<h3><span class="strongInContent">白組の司会確実とされていた「嵐」の「松本潤」</span></h3>
<p>今年は大河ドラマ『どうする家康』の主役で、白組司会確実とされていた<span class="strongInContent">嵐</span>の<span class="strongInContent">松本潤</span>。この場所で嵐復活か？　ほかにジャニーズ勢がどこまで登場か？　などと囁かれていた。</p>
<p>しかし故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が明るみになり、昭和54（’79）年以来44年ぶりに旧ジャニーズ事務所（SMILE-UP.）所属のタレントたちはひとりも出演しない。しかしジャニー喜多川が作り上げた王国が、日本の歌謡界を動かしてきたことには違いない。そこで、ここでは『紅白』と旧ジャニーズの歴史をひもといてみる。</p>
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<p>ジャニーズ事務所は、昭和37（’62）年に渡辺プロダクションの系列会社として事業を開始。第１号タレントは、その名も<span class="strongInContent">ジャニーズ</span>だった。ナベプロ勢が多く出演したNHK『夢であいましょう』『若い季節』にマスコットボーイ的存在として登場。</p>
<p>さらに『日劇ウエスタンカーニバル』の舞台でナベプロ・伊東ゆかりの『ロコモーション』のバックダンサーをつとめる。<span class="strongInContent">「新聞に私よりジャニーズが目立って扱われてて、正直ムッとしたものよ」</span>と笑いながら伊東ゆかりは、当時を述懐する。</p>
<figure id="attachment_351550" aria-describedby="caption-attachment-351550" style="width: 1250px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="7ab1d685"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/5a62097ab63edad617857a4b42dd3f4d.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351550" class="wp-caption-text">「旧ジャニーズ」の『紅白』第１号は、その名もジャニーズだった…。写真は、ジャニーズ解散式記者会見。左から真家ひろみ、中谷良、あおい輝彦、飯野おさみ（PHOTO：産経新聞社）</figcaption></figure>
<p>昭和39（’64）年12月には『夢であいましょう』の今月の歌『若い涙』で歌手としてもデビューしたジャニーズ。40（’65）年には堂々と『紅白』にコマを進めた。ジャニーズの「紅白」第１号は、今から58年前に遡るのだ。</p>
<p>翌年には本格的なダンスレッスンのため渡米、その後解散で翌年からの『紅白』出場者は途絶えたが、今度はジャニーズのバックダンサーだった<span class="strongInContent">フォーリーブス</span>がデビュー。</p>
<p>２年後の昭和45（’70）年には、ブロマイドの売上ナンバーワンに輝いて『紅白』初登場。ジャニーズ事務所５年ぶりの『紅白』である。歌った歌は『あしたが生まれる』。</p>
<p>この歌の作曲者、「梶沢知弘」とは『青春の城下町』のヒットを持つ梶光夫のこと。のちに世界的なジュエリーデザイナーとなり現在も活躍中だが、数年前の『日本歌手協会歌謡祭』で梶とフォーリーブスのメンバーのひとり、<span class="strongInContent">江木俊夫</span>が共演し、この歌を歌った。その際、江木は「紅白は４人でマイク１本だったんですよ。前奏や間奏で踊るときは広がって、歌い始めるとマイクに集まって、そんな時代でした」と振り返った。</p>
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<p>ここから７年間、フォーリーブスは『紅白』に出場。途中、昭和48（’73）年からは<span class="strongInContent">郷ひろみ</span>が加わったが、50（’75）年に郷はバーニング・プロダクションに移籍。その後は『紅白』の顔として今年も出場回数記録を伸ばしている。そのためここから’80年代に入るまでの３年間、ふたたびジャニーズ事務所のメンバーは空白になる。</p>
<p>以前すでに退職した『紅白』のプロデューサーだった人と話したとき、<span class="strongInContent">「ジャニーさんていう人は『紅白』に事務所の歌手が出なくなっても、ちゃんと大みそかやリハーサルに顔を出してね、“やっぱり紅白に出るような歌手を来年も育てたい”と言っていましたよ」</span>と聞いたことがある。</p>
<p>当時は“国民的行事”とさえ言われていた『紅白』。そこに出場者を送り込むことは、まさに一流である証だった。それは今の比ではなかった時代でもある。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="フォーリーブス落選から３年後に…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">田原俊彦、近藤真彦、そしてシブがき隊<br>
</span></h3>
