視聴率だけがすべてじゃなくなった「冬ドラマ」評価の舞台ウラ | FRIDAYデジタル

視聴率だけがすべてじゃなくなった「冬ドラマ」評価の舞台ウラ

総力取材 浜辺美波、上戸彩、高畑充希、清原果耶、伊藤沙莉……女優バトルが激化!

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『ドクターホワイト』での浜辺(右)の役どころはコミュ障だが天才的な診断力を持つ女性。隣は岡崎紗絵(26)

「冬ドラマは例年、力が入った作品が多い。昨年は森下佳子脚本の『天国と地獄〜サイコな2人〜』が話題となり、宮藤官九郎脚本の『俺の家の話』が高い評価を集めました。今年もハリウッドとTBSの看板ドラマ枠『日曜劇場』がタッグを組んだ『DCU』、人気原作を菅田将暉(すだまさき)(28)主演でドラマ化した『ミステリと言(い)う勿(なか)れ』(フジテレビ系)、岡田惠和(よしかず)脚本で清原果耶(かや)(20)の民放連ドラ初主演作となる『ファイトソング』(TBS系)、遊川(ゆかわ)和彦脚本で松本潤(38)&上戸彩(36)ダブル主演の『となりのチカラ』(テレビ朝日系)など、話題作が目白押しです」(ライター・大山くまお氏)

下の表は主な冬ドラマの世帯視聴率とコア視聴率(13歳〜49歳男女の視聴率)の推移をまとめたものである。

『DCU』は期待どおり世帯視聴率が首位でコアも3位と好調だが、ドラマウォッチャーの北川昌弘氏は「阿部寛(57・主演)の無駄遣い」と手厳しい。

「ストーリー通しての敵がテロリストなのは、どうかと思う。対立構造の前提も描かずに悪と決めつけていて、感情移入できない。登場人物それぞれにサブストーリーがあって、それが次第に繋がっていってテロリストの謎も解けるのでしょうけど、複雑すぎて頭に入ってこない。個人的にモデル時代から注目していて、最近は女優活動に力を入れている中村アン(34)が重要な役で入っているなあと楽しみにしていたのに、第3話で早々に死んでしまったのもガッカリ……」

主婦ドラマウォッチャーの吉井和美氏も同意見だ。

「スケール感を出そうとしているのか、政治だテロだと、話がとっちらかっていて、『手錠を持ったダイバー』という設定を生かせていません。シンプルに水中で起きる様々な事件を描けばよかったのに」

TBS関係者は「脚本ひとつ作るにも、いろいろ調整が必要なんです」と頭を悩ませており、いまのところハリウッドと組んだデメリットが目立っているようだ。

横浜流星(25)が扮するは、純粋で真っすぐで熱い『DCU』の若手隊員。因縁のある上司・阿部と衝突を繰り返す

一方、今クール、「最も成功している」と各局プロデューサーが口を揃えるのが、『ミステリと言う勿れ』だ。

「視聴率はもとより、配信が絶好調。これまでの記録を塗り替える驚異的な再生数を記録していて(2月8日時点で1326万回再生)、フジ社内は沸きに沸いています」(キー局プロデューサー)

原作をうまくドラマに落とし込んでいることに加え、「物語がシンプルで前提が丁寧に描かれているから、子供でも楽しめる」と絶賛するのは先の吉井氏だ。

「取調室とか病院とか、基本的に舞台はひとつ。セリフの応酬で物語は進んでいく。ハデな展開がないのに惹き込まれるのは、人気じゃなく上手さでキャスティングしているから。菅田将暉はさすがの存在感だし、伊藤沙莉(さいり)(27)もいい味出している。

なんといっても刑事役の尾上松也(37)が出色(しゅっしょく)の出来。ガタイが良くて刑事ファッションが似合うし、顔芸のクオリティが凄い。完全にイケメンを捨てている(笑)。子供たちは大笑いで、尾上刑事の出番を楽しみにしています」

浜辺美波(21)が「コミュニケーション能力はゼロだが天才的な診断力を持つ女性」に扮する『ドクターホワイト』(フジ系)はコア視聴率が後伸びして4位に入るなど善戦している。

「若手女優ではナンバーワンと言われる浜辺が主演ですから、それだけで観る価値ありです。内容的には山﨑賢人が演じた『グッド・ドクター』に近い。山﨑はサヴァン症候群のドクターだったけど、浜辺は謎の記憶喪失があり、今後、注目の展開が待っていそう」(北川氏)

民放のドラマ制作スタッフは「編成の妙」も好調の一因だと指摘する。

「昨年秋の改編でフジは火曜夜9時の枠を月曜夜10時に持ってきました。『ドクターホワイト』は、直前に放送されている月9『ミステリと言う勿れ』の視聴者をうまく取り込めているのです。放送時間の移動は大成功ですね。今後の月9は4月クールが綾瀬はるか(36)、7月クールで坂口健太郎(30)と杏(35)が起用されるなど話題作が続くので、引き続き月10枠ドラマは数字を取れそう」

任務遂行のためにはどんな手段でも使うイケイケな『DCU』隊長を演じる阿部。潜水時はガタイの良さが際立つ

太陽のような存在だった「妻」が事故死。以来、時間が止まってしまった家族の前に、小学生に生まれ変わった「妻」が姿を現す――『妻、小学生になる。』(TBS系)は数字こそ取れていないが、今クール一番だと推すウォッチャーが多い。

