”あさイチ”も異変!朝ドラ・広瀬すずを脅かす『おしん』の破壊力 | FRIDAYデジタル

”あさイチ”も異変!朝ドラ・広瀬すずを脅かす『おしん』の破壊力

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広瀬すず主演のNHKの朝ドラ『なつぞら』もいよいよ佳境。100作目を記念して歴代朝ドラヒロインも集結した。さらに再来年の大河ドラマ『青天を衝け』の主演も決まった吉沢亮や岡田将生、清原翔、中川大志、山田裕貴などイケメン揃いに注目が集まる中、平均視聴率も20%の大台をキープするなど、100作目の重責を充分に果たしている。

しかし、その人気を阻む火の手が、思わぬところから上がっている。

「それがBSプレミアムで『なつぞら』の前に放送している『おしん』。毎朝BSで2作続けて見ている視聴者からは、次々と試練が襲ってくる『おしん』に比べて『苦労が足りない』『ぬるい』『おしん見ているから、なつぞらでは泣けない』といった声がネットに書き込まれています」(ワイドショー関係者)

しかも”朝ドラ受け”が人気の生番組『あさイチ』(NHK総合)でも珍事が。タレントの藤井隆が出演した際、冒頭で事もあろうに「筏で奉公に行くシーンを見ると…」と、おしんの感動の名場面に触れてしまい、MCの博多大吉から「できれば『なつぞら』受けを」と突っ込まれる一幕もあるほど、「おしん」は今再びブームを巻き起こしつつある。

‘83年の4月から1年に渡って放送された朝ドラ『おしん』は、山形の貧しい小作の娘に生まれた主人公・おしんが、苦労を重ねながら明治・大正・昭和の激動の時代を生き抜く女の一代記。幼少期を小林綾子、青春・青年期を田中裕子、中高年期を乙羽信子がリレー式に演じ、平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%を記録。これはテレビドラマ史上最高視聴率だ。

日本のみならず、アジアや中東など世界68カ国で放送された、まさに世界で最も愛された日本のテレビドラマでもある。しかし、「おしん」のドラマ化への道は、茨の道でもあった。

「時代がバブル期に向かう真っ只中。そんな時代だからこそ、貧しい時代を懸命に生きてきた先人たちのメッセージを伝えたい。その思いから脚本家の橋田壽賀子は取材を続け、NHKや民放に企画を持ち込んでいましたがなかなか通らない。始まった当初、夢に向かって羽ばたくヒロインを描いてきた朝ドラにしては地味で暗すぎる、といった声も聞かれました」(前出・ワイドショー関係者)

しかし放送を重ねる内に、ひたすら辛抱する小林綾子演じる幼少期の”おしん”に注目が集まる。そのバトンを受け取り、プレッシャーと闘いながら「おしん」を”朝ドラの金字塔”へと押し上げたのが女優・田中裕子である。

「橋田作品といえば、目がくらむほどのセリフ量。そしてハードな撮影スケジュール。あまりの過酷さから演技中の田中が気を失って倒れ、撮影を1か月間中止する事態にも見舞われました。そんな現場にも関わらず、田中の色香は今観ても眩いほど。イラン・イラク戦争最中のイランでは、なんと視聴率90%を記録。田中の演じる”おしん”に、世界中の女性達が生きる希望を見出していたのでしょうね」(制作会社プロデューサー)

しかし田中自身は、このドラマにあまり納得がいっていなかった、と脚本家の橋田は今年、日本経済新聞に掲載された「私の履歴書」の中で書き記している。

「『これまで秘密にしていたが…』と前置きした上で、橋田は『田中が私と言葉を交わさなかったどころか、目も合わさなかった』と告白。その理由について『脚本ができる前に仕事を受け、いざ始まってみると役柄が気に入らなかったんだろう』と分析。しかし、スタッフの期待以上の『おしん』を演じてくれた事に感謝して、橋田は『それでこそ本当の名優だ』と結んでいます」(テレビ誌記者)

確かに翌年放送された『おしん』の再放送は、小林綾子が演じる幼少期のみ。”役者として色がつくことを嫌って”所属する文学座が断ったと言われているが、理由は決してそれだけではあるまい。橋田ドラマは独特ゆえ、‘94年10月に始まった朝ドラ『春よ、来い』でも主演の安田成美が途中降板している。何はともあれ、様々な葛藤を乗り越え、撮休後に再び現場に帰ってきた田中裕子。もし、途中降板していたら、不朽の名作『おしん』は、誕生していなかったに違いない。

「その『おしん』が最高視聴率62.9%を記録したのは、放送開始から半年が過ぎた11月の事。舞台は母のふじ(泉ピン子)が死に、日本が世界恐慌に飲み込まれていく昭和5年。以前奉公していた加賀屋は若旦那が商品相場に手を出して潰れ、姉妹のように育った親友の加代(東てる美)も女郎に身を落とし、いても立ってもいられず、おしんが東京に駆けつけるといった緊迫の場面です」(前出・テレビ誌記者)

朝ドラ100作を記念して、再放送された朝ドラ史上不朽の名作『おしん』。10月からは、101作目にあたる戸田恵梨香主演の『スカーレット』が始まるが、ライバルは過去の名作という皮肉な展開になりそうだ。

  • 島右近(放送作家・映像プロデューサー)

    バラエティ、報道、スポーツ番組など幅広いジャンルで番組制作に携わる。女子アナ、アイドル、テレビ業界系の書籍も企画出版、多数。ドキュメンタリー番組に携わるうちに歴史に興味を抱き、近年『家康は関ケ原で死んでいた』(竹書房新書)を上梓

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