絶好調の阪神がそれでも優勝できない「5つの決定的理由」
開幕から31試合を戦い終えて、22勝9敗で首位。この現実に「戸惑っている」というのが、虎党の正直な気持ちだろう。
『虎がにじんだ夕暮れ』など、阪神関連の著作や連載を多数持つ作家の山田隆道氏は「春季キャンプの評判が具現化したこと自体が異例です」と苦笑いする。
「江越大賀(28)しかり、ロサリオ(32)しかり、キャンプで絶賛された新戦力は本番でサッパリ――というのが阪神の伝統でした。ところが佐藤輝明(22)は開幕後も打棒爆発。そもそも、佐藤の身体がちゃんと大きいことに私は驚いた。北條史也(26)なんて佐藤より一回りも二回りも小さいのに、キャンプでは長距離砲扱いでしたから(笑)。ウソつけ、と」
チーム防御率も得点も、盗塁数もリーグ1位。去年は一・五軍だったガンケル(29)の開幕5連勝と、あまりに「できすぎ」で虎党は混乱しているのだ。
だが、安心してほしい。阪神の優勝はない! 以下、その5つの理由である。
〇矢野迷采配とロハス問題
「矢野燿大監督(52)の頑固さが悪いほうに出ないか。それがボクは心配です」
OBの掛布雅之氏が危惧するのは指揮官の用兵。火ダネとなりうるのが、昨年、韓国リーグで本塁打と打点の二冠に輝いたメル・ロハス・ジュニア(30)だ。
「矢野監督の強い意向で3億円近い大金をはたいて獲得しているだけに、故障でもない限りスタメンで使うでしょう。となると、同じ外野手の佐藤かサンズ(33)が外れることになる。サンズを一塁に回すならマルテ(29)が弾き出される。サンズもマルテも打撃好調。盛り上げ役としても貢献していますから、よっぽどロハスが打たないと、ナインから不満が噴出するでしょう」(スポーツ紙デスク)
選手のポジションをコロコロと変える矢野采配にも掛布氏は否定的だ。
「打順もポジションも固定したほうが選手は力を発揮できる。ボクの理想はファースト・大山悠輔(26)、サード・佐藤で“タイガースのON”を作ること」
阪神暗黒時代のノーヒッター、川尻哲郎氏は監督の投手起用も不安視している。
「男気なのか、先発を引っ張り過ぎて失点するきらいがある。一方で開幕投手を任せた藤浪晋太郎(27)は1敗しただけで二軍に落とした。『信頼されてないんだな』と藤浪は思ったはずです。終盤のタフな場面を勝ち抜くには剛腕・藤浪の復活は不可欠なのに……」
〇「JFK」の不在
川尻氏と暗黒時代の虎投を支えた藪恵壹氏は右のリリーフ不在を指摘する。
「岩貞祐太(29)と岩崎優(29)の『岩岩』コンビが7、8回を任されていますが、岩貞は不安定ですし、岩崎は故障リスクがある。おまけに二人とも左。右の中継ぎでは小林慶祐(28)が奮闘していますが、1年通して働いたことがない。かつての『JFK』のようなタフさと実績を持つのは抑えのスアレス(30)しかいない」
〇「金本」の不在
`03年と`05年の優勝時には金本知憲がいた。優勝争いの重圧の中、相手エースを打ち砕き、ナインを鼓舞する精神的支柱が、現在のタイガースにはいないのだ。
「去年、実績を残して四番の座をつかんだ大山ですら、開幕からしばらくは重圧でガチガチでした。チームは皆若く、優勝経験者がいない。一度崩れると、ズルズルいってしまう恐れがある」(川尻氏)
〇深刻な巨人アレルギー
川尻氏の言葉で思い出すのが、4月中旬の東京ドームでの巨人戦だ。
「7連勝した勢いで乗り込んだのに、アッサリ負け越し。去年、8つも負け越した巨人アレルギーは健在でした。思えば`03年も`05年も独走での優勝。マッチレースを苦手とする阪神なのに、現状、その相手は巨人。こんな怖いことはないし、勝てる気がしない(笑)」(山田氏)
〇東京五輪
山田氏の言葉で思い出すのが、巨人とのマッチレースに惨敗した`08年の岡田阪神だ。最大13ゲーム差を逆転された敗軍の将・岡田彰布氏が振り返る。
「あの年も前半戦は調子良かったんよ。ところが、北京五輪で新井貴浩や藤川球児ら主力が離脱。新井なんて五輪で腰椎を疲労骨折して、後半戦を棒に振ってしもうた。今年、東京五輪が開催されれば、1ヵ月のブランクができる。前半戦がいいだけに、後半戦の戦い方が非常に難しなるよ、タイガースは……」
俯くOBたち。だが、安心してほしい。長年虐げられ続けてきた阪神ファンは、オープン戦Vとサトテルで1年間、美味い酒が飲めるほどタフなのだから。





『FRIDAY』2021年5月21日号より
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写真:時事通信社