「実質タダ」の気分にさせるジャニーズの華麗なる課金システム

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昨年1月、突然の活動休止発表をして世間を揺るがした嵐の5人

全世界がコロナ禍で喘ぐ中、“日本経済の救世主”と叫ばれているのは『鬼滅の刃』だが、ジャニヲタである筆者は今現在、かつてないほどの勢いでジャニーズに課金している。

この春、新型コロナウィルスが感染拡大する中で、1番に「不要不急のコンテンツ」として槍玉に挙げられたエンタメ産業が、ここへ来て日本が明るさを取り戻す大きなきっかけになっている。最近は、「『鬼滅〜』はなぜヒットしたか」という分析記事なども散見されるが、娯楽やカルチャーの中にこそ、文明的に成熟した現代人の生命維持に必要な何か……ベタにいうと“生きる希望”が詰まっているのだと思う。

実際、あまりに爆発的なヒットのため、『鬼滅〜』ばかりが取り上げられているが、今年の夏に限っても、日本映画はそれなりに健闘していた。わかりやすいところで言えば『コンフィデンスマンJP プリンセス編』(興収38億円)『今日から俺は‼︎劇場版』(興収53億円)など実写映画としてはコロナ禍でなくても十分大ヒットと言える動員数を弾き出しているし、ジャニーズのタレントが出演している映画としては、亀梨和也主演の『事故物件 恐い間取り』が22億円のスマッシュヒットになっている。

他にも、『事故物件〜』の2週間前に公開されたKing& Prince(以下:キンプリ)永瀬廉主演の『弱虫ペダル』、9月に公開された関ジャニ∞大倉忠義主演の『窮鼠はチーズの夢を見る』、10月に公開された「嵐」二宮和也主演の『浅田家』も、それぞれに商売として成立するであろう興行成績を残しており、内容的にも各出演者が俳優として飛躍できるような作品になっている。

この「自担(ジャニーズ用語で“推し”のこと)が飛躍する瞬間を目撃すること」こそ、ジャニーズ投資家(ヲタ)にとっての最大幸福。コロナ禍で自らに緊縮財政を課していた筆者が、その禁を最初に解いたのが、6月の「Johnny’s World Happy LIVE with YOU」だった。1日の公演で平均3グループが順番に自分たちのステージを展開し、それが6日間。1日目がV6、キンプリ、嵐で、最終日がKinKi Kids(以下:キンキ)、SixTONES、Snow Manという布陣だった。

どこかのグループのファンクラブに入ってさえいれば、1公演2500円、全くの一般人でも3000円で鑑賞できる仕組み。筆者は、ここで6公演、計1万5000円を払ったのだが、1週間のアーカイヴもあり、「♪お値段以上ニ○リ〜」という音楽が頭の中を駆け巡るほどの満足が得られた(ネット用語では、超優良コスパのことを「実質タダ」と呼ぶ)。

とくに嵐やキンキやV6といったベテラン勢の「絶対に長い年月を共にした彼らにしか出せないムード」が、本当にしみじみと味わい深く、若手からベテランまでがそれぞれに生き生きと音楽を愛する、「ザ・ユートピアな世界」が広がっていたのである。オッサン相手の媒体が「退所者が続いてジャニーズ帝国崩壊の危機」など騒ぎ立てる中、ヲタの心はスーパー平穏だった。大丈夫、ジャニーズについていけば、そこに楽園はあるのだと。

「Happy Liveは嵐担が活動休止後の“沼”を見つける場所?」(5月4日配信)

「ジャニーズ無観客ライブをつい最後まで再生してしまう3つの理由」(5月5日配信)

7月28日の通称「な(7)に(2)わ(8)の日」には、関ジャニ∞、ジャニーズWESTというデビュー組と、なにわ男子、Aぇ!グループ、Lilかんさいなどを中心にした関西ジャニーズJr.が一堂に会し、「Johnny’s DREAM ISLAND2020-2025」という関西ジャニーズ版音楽フェスが日本万博記念公演・太陽の広場で開催された(その4日前には、村上信五の「If or…NEO」というソロの舞台もあった)。

