「タヌキ親父を払拭」大河ドラマで松本潤が”気弱なプリンス”の原点となる滝田栄『徳川家康』が再評価 | FRIDAYデジタル

「タヌキ親父を払拭」大河ドラマで松本潤が”気弱なプリンス”の原点となる滝田栄『徳川家康』が再評価

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大河ドラマ『どうする家康』で主演を務める『嵐』の松本潤。”イケメン家康”の源流といえば…
大河ドラマ『どうする家康』で主演を務める『嵐』の松本潤。”イケメン家康”の源流といえば…

嵐の松本潤が主演する大河ドラマ『どうする家康』(NHK)がついにスタート。初回の平均世帯視聴率こそ15.4%と前作を下回ったものの、放送中からツイッターでは世界トレンド1位に輝くなど、大きな反響を呼んでいる。

「松本が演じる家康は、“ナイーブで頼りない家康”。初回の放送でも、ただ1人戦場を抜け出し『もう嫌じゃ〜!!』と叫ぶ姿は、“タヌキ親父・家康”のイメージを大きく覆すもの。

脚本を手掛ける古沢良太氏は、『どんな人物が戦国乱世を納め、約260年も続く江戸時代を作り上げることができるのか考えた時に“気弱なプリンス像”が浮かんだ』と話しています。松本演じる家康が、新しい時代が求めるヒーローとなり得るのか、注目です」(ワイドショー関係者)

今作で62作目となる大河ドラマ史上、徳川家康の登場はなんと27作目。これは織田信長や豊臣秀吉を抑えてダントツの1位。しかし、家康その人を主人公にした大河ドラマは、‘83年に放送された『徳川家康』のみ。

判官贔屓の日本人に、家康はあまり人気がない。そんな“家康像”を初めて覆したのが『徳川家康』ではないか。実は『徳川家康』と『どうする家康』は、不思議な縁で結ばれている。

「驚くことに『徳川家康』が放送された40年前の8月30日に生まれたのが、『どうする家康』に主演する松本潤。しかも『徳川家康』では、劇団四季で活躍していた身長185センチの爽やかイケメン滝田栄を抜擢。”家康=タヌキ親父”のイメージを払拭しようとしている点でも共通点が見られます」(前出・ワイドショー関係者)

滝田は文学座の養成所を経て、劇団四季に入団。『ジーザス・クライスト・スーパースター』でその名を馳せると、‘79年には大河ドラマ『草燃える』で注目を集め、翌年朝ドラ『なっちゃんの写真館』(共にNHK)でヒロイン夏子(星野知子)の夫役を演じている。

しかし当時、国民的な作家と呼ばれる山岡荘八が書いた原作『徳川家康』を読んでも、自分が演じる“家康像”を掴むことができなかった滝田は、藁にもすがる思いで家康ゆかりの地、静岡県・臨済寺を訪ねている。

「臨済宗の禅寺・臨済寺は、家康とも縁の深い戦国武将・今川家の菩提寺。家康が幼少期の人質時代を過ごした寺でもあります。臨済寺を訪れた滝田さんは住職からお釈迦様が亡くなられた時の絵・涅槃図を見せられ、『亡くなられたお釈迦様を囲んで、動物も昆虫も蛇も虎も人間もすべての命あるものがお別れを惜しみ、ありがとうございましたといってくれる。そんな本当のリーダーを目指すべき』と言われ、その言葉が役作りのヒントになりました。

おそらく400年前の竹千代(家康)も、師である太原雪斎から、その教えを授けられたのではないでしょうか。この教えが家康の役作りにとどまらず、滝田さんの人生をも大きく変えることになります」(制作会社プロデューサー)

実際に滝田は、お釈迦様について人生をかけて学んでみようと決心。14年間続いたミュージカル『レ・ミゼラブル』が終わった翌日、インドへ旅立ち、座禅や瞑想をしながら自分を見つめ直す生活をなんと2年間も送っている。

徳川家康とは、一体どんな人物なのか。今作『どうする家康』でも、幼少期を過ごした今川人質時代にこそ、後の“天下人・家康”のヒントがあるのではないか。

「初回放送で、今川義元(野村萬斎)が元康(家康)に“王道と覇道”について問い質す場面が登場しますが、今作では義元から多大な影響を受けた家康が戦国という時代に珍しく思いやりや優しさを持った人物として描かれます。

力で制圧する家康像では、あれほど結束の固い徳川家臣団は生まれてこなかったはず。“気弱なプリンス”家康こそ、新しい家康像を解き明かす鍵なのかもしれません」(前出・プロデューサー)

奇しくも今年9月には、『嵐』結成25周年イヤーに突入する松本潤。徳川家康を演じることで、松本自身にどんな心境の変化が訪れるのか。そのあたりにも、ぜひ注目したい――。

 

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

  • PHOTO坂本信二

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