冨永愛、堀田真由『大奥』で”朝ドラ””大河”に続くヒット番組「ドラマ10」を狙うNHKの胸算用 | FRIDAYデジタル

冨永愛、堀田真由『大奥』で”朝ドラ””大河”に続くヒット番組「ドラマ10」を狙うNHKの胸算用

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NHKのドラマ『大奥』で吉宗役を演じた冨永愛。その存在感で”将軍らしい”と評価は高い
NHKのドラマ『大奥』で吉宗役を演じた冨永愛。その存在感で”将軍らしい”と評価は高い

漫画家・よしながふみの代表作『大奥』が1月10日からNHK総合テレビで実写化され、豪華すぎるキャスティング、絢爛豪華な衣装・セットに早くも注目が集まっている。

「『きのう何食べた?』や『西洋骨董洋菓子店』などが映像化されているよしなが作品の代表作と言われるのが、出版大手の漫画賞を総なめにしたベストセラー漫画『大奥』。過去にも’10年に映画化され興行収入20億円を超える大ヒット。

’12年にはTBSでドラマ化の末に再び映画化もされている。しかし男女の立場や役割が逆転した異色作だけに、NHKがドラマ化すると聞き、驚きの声が上がりました」(ワイドショー関係者)

このドラマは江戸幕府3代将軍・徳川家光の時代、若い男子のみが感染する“赤面疱瘡(あかづらほうそう)”と呼ばれる死に至る病が蔓延。男子の人口が女子の4分の1まで少なくなり、日本の社会構造も激変。家光亡き後、将軍職は女子へ引き継がれ、大奥は美男3千人の男の花園と化していく。

その中で3代将軍・家光(堀田真由)、5代将軍・綱吉(仲里依紗)、8代将軍・吉宗(冨永愛)とその側室たちの愛の物語を大政奉還まで大河ドラマに勝るとも劣らぬ映像美で紡いでいく。“ドラマ10”としては、異例のスケールで描く超大作でもある。

今回、ドラマ化するにあたって驚きの声が上がっている本作。一体なぜNHKは異色の時代劇『大奥』のドラマ化に踏み切ったのか。

「NHKは民放に先駆け、これまでもトランスジェンダーの世界をドラマで描いてきました。’18年には、性別は男性ながら見た目はスラリと美人の女性、しかし男には興味がないといった複雑な主人公を志尊淳が演じる『女子的生活』を“ドラマ10”の枠で放送。

翌年には“よるドラ”枠で、腐女子(藤野涼子)がゲイの高校生(金子大地)と付き合い始める青春ドラマ『腐女子、うっかりゲイに告る。』。さらに昨年は、これまで描かれることの少なかったレズビアンの世界を描いた“よるドラ”『作りたい女と食べたい女』をオンエアして注目を集めました。こうした意識高めの企画は、スポンサーを抱える民放よりもNHKの方が取り上げやすいのも事実です」(制作会社プロデューサー)

しかし『大奥』を取り上げたのは、それだけが理由ではない。今年10月に行われる受信料1割引き下げを前に、NHKは“ドラマ10”の枠を“朝ドラ”“大河ドラマ”に続く、ヒットコンテンツにしたい。そんな思惑も見え隠れする。

「民放が『大奥』を作った場合、やはりコストがかかりすぎる。ところがNHKなら、大河ドラマや時代劇で使った美術セットや衣装を再利用できる。

コストの削減は勿論のこと、SDGsに積極的に取り組んでいることにもなる。さらにコロナ禍により、今作のリアリティが増したことも、追い風になっているのかもしれません」(前出・プロデューサー)

しかし、今作に対して並々ならぬ思いを抱いているのはNHKの制作スタッフばかりではない。8代将軍・吉宗役を演じている冨永愛は

「日本の歴史が好きなので、時代劇はずっとやってみたいと思っていたんです」

「背が高いのでオファーがあるなら男性役かもと思い、独自で殺陣や乗馬の練習もしていました」

と語れば、3代将軍・家光役の堀田真由も

「自分自身の代表作」

と意気込みを口にしている。

さらに今作の脚本を手掛ける森下佳子氏も、密かにリベンジを誓っているのではないか。

「’04年、ドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』で注目を集めると、現代から幕末にタイムスリップした医師を描く『JIN-仁-』シリーズ、そして『天皇の料理番』(いずれもTBS系)など大作を手掛けヒットメーカーと呼ばれるようになった森下さん。’13年には朝ドラ『ごちそうさん』(NHK)で、向田邦子賞も受賞しています。

ところが’17年に手掛けた大河ドラマ『おんな城主 直虎』(NHK)は、初回の平均視聴率を上回ることなく低空飛行。手詰まり感のあった大河ドラマに風穴を開けたという声がある一方で、“時代劇というよりラブコメ”“柴咲コウが気の毒でならない”といった声が上がるなど、賛否両論の意見が寄せられました。“凛とした女性”を描かせたらピカイチの森下さんだけにリベンジを期待したいところです」(放送作家)

異色の超大作『大奥』は、“ドラマ10”を”朝ドラ””大河ドラマ”に続く、NHKのヒットコンテンツに押し上げることができるのか。今後の展開に注目したい。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓。電子書籍『異聞 徒然草』シリーズも出版中

  • 写真Pasya/アフロ

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