44回優勝の白鵬 一代年寄廃止を決定づけた「日馬富士暴行事件」 | FRIDAYデジタル

44回優勝の白鵬 一代年寄廃止を決定づけた「日馬富士暴行事件」

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「一代年寄」の論争に発展した横綱・白鵬。44回優勝は文句なしの数字のはずだが…
「一代年寄」の論争に発展した横綱・白鵬。44回優勝は文句なしの数字のはずだが…

コロナ禍で、5月9日開幕予定の夏場所が無観客開催となる大相撲。3月に横綱の鶴竜が引退し、白鵬も右ひざの内視鏡手術を受けて休場と、なんとも寂しい限りだが、白鵬ファンにとってはもうひとつ、「一代年寄の見直し」という衝撃的なニュースに戸惑いを隠せない。

「相撲ファンばかりではありませんよ。協会関係者や報道陣さえ、びっくりさせられました。『一代年寄』が相撲協会内で物議を醸していることはわかっていましたが、このタイミングでの発表とは思いませんでしたね。

そもそも有識者会議で、『一代年寄』が議題になっていたことさえも知らされていなかった。まさに寝耳に水でした」(スポーツ紙記者)

4月19日、日本相撲協会に設置された「大相撲の継承発展を考える有識者会議」(東大名誉教授・山内昌之委員長)が提言書を八角理事長に提出。そのなかで「一代年寄」に存在意義が認められないという見解を示した。

「この『有識者会議』は‘18年2月に設置された外部有識者による『暴力問題再発防止検討委員会』から要請されて創設された。‘19年6月に第1回会合が開かれたとき、相撲協会から『少子化時代における新弟子確保や外国出身力士増加など国際化に伴う対応策を検討課題にする』と説明され、『一代年寄』については触れていなかった。以降10回の会合が行われてきたが、取材ノートを見返しても報告はなかった」(前出・スポーツ紙記者)

スポーツ紙だけでなく、全国紙でも報道されたことからも、事の重大さが伝わってくる。

そもそも「一代年寄」とは、功績顕著な横綱に対し一代限りで現役の四股名を使い年寄(親方)の襲名を認めるというもので、過去に優勝32回の大鵬(‘69年)、24回の北の海(‘85年)、22回の貴乃花(‘03年)の3人が所属部屋から独立し、四股名で部屋を開いた。

「大鵬に次ぐ優勝31回の千代の富士は、‘89年に理事会から提案されるも辞退。史上最多の優勝44回を誇る白鵬は、当然ながら5人目として有力視されていた。

最初の大鵬のケースこそ、内弟子集めを例外的に認めて『横綱・大鵬』と『年寄・大鵬』を並立させる工夫として生み出されたというが、その後の3人の時を振り返ると、『実績』が最重要視され『優勝20回以上』が1つの目安とばかり思っていた」(前出・スポーツ紙記者)

有識者会議の提言書に強制力があるわけではなく、手渡された八角理事長は「そういう場面があれば理事会で審議していく」と話すにとどめているだけに、突然の「一代年寄」の見直しはまだまだ波紋を呼びそうだ。

「襲名候補の白鵬が常々横綱としての“品格”を問われてきただけに、『該当者がいない今こそ…と狙い撃ちされた』なんて声もすでに聞かれます。『有識者会議』が設置された頃の大相撲の置かれた立場を思い起こせば、勘繰られるのも仕方ない。

『有識者会議』は八角理事長の諮問機関です。元横綱の日馬富士による傷害事件などの不祥事が相次ぎ、白鵬もまた、『八角理事長の顔に泥を塗った』と批判されるようなことをしていましたからね」(スポーツライター)

‘17年11月に発覚した日馬富士の傷害事件は、自らの引退ばかりか、「一代年寄」の貴乃花の引退にまで及ぶが、

「白鵬は事の真相究明が急がれるなかの九州場所で通算40回目の優勝を遂げると、恒例の表彰式インタビューで日馬富士による暴行騒動を謝罪し、『いまこの土俵の横で誓います。場所後に真実をすべて話し、ウミを出し切って日馬富士関、貴ノ岩関の2人を再びこの土俵に上げたい』と話し、最後は自ら音頭を取り万歳三唱を促す始末。この幕引きを促すような行為に非難が殺到した」(前出・スポーツライター)

前代未聞の出来事に対し、相撲協会のトップの八角理事長は「(暴行問題については)危機管理委員会に任せている」と答えるのみだった。

「白鵬の立ち振る舞いは、相撲協会にとって悩みの種だった。この場所の11日目に負けた時も、軍配に対して不服そうに土俵に立ち尽くす態度が批判されていたし、年明けの‘18年1月の横綱審議委員会(横審)の面々が見守る稽古総見では“禁じ手”も。

白鵬の激しいかち上げや張り手は、度々『横綱らしくない』と指摘されていた。解説者の北の富士勝昭氏も『不届き者だね。あれだけ注意されたのにけんかを売っているんじゃないのか。横審(横綱審議会)に』と皮肉たっぷりに諫めていましたね」(テレビ局関係者)

とはいえ、「有識者会議」の提言書では、「協会が功績の顕彰を必要と考える横綱に対しては何らかの形で功労をたたえる可能性は排除されない」とも触れているそうで、

「記録もさることながら、技量は抜群ですからね。組んでも離れても強く、オールラウンダー。内弟子で人気力士の炎鵬も尊敬し慕っています。『万歳三唱』の件も反省しているし、『一代年寄』の件も『自分が決めることではない』という思いの表れか、口にしません。協会内からは『白鵬相撲道場』の看板使用の話も聞こえて来ている」(前出・スポーツ紙記者)

過去、史上最多の69連勝を記録している双葉山が『時津風部屋』と『双葉山相撲道場』の看板を並べて掲げた前例があるそうで、

「今でも時津風部屋の力士や担当記者たちの多くが親しみを込めて『道場』と呼んでいます。白鵬に対しても、現役時代の四股名を活かす形で、偉業を称えて欲しいものです」(前出・スポーツライター)

‘69年の大鵬から5人目で「一代年寄」が途絶えることに。だが、次なる偉大な横綱誕生を祝福する資格制度が待たれるばかりだ…。

  • 写真Rodrigo Reyes Marin/アフロ

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