ノンフィクション作家の細田昌志氏は「原作のコミックを超えた」と評す。

「コメディタッチのシーンにも、底流には常に”寂しさ”があり、心が揺さぶられます。特筆すべきは『妻』石田ゆり子(52)の生まれ変わりの小学生を演じる毎田暖乃(まいだのの)(10)。’20年のNHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』で、杉咲花の幼女時代を熱演したあの子役です。ネイティヴな大阪弁を完全に消して、堂々と堤真一(57)とわたりあっている。まさに『小さな大女優』。生まれ変わったのは石田ゆり子ではなくて、往年の杉村春子ではないのかと思わされます」

毎田は大阪在住。学業や家族の時間を大事にしたい所属事務所は当初、東京のテレビ局が制作する連続ドラマへの出演に難色を示していたという。

「プロデューサーが2年がかりで熱心に口説き、最終的には毎田さん本人のやる気で出演が決まった」(TBS関係者)

その価値は十二分にあったと言えよう。

『妻、小学生になる。』で「妻」を演じる石田&毎田。出番がなくても撮影現場に来るという石田の気遣いが奏功してか、息ピッタリだ

『ファイトソング』(TBS系)でいい味を出しているのは、『Sexy Zone』菊池風磨(26)だ。

「胸キュン枠と言われるTBSの火曜10時枠の作品ですが、大人も落ち着いて観られる恋愛ドラマになっています。孤児で聴力を失いつつある清原、藤井風みたいな風貌の一発屋ミュージシャン役の間宮祥太朗(28)のコンビもいいのですが、主人公の清原にひそかに片思いしている幼馴染み役の菊池が、これ以上ないぐらいハマり役です」(大山氏)

元空手家の清原と一発屋ミュージシャンの間宮、幼馴染みの菊池とのもどかしい三角関係を描く『ファイトソング』

『となりのチカラ』は賛否両論だ。

「大ホームランか三振の遊川和彦が脚本で、しかも演出。松潤演じるドジな主人公とシッカリ者の妻・上戸彩が魅力的でおもしろい。いろんな事情をかかえた住民たちとの関係性は現代的でもあるし、観るぶんには面白い」

と北川氏は誉めるも、制作会社スタッフは「役者に罪はないが、遊川和彦の脚本・設定がありえない」と首を振る。

「主人公が同じマンションに住む住民の私生活に土足で上がり込んでいくのですが、あんな隣人がいたら迷惑。ただの不審者です。ヤングケアラーなど社会的テーマも盛り込んでいるが、現段階では荒唐無稽でしかない」

『となりのチカラ』第3話では、ベトナム人エステティシャン役のソニン(38)を救うべく松潤が東奔西走した

この制作会社スタッフは「『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』の不調が今クールの日テレドラマの苦戦を象徴している」と続けた。

「ただただイライラする一昔前のファンタジーお仕事ドラマで終わってしまっている。高畑充希(30)が日テレのヒットドラマの貢献者だという記事を目にしましたが、 今作は世帯・コアとも視聴率は低迷しています。これまで、高畑はヒットを打てても、ホームランを打ったことはない。重宝しすぎでは? 日テレ作品で言えば土曜の『逃亡医F』も設定が強引で、異常な登場人物が多すぎてリアリティがない。第1話でいきなり、森七菜(なな)(20)が腕を切断されるし……。以前のように、土曜夜枠はジャニーズ主演ドラマに戻したほうがいいかもしれません」

『ムチャブリ!私が社長になるなんて』のロケ現場。茶髪&パーマの高畑社長の仕事&恋愛ドタバタコメディだ

昨秋から2クール連続で放送中の『真犯人フラグ 真相編』はコア視聴率が後伸びして1位となったが、

「犯人が誰か、考察を楽しむ作品だったはずが、何でもアリの素っ頓狂なドラマになってしまっています。吹き矢で人を襲う香里奈(38)の登場に呆れた視聴者は少なくない」(大山氏)

他局にさきがけ、5年前からコア対策に舵(かじ)を切った日テレだが、コア神話が揺らいでいるのも事実だ。

「配信が伸びていて、『Tver』などの無料動画配信サービスは昨年12月時点の実績は2億7000万回再生、2400万人あまりの視聴者を獲得。広告もかつてない伸びを示しています。相当なマーケットになっている。実はコア対策は難しくて、『ファイトソング』は若者向けの脚本とキャスティングですが5位。一方で、金曜ロードショーで放送した’80年代の映画『グーニーズ』がバツグンに数字を取ったりする。コアで見れば『真犯人フラグ』を『ミステリと言う勿れ』が追う展開ですが、配信だと逆転します」

数字的に苦戦していても、『おいハンサム!!』(フジ系)は東海テレビ制作のドラマでは史上最多となる78万回再生を記録。視聴率という羅針盤は過去のものとなりつつある。テレビ界は過渡期にあり、ドラマも変わりつつあるのだ。

『FRIDAY』2022年3月11日号より

  • PHOTO近藤裕介 坂本信二(松本) 柚木新平(高畑)

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