<p>昭和55（’80）年、NHK『レッツゴー・ヤング』を経て<span class="strongInContent">田原俊彦</span>が『哀愁でいと』で初出場。翌年にはトシちゃんに加えて『ギンギラギンにさりげなく』でマッチ、<span class="strongInContent">近藤真彦</span>。さらに翌57（‘82）年は『100％…SOかもね！』で<span class="strongInContent">シブがき隊</span>。３年連続『紅白』の前番組『レコード大賞』最優秀新人賞を手土産にNHKホールに参上。</p>
<p>それまでアイドルとして開始すぐの前半で登場していたが、翌58年にはマッチが後半のトップバッター、トシちゃんも北島三郎、五木ひろしらベテランに混じってのラストコーナーでの歌唱。俊、マッチ、シブがきの３組体制が４年続いた後、61（’86）年には<span class="strongInContent">少年隊</span>が初登場。</p>
<p>加山雄三の紹介「少年隊の仮面ライダー！」が有名になった年。お正月になってジャニー社長が少年隊に向かって<span class="strongInContent">「ユーたち、あれで日本人みんなが覚えてくれたね」</span>と上機嫌だったという。</p>
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<figure id="attachment_351529" aria-describedby="caption-attachment-351529" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="51fc3288"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/cfb67c12fc9653bd29d2ddd3a065146f.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351529" class="wp-caption-text">デビュー間もなかったSMAPの初登場は平成３（’91）年。中居正広は、平成９（’97）から５年間司会をつとめた（PHOTO：蓮尾真司）</figcaption></figure>
<h3><span class="strongInContent">少年隊、光・GENJI、男闘呼組…黄金時代が始まる</span></h3>
<p>実はこの年、メンバー発表の際、少年隊が出ることで同タイプの先輩、シブがきが落選していた。“同じ事務所から何人”という規定はなかったものの、大みそかの２日前になって出場が決まっていた北島三郎と山本譲二が前の年の暴力団の新年会に出席していたことが発覚、出演辞退に追い込まれた。急遽シブがき隊が休養中のハワイから呼び出されて、新年のコンサート用衣装で歌い、結果異例の４組出演となった。</p>
<p>ところが翌年、窮地を救ったシブがきだけでなく、７回出場してきた田原俊彦も「アイドル層の中で支持が低かった」という理由で落選。けれども翌63（‘88）年には、トシちゃんがドラマ『教師ビンビン物語』に主演、主題歌『抱きしめてTONIGHT』が大ヒットしてカムバック決定。だが前年の遺恨か、発表後１週間経って出場を辞退する。</p>
<p>この年はニューアイドルの<span class="strongInContent">光・GENJI</span>も初出場。トップバッターでローラースケートを滑らせながら『ガラスの十代』『パラダイス銀河』など４曲メドレーのこれまた異例措置。白組の２番手に出場３回目の少年隊。さらに３番手は田原の代わりに出場することになった事務所の後輩、<span class="strongInContent">男闘呼組</span>。次の４番手はマッチとジャニーズメンバー４組。</p>
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<p>そのマッチだが翌年には、恋人と噂されていた中森明菜とともに落選。７月にマッチの部屋で、明菜が自殺未遂事件を起こしたことが要因になったと言われた。しかし『紅白』の裏の時間に二人して会見し、「二人は何の関係もありません」と話し、恋に終止符が打たれた。マッチが『紅白』に次に登場するのは８年後、明菜に至ってはこの年から14年後のことである。</p>
<div data-friday-nextpage-lead="ジャニーズ一色の『紅白』に…"></div>
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<h3><span class="strongInContent">SMAPが登場…嵐ありきの『紅白』に</span></h3>
<p>こうして平成に変わり、平成２（’90）年に<span class="strongInContent">忍者</span>、そして翌３（’91）年からとうとうデビュー間もなかった<span class="strongInContent">SMAP</span>が登場する。<span class="strongInContent">中居正広</span>が初司会をつとめた平成９（’97）年にはすで出場７回目となっていた。</p>
<p>この年は第２部のトップバッターだったが、司会２年目の翌年第49回では『夜空ノムコウ』で天童よしみを相手に後ろから３番手。そして平成15（’03）年には『世界に一つだけの花』で大トリをつとめるのだ。グループ歌手がトリをとったのはこのときがはじめて。まさしく、誰もが認める日本歌謡界のトップ歌手に君臨した日でもあった。</p>
