当日胃けいれんで出場辞退、衣装を詰めたまま運転手が行方不明に…「紅白歌合戦の舞台裏」【紅組編】 | FRIDAYデジタル

当日胃けいれんで出場辞退、衣装を詰めたまま運転手が行方不明に…「紅白歌合戦の舞台裏」【紅組編】

紅白博士・作家 合田道人が語る

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昨日から始まった「NHK紅白歌合戦」のハプニング選。本日は紅組編。

記憶に新しいところだと2017年の第68回「紅白」。総合司会だった内村光良がアイドルグループの欅坂46とパフォーマンス企画で共演の終盤にメンバーが倒れ込むというハプニングがあった。メンバーの鈴本美愉が意識を失い仰向けに倒れそうになり、メンバーに支えられた。歌唱したあとには平手友梨奈がステージに崩れ落ち、志田愛佳も倒れ込み審査員らが心配そうにステージ上を見つめる姿も映し出されたのだ。

2017年から4年間、総合司会を務めた内村光良。写真は第71回NHK紅白歌合戦のリハーサルで、取材に応じポーズをとる(左から)二階堂ふみ、内村光良、大泉洋(写真:共同通信)
2017年から4年間、総合司会を務めた内村光良。写真は第71回NHK紅白歌合戦のリハーサルで、取材に応じポーズをとる(左から)二階堂ふみ、内村光良、大泉洋(写真:共同通信)

進化・拡大化した小林幸子の「衣装」と痛恨のトラブル

さて「紅白」の名物といえば、小林幸子の豪華衣装を忘れられない。初出場の年(1979年)は普通の白いドレスで「おもいで酒」を歌っていたが、3回目の出場曲「迷い鳥」あたりから徐々に衣装は工夫され派手になり、拡大化していった。そのうちに「衣装ではなく舞台装置だ!」と言われるほどに毎年の話題になっていった。

そんな中、1992(平成4)年の第43回では歌唱曲「恋蛍」をイメージして、6万2500個のLED(発光ダイオード)を埋め込んだ電飾に、蝶のように広げた高さ6メートル、幅8メートルの羽根がきらきら光るはずだった。4億円とされるその豪華衣装、いざ本番! ところが蛍が光らない。なんとコンピューター制御が故障してしまい、約3分の2が点灯しなかったのである。豪華に何色もの電飾がつくはずが青白い一色だけになってしまったのだ。リハーサルは成功していただけにそのショックは計り知れない。

写真は、巨大人形「メガ幸子」の前で、LED電球の新商品を紹介する小林幸子(右)。ニコニコ大百科の説明によると「メガ幸子とは、2009年紅白歌合戦にてその姿を現したラスボス:小林幸子の現時点における最終形態である」(写真:共同通信)
写真は、巨大人形「メガ幸子」の前で、LED電球の新商品を紹介する小林幸子(右)。ニコニコ大百科の説明によると「メガ幸子とは、2009年紅白歌合戦にてその姿を現したラスボス:小林幸子の現時点における最終形態である」(写真:共同通信)

当日胃けいれんに襲われ出場辞退、衣装を詰めたまま運転手が行方不明…

さて懐かしい話になると、第7回(1956年)の雪村いづみ。当日胃けいれんに襲われ病状がおさまらず結局出場辞退。親友の江利チエミは「トンコ(いづみの愛称)の分まで頑張るわ」と赤い薔薇を胸にふたつつけて自分の歌を歌った。翌年第8回(1957年)の事件といえばコロムビアローズ。当時はNHKと民放の掛け持ち出演がスターの証だった。

TBSでローズはヒット中の「東京のバスガール」をバスガイド姿で歌い、そのままパトカーで「紅白」の会場に向かった。ところが「紅白」で歌う歌は、これまた大ヒット「どうせひろった恋だもの」。これは着物を着なければならない。しかし衣装を詰めたまま運転手が行方不明。車のトランクを壊そうとしていたところに運転手が「お茶を飲みに行ってました」と現れて、ローズはプリプリしながら着替えて舞台へ。

「捨てちゃえ捨てちゃえ・・・」と歌詞に合わせて「恋」と書いた紙を捨ててゆく演出になっていたが、白組のフランキー堺が屑屋に扮してその紙を「拾っちゃえ拾っちゃえ」と拾ってゆき会場大爆笑。気分を害していたローズも最終的には笑みをこぼした。

正月特番、出演者が発表されていなかったスタート当時の紅白

第2回(1951年)はまだ大みそかではなく正月番組だった。出場することになっていた松島詩子が、正月公演を終えて浅草の駅からNHKのスタジオに向かう途中、雪のため電車のレールにタクシーが乗ってしまい、電車と車が正面衝突。松島、病院に運ばれ出場できず。

当時はまだはじめに出演者が発表されていたわけではなかったから、急遽NHKは代理歌手を探した。越路吹雪がOKを出し、宝塚歌劇団のはかま姿で到着したがすでにお屠蘇でかなりメーターが上がっていた。リハーサルなしで歌ったが、本番が始まるとさすがにそこはプロ! みごとに歌い切った。しかし応援の電話にまぎれて松島の事故の報告が警察から入ったものがそのまま放送されてしまい、松島の交通事故と「紅白」に出ることになっていたことが露見してしまったのである。

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  • 合田道人

    1979年、高校在学中に渡辺プロダクションから、シンガー・ソング・ライターとしてデビュー。その後、音楽番組の構成演出、司会、CD監修解説に加え、新聞、雑誌での執筆、作詩作曲、ラジオDJなど多方面で異才を発揮する。著書に『童謡の謎』『神社の謎』『昭和歌謡の謎』(祥伝社) 『怪物番組紅白歌合戦の真実』(幻冬舎)などがある。理事長を務める日本歌手協会の番組、『新春12時間歌謡祭』が1月3日昼12時から24時までBSテレ東で放送される。

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