<figure id="attachment_288187" aria-describedby="caption-attachment-288187" style="width: 2600px" class="wp-caption alignnone"><a href="#" data-ident_hash="ab461866"><img src="https://res.cloudinary.com/fridaydigital/image/private/t_article_image/wpmedia/2023/01/aflo_115392831.jpg" alt=""></a><figcaption id="caption-attachment-288187" class="wp-caption-text">’16年ぶりに『Dr.コトー診療所』を復活させた主演の吉岡秀隆だが…</figcaption></figure>
’03年に産声を上げ、’06年のシーズン２では前作を上回る最高視聴率25.9%を記録。医療ヒューマンドラマの金字塔を打ち立てたドラマ『Dr.コトー診療所』（フジテレビ系）が、映画となって帰ってきた。
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
「12月16日の公開から27日までの興行収入は、およそ11億円。これは興行収入30億円を突破する大ヒットの予感。28日には天皇、皇后両陛下と愛子さまも地域医療支援チャリティー上映会に出席。
上映後には主演する吉岡秀隆や柴咲コウ、中江功監督と歓談するなど、この作品はもはや国民的映画と言っても過言ではありません」（ワイドショー関係者）
今作は、東京から無医村状態に陥った沖縄県・志木那島に赴任した医師、“コトー先生”こと五島健助と島民が織りなすヒューマンドラマ。今回16年ぶりに『Dr.コトー診療所』を映画化するに当たって前作のキャスト・スタッフが再集結。
中江監督はキャスト一人ひとりに直接思いを伝えると、当時のスタッフたちを口説き落として、奇跡の再集結を図った。
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
「フジテレビでも過酷な現場として知られる中江組。しかも日本最西端に位置する与那国島でのロケは特殊事情も加わって、当時を知るスタッフの参加は必須条件。
ただ当時のスタッフも管理職となり、長期の離島ロケが前提になる今作への参加は困難を極めました。そんな問題を乗り越えて、去年の５月上旬、再集結したスタッフはフジテレビの湾岸スタジオで行われた“美術打ち合わせ”に勢揃い。６月から３週間に及ぶ与那国島ロケが始まりました」（制作会社プロデューサー）
しかし、待ち受けていたのは、“突然のスコール”“太陽待ち”などの天候不順のリスクだけではない。多くの人たちを絶海の孤島に渡航させるスケジュール管理の難しさに加え、コロナ禍における予測不能のトラブルが起きることもしばしば。
そうしたマイナス要素を差し引いても、与那国島でしか撮れない圧倒的な自然の美しさ、島に生きる人たちの生命の営みが今作には満ち溢れている。
<div data-friday-nextpage-lead="「空白の16年」が吉岡を追い詰めて…"></div>
撮影初日。吉岡演じる五島健助が白衣を着て、自転車に乗り、訪問診療に向かうシーンからクランクイン。その姿を見かけた島の人たちから
「コトー先生！」
と呼び声が掛かる。“Dr.コトー”は、16年経った今もなおこの島で生きているのだ。
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
しかし、“空白の16年”の間も、五島健助が島民から愛され続けて来た唯一無二の存在であったことが、やがて吉岡自身を追い詰めていく。
「与那国ロケを終え湾岸スタジオで手術シーンを撮っていた時のこと。オペ着を着ている自分の姿を見た吉岡は、涙や身体の震えが止まらなくなり『手術を始めます』の一言が言えなくなってしまい、撮影は出だしからつまずきました。
『コトー先生はこの16年間、診療や往診を続け、自分が酔っ払って寝ているような時も急患で呼ばれ、寝る間を惜しんで働いてきたかと思うと、たまらない気持ちになった』『こんな経験は初めてのこと』と吉岡は、当時の心境を告白しています」（前出・プロデューサー）
吉岡は４歳の時に子役としてデビュー。’80年、高倉健主演の映画『遥かなる山の呼び声』のオーディションで山田洋次監督に見出されると、翌年から渥美清主演の映画『男はつらいよ』シリーズにレギュラー出演。
並行してドラマ『北の国から』シリーズにも出演して名子役の名をほしいままにする。そして’03年から今作が始まり高視聴率を獲得すると’05年から始まる映画『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝く。
さらに映画『八月の狂詩曲』『まあだだよ』などの黒澤明作品にも出演。今や名だたる名匠を唸らせた、名優の１人といってもいい。入社一年目でドラマ『北の国から’89帰郷』の助監督についた中江は、年下ながら
「あの黒澤監督や山田洋次監督、渥美清さん、高倉健さんとも同じ現場を過ごしてきた人。最初の頃は、現場に行くのも緊張していた」
「台本の読み方、役への向き合い方、芝居の仕方など、吉岡さんに教えてもらったことは随分あります」
と話している。
<div data-friday-ad-slot="AD_inArticle"></div>
そんな吉岡の鬼気迫る演技を、今作のクライマックスシーンでも観ることができる。長年支えてきた看護師の彩佳（柴咲コウ）とコトー先生は結婚。しかし父親になる直前に死に至る病がコトー先生を襲う。
「しかも台風が志木那島を直撃して、診療所は野戦病院と化し彩佳をはじめ多くの島民が倒れる中、コトーは『全員助けます！』と患者や島民を鼓舞して孤軍奮闘。
自身も治療の途中で気を失うも蘇り、ついにすべての人を助け燃え尽きるシーンは、まるで『あしたのジョー』の矢吹丈のよう。前作の放送から16年の間ただ１人で島を守ってきた五島健助その人にしか見えませんでした」（製作会社ディレクター）
初日舞台挨拶で
「五島健助として白衣を着るのは、これっきり最後」
と話していた吉岡。しかし、師でもある高倉健から
「作品作りは旅に出るようなもの。旅に行くなら信頼できる連中と行くべき」
と教えられたことを今一度思い出してほしい。命と向き合いながら孤独な戦いに挑む銀の龍（Dr.コトー）が蘇る日は来るのか。このドラマがきっかけとなり三度与那国島を訪れた私は、その日を静かに待ちたい…。

バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』（竹書房新書）を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

島右近（放送作家・映像プロデューサー）

2019 TIFF/アフロ

人気テレビドラマシリーズだった『Dr.コトー診療所』が16年ぶりに映画として戻ってきた。だが、主演の吉岡秀隆は、そのブランクで自身を追い詰められていき…

吉岡秀隆　16年ぶりに蘇った『Dr.コトー診療所』で、追い詰められた”島民愛”と「燃え尽きた日」

吉岡秀隆　16年ぶりに蘇った『Dr.コトー診療所』で、追い詰められた”島民愛”と「燃え尽きた日」

あなたへのオススメ

関連記事