとなりつつあり、’24年１月からは、制度が大きく改善された「新NISA」がスタートする。</span>新たに資産運用を始める人も増えるだろう。資産運用人口はさらに増加し、関連する支出も膨らんでいくはずだ。</p>
<figure id="attachment_347412" aria-describedby="caption-attachment-347412" style="width: 640px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="6d22fb66"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/a42dc87ccf50ec8f52b98c61e5011054.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-347412" class="wp-caption-text">’24年１月からスタートする「新NISA」。これからは、投資信託の積立投資をカードで決済するとポイントが貯まる「クレカ積立」のポイント還元率をチェックしたい</figcaption></figure>
<p>その結果、<span class="strongInContent">これからは資産運用に強みを持つカードが、ますます重要になると予想される。当然、各カード陣営もそれは承知しており、例えば、投資信託の積立投資をカードで決済するとポイントが貯まるという「クレカ積立」というサービスにおいて、ポイント還元率で各社はしのぎを削っている。</span></p>
<p>現在、このクレカ積立では、auが「auマネ活プラン」を始めたことで、au PAY ゴールドカードが競合他社をリードしている。それに対して、dカード GOLDは、マネックス証券との提携を発表したばかりで、具体的なサービスはまだ発表していない。中身次第では、クレジットカードの勢力図にも影響が出るだろう。</p>
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マネーライター、ファイナンシャルプランナー／証券会社のマーケットアナリストを経て、1996年に独立。ビジネス誌や経済誌を中心に金融、資産運用の記事を執筆。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる！ キャッシュレス決済で絶対得する本 』。

松岡賢治

クレジットカードにステータス感を求める人はどんどん減り、「年会費無料・ポイント還元率１％」が半ばデフォルトのスペックとなった昨今。われわれは何を基準にクレジットカードを選べばいいのだろうか。

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