ノーサイドゲームの浜畑譲・廣瀬俊朗が始めた「特別なおもてなし」 | FRIDAYデジタル

ノーサイドゲームの浜畑譲・廣瀬俊朗が始めた「特別なおもてなし」

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9月6日熊谷ラグビー場で、日本代表対南アフリカ代表のテストマッチが開催された。テレビで観戦した人も、試合前、国歌斉唱時に普段とは違うなにかを感じたのではないだろうか。そう、観客が相手国である南アフリカの国歌を歌い上げていたのだ。手には、南アフリカの国旗と歌詞が印刷された紙があった。

父親がラグビー選手だった田中美里さん(左)と弟が日野レッドドルフィンズの選手である村田匠さん(右)

9月20日に開幕するラグビーワールドカップ。この大会に合わせ、参加国の国歌(またはラグビーアンセム)を歌ってもてなそう、という活動をしているグループがいる。その名もスクラムユニゾン。発起人は、ドラマ『ノーサイドゲーム』に浜畑譲役で出演している元日本代表の廣瀬俊朗さんだ。この活動を始めたきっかけを次のように話す。(以下、カギ括弧は廣瀬さん)

「日本代表として海外のスタジアムで試合をしたとき、お客さんが国歌を大合唱していて、すばらしいなと思ったんです。日本でもそうなればいいな、お客さんを巻き込んでいきたいなと思っていました。そんなある朝、今度は相手国の国歌も歌いたいな、みんなで歌ったら面白いんじゃないかな、と思ったんです。これは日本流のいいおもてなしになるんじゃないか、と」

『ノーサイドゲーム』の熱い演技で廣瀬さんを知った人も多いかも知れないが、彼はリーチ マイケルの前に日本代表の主将を務めていた人物。国際試合で各国の国歌を肌で感じ、それがスクラムユニゾンへとつながったという。

「たとえば、南アフリカの国歌では、歌の中に5つの言語(コサ語、ズールー語、ソト語、アフリカーンス語、英語)が使われています。ニュージーランドの場合は、マオリ語と英語。歌を歌うことで、その国の成り立ちや生い立ちも学べるんです。これは、子供達の教育のためにもいいんじゃないかなと思いました」

連日のドラマ撮影の合間にインタビューにこたえてくれた廣瀬さん

現在の中心メンバーは、廣瀬さんのほかに、ロックバンド・カルナバケーションの村田匠さんと歌手の田中美里さんの3名。またロゴ制作などは、ワールドカップのキャッチフレーズ「4年に一度じゃない。一生に一度だ。」を考案した吉谷吾郎氏が行っている。すでにYouTubeには、今回ワールドカップに出場する20ヵ国の国歌がアップされている。カタカナでのふりがなもついているので安心だ。

(スクラムユニゾンのYouTubeはこちら

「7月27日、釜石鵜住居復興スタジアムで行われたフィジー戦では、釜石東中学の生徒たちとフィジー国歌を歌いました。事前に練習もして、当日はお客さんも歌ってくれ、とても感動的でしたよ」

釜石東中学校は、鵜住居小学校とともに東日本大震災の際、津波の被害を受けた。現在、スタジアムが建っているのは、もともとこの二つの学校があった場所だ。

釜石東中学のメンバーとともに釜石鵜住居スタジアムで国歌を斉唱したスクラムユニゾンの3人。先頭が廣瀬さん

「ラグビーの良いところは、観客席が、敵味方に分かれていないところです。すぐ隣に敵のチームを応援する人がいる。相手チームの良いプレーに拍手をするし、キックする時には邪魔をせず静かにする。お客さんも一緒にいい試合にしようと思っているんです。ぜひ、ワールドカップではこうしたラグビー文化に触れてもらいたいですね」

「月刊モーニングツー」で連載中の漫画『ALL OUT!!』では、花園を目指す高校ラグビー部の友情と葛藤が描かれている。廣瀬さんは、ラグビーを通じて出会った人間関係について、次のように語った。

「ラグビーの良さは、仲間との絆だと思います。激しいコンタクトスポーツですが、仲間のために、という思いがあると痛くても怖くても当たっていけるんです。ラグビーを通じた仲間意識というのは、特殊で、初めて会った人でも、ラグビーをやっていたというとすぐに距離が近づきます。厳しいトレーニングや試合を仲間と乗り越えてきたという共通の気持ちがあるからでしょうね。『ALL OUT!!』は連載開始時から読んでいますが、ラグビーを通じた人間関係の熱さや友情、絆を丁寧に描いていただいているなと思っています。元選手の立場からとても感謝していますよ」

『ALL OUT!!』 には身長が低いことがコンプレックスの祇園健次(ぎおんけんじ)と、逆に高身長の石清水澄明(いわしみず すみあき)が主人公として登場する。それぞれが自分の特性を活かして、ラグビーにのめり込んでいくのだ。

「ラグビーというスポーツは面白くて、ポジションごとに専門的な役割があるんです。それぞれが自分の仕事をまっとうして、最終的にチームの勝利を目指す。そこが会社組織と似ているんです。大企業のトップの方にラグビーを好きな方が多いのは、そういうラグビーの本質を理解されているからでしょう」

多忙な廣瀬さんだが、9月15日には『ノーサイドゲーム』は最終回を迎える。このドラマで評判なのが迫力あるラグビーシーン。この日も撮影帰りだったのだが、廣瀬さんは「現役時代よりもしんどかったですよ」と言いながら笑顔を見せた。本気の演技(?)から最後まで目が離せない。

現役時代はスタンドオフとして活躍。ドラマには当初、ラグビーシーンの指導という役割で参加する予定だった

廣瀬俊朗(ひろせとしあき)1981年、大阪府出身。吹田ラグビースクールでラグビーを始め、北野高校から慶應義塾大学へ進学。卒業後は東芝ブレイブルーパスに入団した。12年日本代表に選出されると、エディジョーンズHCから主将に任命された。現在は、ラグビーにとどまらず、様々な活動を行っている。ワールドカップ期間中は、解説者としてテレビに出演予定

『ALL OUT!!』は、この下からすぐに読むことができます。

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  • 撮影西崎進也(2枚目、4枚目)

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