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<p>平成6（’94）年から、ジャニーズ恒例のカウントダウンライブとの兼ね合いで出場者は基本的にSMAPと<span class="strongInContent">TOKIO</span>の２組のみという時期が続いていたが、その構図が変化しジャニーズの存在感がグ～ンと高まるのが、すでに中居の司会が定着し５回目となった平成21（’09）年からのこと。デビュー10年目の<span class="strongInContent">嵐</span>が初出場し、<span class="strongInContent">NYC boys</span>も加わって計４組。ここからは活動休止前まで、嵐ありきの『紅白』がスタートする。</p>
<p>２回目出場の第61回（’10年）から５年連続で嵐として白組の司会。『感謝カンゲキ雨嵐』と『GUTS！』のメドレーを歌いながら、フライングや早着替えなどを披露、客席を沸かせた初トリの平成26（’14）年には、すでに３回目の<span class="strongInContent">関ジャニ８</span>、２回目の<span class="strongInContent">Sexy</span> <span class="strongInContent">Zone</span>に加え、遅ればせながら<span class="strongInContent">V</span><span class="strongInContent">６</span>も初出場で計６組。当時の史上最多記録となったのである。</p>
<p>翌’15年にはそのV６の井ノ原快彦がNHKの人気番組『あさイチ』のメインキャスターとしての実績も買われて司会抜擢、近藤真彦がカムバックしてトリ。翌’16年からは嵐のメンバーがひとりずつ司会をつとめることになった。さらに昨年は櫻井翔が総合司会。このラインから今年は白組の司会を単独で未経験だった松本潤の司会が有力視されていたのだ。</p>
<figure id="attachment_351530" aria-describedby="caption-attachment-351530" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="c415f8d4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/12/4a7a3accbef89c28ba1d627667265368.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-351530" class="wp-caption-text">’16年からは嵐のメンバーがひとりずつ司会をつとめることになった（PHOTO：蓮尾真司）</figcaption></figure>
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<h3><span class="strongInContent">そして、ジャニーズ一色の『紅白』</span></h3>
<p>’17年の<span class="strongInContent">Hey！Say！JUMP</span>、’18年は<span class="strongInContent">King＆Prince</span>、’19年には<span class="strongInContent">Kis-My-Ft2</span>と初出場の若手も続出、嵐の活動休止の’20年には初出場が決まった<span class="strongInContent">SixTONES</span>と<span class="strongInContent">Snow Man</span>（コロナ感染でこの年辞退）も合わせてジャニーズ事務所として’15年に並ぶ最大の７組だった。</p>
<p>昨年は彼らに加え、<span class="strongInContent">なにわ男子</span>が初出場し<span class="strongInContent">Kinki-kids</span>も返り咲くなど、ここ数年の『紅白』はまさしくジャニーズ一色だった。いや『紅白』に限らず、あらゆるメディアの中心にいたのだ。</p>
<p>それが’23年は旧ジャニーズから出場ゼロとなったわけだが、どちらにしても今年は禊ぎの年である。出ても出なくてもどちらにしても何か言われる。全員出場しないことが却って潔くて気持ちがいい気もする。</p>
<p>ジャニーズからフォーリーブスまでの空白は５年あった。フォーリーブス落選から田原俊彦から始まるジャニーズ旋風までの期間は３年。５・３と来たのだから今度は１であろうか。１年休んで、来年からまた再び『紅白』でSMILE-UP.の少年たちの活躍を見たいものである。どちらにしても『紅白』の新しい一歩には違いない。</p>


1979年、高校在学中に渡辺プロダクションから、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。その後、音楽番組の構成演出、司会、CD監修解説に加え、新聞、雑誌での執筆、作詩作曲、ラジオDJなど多方面で異才を発揮する。著書に『童謡の謎』『神社の謎』『昭和歌謡の謎』(祥伝社) 『怪物番組紅白歌合戦の真実』(幻冬舎)などがあり、現在『歳時記を歌った童謡の謎』（笠間書院）もヒット中。理事長を務める日本歌手協会の番組『新春12時間歌謡祭』が１月２日昼12時から24時までBSテレ東で放送される。

合田道人

旧ジャニーズから出場ゼロとなった今年の『紅白』。全員出場しないことが却って潔くて気持ちがいい気もする。「旧ジャニーズ」と『紅白』…「紅白博士」作家・歌手協会理事長 合田道人が語ります。

紅白歌合戦あの日あの時～「紅白博士」作家・歌手協会理事長 合田道人が語る

「タレントが出ない年でもジャニーさんはやってきていた」…「ジャニーズ」と『紅白』の歴史を振り返る

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