<figure id="attachment_55750" aria-describedby="caption-attachment-55750" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="d54627bd"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/db485f25e379dafa7af3fed89216221a.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55750" class="wp-caption-text">足立市場の入り口。最寄り駅は京成本線「千住大橋」で、同駅から徒歩約５分だ</figcaption></figure>
<h2>前身は江戸幕府の御用市場</h2>
早朝５時半――。競(せ)りの開始を告げるブザーがマグロの卸売場に響いた。雛壇に立つ仲卸(なかおろし)業者に向かい競り人が叫ぶ。
 「一番、一番、一番～！」
この日最良のネタである「一番」がつけられたのは、ニュージーランド産の天然生インドマグロ。71kgと中型だが、脂の乗りは抜群だ。仲卸業者たちはブロックサインのような「手やり」で買値を示し、価格がつり上がっていく。結局、およそ20万円で「一番」マグロは落札。100本近く並んだ生マグロと冷凍マグロは、10分ほどで競り落とされた――。
「魚河岸(うおがし)といえば『豊洲』ばかりが注目されますが、都内にはもう一つ市場があります。東京都中央卸売市場の『足立市場』です。都内で唯一の水産物専門卸売市場で、別名『千住の魚河岸』とも言われます。扱っているのは『大物』と呼ばれるマグロやカジキ、アジやサバなどの『鮮魚』、寿司ネタの『特種物』など、海産物全般に及びます」（足立市場関係者）
隅田川と国道４号線（日光街道）に面した足立市場の広さは、豊洲の10分の１ほどの約４万2000㎡だ。その歴史は古い。前身は江戸幕府の御用市場で、戦時中の昭和20(’45)年２月に都の中央卸売市場となった。
年季の入った仲卸売場内を歩いていると、昨年10月に営業を終了した老舗(しにせ)「築地市場」に来たような錯覚に陥る。
「これで、2000円でどう!?」
マグロのブロックから細長い切り身を目の前で３本切り出し、仲卸の店員が勧めてくる。「鮮魚もイイよ」と話すのは仲卸「大内商店」の大内克則社長だ。
「今のお勧めは、刺身にすると美味い茨城産のイナダ。島根・浜田産のアジも脂が乗っているから、焼いても刺身でもタタキでもいけるよ」
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仲卸売場内にはおよそ50店舗あり、水産物ならほとんど手に入る。豊洲に引けをとらない品揃えだ。
足立市場の魅力は他にもある。市場内の飲食店５軒（寿司屋、海鮮丼屋、定食屋２軒、蕎麦屋）で、仲卸から仕入れたばかりの新鮮な魚介類を食べられるのだ。中トロが絶品の「武寿司」の「にぎり特上」は、７カン＋巻き物半分で税込み3000円。豊洲より1000円以上安い。
「市場めし　とくだ屋」の看板メニューは、「特盛ごうか海鮮丼」(税込み1600円。あら汁とお新香付き)。旬のネタ13種がテンコ盛りになった豪華さだ。店主の阿部匡寿(まさとし)氏が胸を張る。
「朝に入荷した新鮮な魚介から、13種を決めます。（取材した日のネタは）北海道産のムラサキウニとイクラ、ズワイガニの爪、甘エビ、島根産ヒラマサ、白バイ貝、三重産小柱、熊本産キビナゴ、愛知産トリ貝、和歌山産バチマグロ、沖縄産海ブドウ、モーリタニア産真ダコ、キハダマグロとバチマグロのネギトロです」
新鮮な魚介料理を格安で楽しむ――。「築地」はなくなったが、昭和の市場文化は足立市場に受け継がれている。
<figure id="attachment_55751" aria-describedby="caption-attachment-55751" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="0b5c19d8"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/79529ddafb0f6eb62281b10323749873.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55751" class="wp-caption-text">午前５時。マグロの競りが始まる直前まで、仲卸業者は尾を切り落とした部分を見て脂の乗りを見極める</figcaption></figure>
<figure id="attachment_55752" aria-describedby="caption-attachment-55752" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="beb9aa10"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/4b802a5ec26386d71f1cfd3df42b450c.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55752" class="wp-caption-text">午前５時半。ブザーが鳴りマグロの競りが始まった。最初に生マグロ、次に冷凍マグロが競りにかけられる</figcaption></figure>
<figure id="attachment_55753" aria-describedby="caption-attachment-55753" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="823b434e"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/351b9bc77ee6b1b7047ed21df5c73ec0.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55753" class="wp-caption-text">競り落とされた「一番」の天然インドマグロ。仲卸店に運ばれ解体された。脂の乗った切り口が美しい</figcaption></figure>
<figure id="attachment_55754" aria-describedby="caption-attachment-55754" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="fe955ddb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/19702988a0186b34a1f5c0f4f6be6129.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55754" class="wp-caption-text">卸売場に並べられた生本マグロ。一番手前は佐渡で獲れた上物の本マグロだ</figcaption></figure>
<h2>武寿司</h2>
<a href="#" data-ident_hash="cf0a78ba"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/0ca7392d782cdfc8b1f57943fdb3c1b9.jpg" alt=""></a>
<figure id="attachment_55761" aria-describedby="caption-attachment-55761" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="9afd98f4"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/4d02390eae94e67c79a89ae55a832fa6.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55761" class="wp-caption-text">「にぎり特上」（上写真、税込み3000円）。取材した日のネタは生本マグロの大トロに背トロ、江戸前の穴子、活マコガレイ、北海道産ムラサキウニとボタンエビ、鹿児島産の赤貝と鉄火巻き。店は市場入り口近くにある（下写真）。営業時間は朝８時半～午後２時だ</figcaption></figure>
<h2>とくだ屋</h2>
<a href="#" data-ident_hash="c84e8772"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/5ee19cb603f012088972d4a5785e3703.jpg" alt=""></a>
<figure id="attachment_55770" aria-describedby="caption-attachment-55770" style="width: 1000px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="366d1abb"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2019/07/3d7f2600ac3636f48803a07e707f4b10.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-55770" class="wp-caption-text">「特盛ごうか海鮮丼」（上写真、税込み1600円）。あら汁にお新香が付く。彩りも美しく、店を訪れた多くの人が食べる前にスマートフォンで記念撮影をする。足立市場の鮮魚仲卸「青木」が、経営する店でもある。店主は阿部匡寿氏（下写真）。営業時間は朝８時～午後３時</figcaption></figure>
『FRIDAY』2019年７月19日号より

武藤誠

明石昇二郎

魚河岸といえば『豊洲』ばかりが注目されるが、都内にはもう一つ市場がある。東京都中央卸売市場の『足立市場』だ。都内で唯一の水産物専門卸売市場で、別名『千住の魚河岸』とも言われている。

豊洲より築地の風情が残る「足立市場」を知っていますか？

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