お見送り芸人しんいち「このブラックなイメージをなんとかしたい」
嫌われ芸人3位! スキャンダル続きのR−1グランプリ優勝者が初めて語った苦悩と本音
テレビが絶えず求めるタレント像がある。それは必ずしも誰からも好かれるヒーローではなく、近頃はいじられキャラだったりするのだが……。
「最近よく言われるのが、『クロちゃんを脅かす存在が出てきた』というフレーズなんですね――」
悲しそうな笑顔でそう話すのは、今年3月に行われた『R-1グランプリ』でみごと王者になったお見送り芸人しんいち(37)。ブラックな「歌ネタ」でZAZYを破り、優勝を果たした男である。

ここにきて、なぜか知名度が急上昇中。ただし、人気者としてではなく「だまされキャラ」としてである。
「誰かがネットにあげてたんですが、サッカーのフォーメーションに例えたのがあったんです。トップ下に『パンサー』尾形さんがいて、3トップのセンターフォワードがクロちゃん、右がナダル、で、左が自分。なんかもう〝だまされ組〟の日本代表になってるみたいで……(笑)」
そのきっかけは、バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)の「陰口引き出し王決定戦」というドッキリ企画。仕掛け人が宴席で後輩芸人たちに理不尽な説教を浴びせかけ、後輩からの悪口を誘発させるという企画だ。
同じ事務所の先輩芸人・永野がしんいちに説教を浴びせるだけ浴びせ、退席。永野が去った宴席でしんいちは永野への罵詈雑言を連発、しまいには「マジで老害」という言葉まで口にしてしまった。放送後、しんいちに対する批判コメントがSNSに続出し大炎上となったのだ。
「あれって『ヤラセじゃん』っていう人がけっこういたんですけど、断じて違います。あの番組のスタッフはもうプロの〝ウソつき集団〟なんです。もしかしてドッキリなんじゃないか、という気配は微塵(みじん)も感じさせない。あの時も場所は千葉の港に近い寂(さび)れた居酒屋で、とてもドッキリを仕掛けられてると思うような場所じゃなかったんですよ」
その後も、同じ『水ダウ』で、トレードマークの『R-1』の優勝トロフィーを破壊されるドッキリも公開(実は偽物)。『週刊文春』ではファンの女の子とのドライブデートを報じられ、後日、記者の直撃に、「合計で……7!」と告白し、またもや大炎上してしまう。
「『7股交際』とか書かれてしまったんだけど、ただ普通にファンの子らと仲良くしてるってだけなんですよ」
見た目がそこそこイケメンなうえ、声がデカくて関西弁でよく喋る。
「目標はみやぞん(『ANZEN漫才』)みたいな愛されるキャラクター。歌ネタにしても、ブラックな内容のネタをやっていても、本人はメチャクチャいい人で、すごく人間ができてて、そのギャップが好感を呼ぶ、みたいなのが狙いでした。でも今は、蓋(ふた)を開けたらホンマにブラックやった、となっちゃって。『嫌いな芸人ランキング』3位はショックでした」
そんな逆風の中、彼は『R-1』準優勝だったZAZYと『ストレス』というコンビを組み、現在、漫才に挑戦中である。
「優勝したのは自分なのに、なぜかZAZYのほうが売れてるし、CMにも出てる。アイツのほうが性格悪いし、すぐ人を裏切るのに。なんで僕にはCM来ないの? CM出たい、企業案件欲しいです。クイズ番組や動物番組にも出たいし、ゴールデンタイムのコメンテーターもやりたい。悪いことをした芸能人をバッサバッサ斬っていきたい。今のところ、斬られている側だけど(笑)。『コロチキ』の西野(創人)にも言われたんです。『この騒ぎだったら、普通、ツイッターのフォロワー数十万人になっていてもおかしくないはずなのに、いまだ2万人というのがしんいちさんの面白さですね』って」
つまり、しんいちの動向は気になるが、フォローするのは〝ダサい〟ということか。〝逆風〟を追い風に変えることができるか、まずは今年初挑戦の『M-1』に期待したい。



『FRIDAY』2022年9月16日号より
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PHOTO:足立百合