全国化にチケット販売…箱根駅伝「24年に大改革プラン」の深層 | FRIDAYデジタル

全国化にチケット販売…箱根駅伝「24年に大改革プラン」の深層

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今年も大盛り上がりとなった箱根駅伝(AFLO)
今年も大盛り上がりとなった箱根駅伝(AFLO)

「プロ野球やサッカー中継の視聴率が低迷する中、長時間の放送にもかかわらず、平均視聴率は、毎年20%超えが確実に見込まれる。コロナ禍になる前ですが、20年の沿道の観戦者数は121万人など、集客・宣伝効果も抜群の『最強のスポーツコンテンツ』といえます。

また、第97回(2021年)大会からは出場する大学チームのユニフォームにスポンサーのロゴが入れられるようになるなど、学生スポーツの大会でありながら、年々ビジネスとしても大きくなっています」(大手広告代理店社員)

毎年ドラマが生まれる正月の風物詩「箱根駅伝」。絶大な人気を誇り、巨大コンテンツと化した「箱根駅伝」をよりいっそうの人気競技にしようと、水面下ではさまざまな計画が協議されているという。日本陸連の関係者が明かす。

「青学大の原晋監督も一部提言しているのですが、節目となる2024年の100回大会を機に、現在の21チームから出場枠をさらに増やし、全国大会化することが議論されています。また、現在のスタート・ゴール場所は、東京・大手町ですが、全国大会化に伴い、これを国立競技場に変更するアイデアや、観戦チケットを販売し有料のパブリック・ビューイングを行う案も浮上しているんです」(日本陸連関係者)

なぜ「国立競技場」か。もちろんそこには理由がある。周知の通り、東京オリンピックのために約1569億円もの建築費をかけて全面的な建て替えが行われた国立競技場。しかし、今後の管理・運営をめぐり迷走が続いているといわれる。

「その管理・運営費は年間24億円にも上るといわれています。当初、国立競技場を管理・運営する独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)は国立競技場を民間企業に売却することを計画していました。そこで、プロサッカーチームを運営する楽天(ヴィッセル神戸)やメルカリ(鹿島アントラーズ)などの企業に打診を行ったが、高額な費用に加えて、スタジアムとしての使い勝手の悪さもネックとなり、結局、交渉は成立しなかったという経緯があります」(同前)

このままだと、国立競技場は、毎年24億円もの赤字を計上し続けることになり、「負の遺産」になりかねない状況だ。こうした中で「箱根駅伝」スタート・ゴール場所の変更が実現すれば、それは、国立競技場のイメージアップにもつながる。まさに千載一遇のチャンスといえるわけだ。

「当初JSCは、民間企業1社への売却を想定していたが、コロナ禍による影響もあり、手を挙げる企業はなかなか現れない。そこで、競技場部分は現状のまま残し、観客席部分を全面改修し、ホテルやショッピングモール、レストラン、アパレルショップ、ジムなどを設置してテナントとして複数の企業に貸し出し、多目的複合施設として活用する計画が進行しているのです。こうしたスタジアムにホテルやショッピングモールなどを建設し、収益化する手法は欧米では主流になりつつあります。

もしも箱根駅伝のスタート・ゴール場所の変更が実現すれば、今後、国立競技場内に箱根駅伝ミュージアムも作ることができるし、集客も見込まれる。箱根駅伝というコンテンツが莫大な経済効果をもたらすため、JSCの幹部のなかには乗り気の人もいると聞きます」(同前)

しかし、箱根駅伝のスタート・ゴール場所の変更は一筋縄ではいかない複雑な事情があるという。JSC関係者が明かす。

「日本陸連副会長の瀬古利彦氏を中心に議論は行われていますが、箱根駅伝に協賛している企業が、伝統にこだわってその変更に難色を示す可能性がある。さらに、箱根駅伝のスポンサーとなっているメーカーも簡単には首を縦に振らないのではないかとささやかれます。

というのも、今後、国立競技場は、収益化のために施設の名称をスポンサー企業の社名や商品名に付与するネーミングライツ(命名権)が実施される予定なのですが、ライバル会社が年間約2億円の契約でその権利を取得しそうだからです」

さまざまな障壁はありそうだが、人気スポーツがさらに盛り上がるなら、実現は望ましいことだろう。箱根駅伝は新しく生まれ変わるのだろうか…?

  • 取材・文大崎量平

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