あの「町の名店」のコロナ後は?近況をお尋ねしてみたら…
心配だったコロナ禍中の頑固店! 不器用でアナログな店主たちを支えたのは、常連さんの愛情だった
自粛が開けましたがいかがお過ごしでしょうか。がっつり外食はまだちょっと…てムードもありますよね。しかも私が取材するような店って、店主がアナログだったり不器用だったりで、ネットやSNSを駆使してテイクアウトでしのぐのも難しそう…と心配です。そこで近況を聞いてみましたら、いろいろ意外な反応が返って来ました! やっぱり私が惚れ込んだ店は、ツワモノぞろいでした。
それでも、店に来ないとカレーは売らない。「仙臺」
まずは、神田カレーグランプリ店主怖い部門1位(冗談です)の「仙臺」。もともと昼時にはテイクアウト用も販売しており、コロナショックで持ち帰り客も増えたそう。ただ「電話注文は受けない。来て買え」と相変わらず頑固。なんで? と聞きましたら、「嘘の注文かもしれないから」。そんな暇な奴いねえよ! と思わず笑いそうになってしまいました。
■「『食べログ』評価興味なし! 怖い店ほど愛がある 神保町『仙臺』」はコチラ
コロナにオトシマエをつけようとしている「カレーハウス ラハイナ」
「矢沢な店は良い店だ」を実証してくれたラハイナ。コロナで売り上げは2〜3割減ですが、矢沢ファンが遠方から来店しエールを送ってくれるそう。「近所でも3軒ほど閉店したみたいですが、矢沢な店を張ってる以上負けは許されません。年内は苦戦しそうですが来年必ずコロナのオトシマエをつけたいと思います」と、やっぱり矢沢なコメントでした。
■「『矢沢な店はいい店だ』説を実証。人情カレー『カレーハウス ラハイナ』と絶品担々麺『永吉』の2店」はコチラ
のびてもいいから! と担々麺を持ち帰る人続出「永吉」
同じく矢沢な店。もともと持ち帰り対応はしていましたが、さすがに麺のテイクアウトは推奨していませんでした。でも「のびてもこぼれてもいいから!」とファンが担々麺をテイクアウトしてくれるそう。もはや「食べる」ことより「買う」ことに意味があるんでしょう。「コロナ前より昼が混んでて…」と戸惑っていました。
たとえお腹がいっぱいでも買いに行きます。「三好弥」
以前から一部を除き持ち帰り可能でしたが、コロナショックでは常連・新規問わず積極的にテイクアウト利用しに来てくれたと話しています。「お客様に励まされながら頑張って営業しています」とのこと。テイクアウト利用の数って、お店がいかにファンに愛されているかのバロメーターなんだなと思いました。
■「かつては130店舗の大チェーン 街の洋食屋『三好弥』の秘密」はコチラ
脱力系ホームページにトラップあり「ハイナン焼ショーロンポー」
漢方に基づいた薬膳カレーやスープ、焼きショーロンポーを提供するこのお店。武蔵境という普通あんまり行かない(失礼)場所にあるので心配でしたが、以前から行っている通販の新規注文がコロナを機に増えたと言います。じゃあ取り寄せよう! と鼻息荒くホームページから注文ボタン押すと、エラーになっていきなり出鼻をくじかれます(笑)。めげずに電話かメールで注文にこぎつけてください。
■「ラーメン、餃子に続くか!?武蔵境『ハイナン焼きショーロンポー』」はコチラ
通販は利益ゼロ! でも美味しさを届けます「ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋」
最後に、「ジンギスカン ゆきだるま 中野部屋一門」。こちらではコロナ前からほそぼそと通販を行っていましたが、コロナを機に本腰入れたそうです。お店で出しているアイスランドシープのラム肉と、自慢のタレがセットになっています。これがあまりに旨かったので、実食レポートします。
すげえ塊肉が届きましたねえ、ラム肉約600g。自分で切りますが、お店と同様、厚切りがオススメです。
みなさんもちろんジンギスカン鍋は持っていますよね。えっ、ない! でも大丈夫です。なんとこのお肉はフライパンで焼けるんですよ。
見て下さいこのツヤッツヤでプリップリのラム! 羊肉史上一番柔らかくて臭みがないのではないでしょうか。
正直、ジンギスカンなんてその辺で買って来たラム肉でも一緒じゃね? と思うじゃないですか。しかし、それは誤解でした!
この肉がそもそも「ゆきだるま」でしか手に入らない貴重なアイスランドシープ。安全に育てられた生後1年未満の子羊の肉は、格別なので世界にごくわずかしか流通していません。日本に輸入されるアイスランドシープのほとんどを「ゆきだるま」で消費しているというから驚きです。
なんとこの通販、売れても利益はほとんどない(!)そうです。「価格設定間違えた。人件費もかかるしさー」と中尾さん。もしかして今後値段や内容が変わるかもしれませんので、購入はお早めに…。
「自粛開けてもコミュ障なのでそもそも外出ません」「家にいるのが楽でもう外行くの嫌になった」という人もいるでしょう。そんな人は、家でも極上ジンギスカンを楽しめるこのお取り寄せ、良いですよ!
■「北海道より旨い!道産子ライターが認定・東京ジンギスカン2大決戦」はコチラ
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と、これまで取材してきた店の近況をお知らせしましたが、名店はやはりコロナでめげていませんでした。むしろ闘志燃やしていました。でも自粛も開けたし、みなさん、こぞって行ってあげて下さい。3密が気になるならテイクアウトや通販も利用してあげて下さい。強がってはいるけどコロナでだいぶ売り上げは減っています。多分休業補償金とか申請できるほど器用じゃないので、名店の歴史を絶やさないよう応援しましょう。美味しいものを食べさせてくれた、その感謝の気持ちを「食べに行く」「買う」ことで返すしかないのです!
- 取材・文・写真:猫田しげる
1979年生まれ。タウン誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。現在はウェブライターとしてデカ盛りから伝統工芸まで幅広い分野で執筆。弱いのに酒好きで、「酒は歩きながら飲むのが一番旨い」が人生訓。 猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」https://nekotashigeru.site/