「関ジャニ∞大倉忠義の名言力に見る『グリーンがセンターをとる日』」(7月28日配信)

8月からは、関西ジャニーズはデビュー組を含めて「松竹座」の舞台に、関東ジュニアは毎年夏にライヴを開催する東京ドームシティホールの舞台に立った。東京では、次のデビュー組と目される実力派Travis Japanの7人が、それぞれソロでステージに立ったのを皮切りに、HiHi Jets、美 少年、7MEN侍、少年忍者などYouTubeでも活躍するグループが、次々に自分たちらしいパフォーマンスを披露する。その中には、先日のミュージックステーションで、「IMPACTors」として紹介された7人組のステージもあった。

初年度年会費2500円のジャニーズJr.情報局に入ってしまえば、各公演は1回1500円。映画の前売りと同じ金額である。複数日公演があるグループもあれば、1日だけのグループもあるが、1公演あたり1時間半程度が1日3公演なので、時間をやりくりすれば、どれかは観られる。気に入った公演は、「もう1回観よ」と軽い気持ちでチケットを買うのだが、必ず、初回で観たステージよりは、後から観たステージのほうが熱量を感じさせてくれたのだ。

1公演1500円だと10公演観ても1万5000円。ミュージカルや韓流のライヴなら1回で飛んでいく金額である。それで、配信とはいえ、10回のステージを観られるのだから、どう考えても、「♪お値段以上ニ○リ〜」ではないか。

と、すっかりジャニーズ課金に慣れたところで、9月には堂本剛の「平安神宮 奉納演奏」がこれまた素晴らしく、配信でしか実現しない幻想的な演出の数々に、心はすっかり「Go To平安神宮」。

10月にはKis-My-Ft2(以下、キスマイ)の東京ドーム生配信があったが、その2日目が堂本光一主演の「ENDLESS SHOCK Eternal」の生配信と被るという、ヲタ的には悲しいスケジュールで、筆者はキスマイの2日目を泣く泣く諦め、土曜はキスマイ、日曜は SHOCKというスケジュールを組んだ。

10月9日からは、キンプリの生配信が始まり、筆者はまず10日の14時からの回を観た。そこで、どうしても聴きたかった「King&Prince ,Queen&Princess」が、ファンクラブ会員限定のアンコールでだけ配信されると知り愕然。近くの銀行に出向き、ペイジーでファンクラブ会費を振り込み、即60ン万台(!)の会員番号をゲットし、オーラスのチケットを速攻でポチったのだった。

果たして、オーラスの彼らのパフォーマンス、特に最後のコメントが素晴らしく、ファンクラブ会費も含め、配信2公演で1万5000円近い出費だったにもかかわらず、また「♪お値段以上ニ○リ〜」な気分に浸れたのであった。

10月22日からは怒涛のジャニーズ配信ラッシュ。Snow Man(以下:スノ)のライヴは、土曜の昼とオーラスの2本を観ることにした。ただ、スノの場合、筆者は配信ライヴ以前に、セカンドシングル「KISSIN MY LIPS」の課金の沼にハマっていた。最初、特典映像が観たくて、「初回限定B」を購入したものの、それだと公開されていたミュージックビデオの完全版が入っていない。

初回Bの特典映像は1時間以上ある充実の内容で「実質タダ」な気分になったので、その流れで初回Aを購入すると、これまた特典映像が充実。YouTubeに「君の彼氏になりたい」というカップリング曲のダンス動画が上がると、その曲が入っている通常盤も欲しくなるという、コンプリートの罠に陥ったのであった。

世間一般には、「今更CDなんて古い」と言われるかもしれないが、ジャニーズのコンテンツの場合、お金を払って損した気分にさせられることはまずない。8月12日に発売されたTwenty Twentyの「smile」にも言えることだが、分厚いフォトブックに、1時間を超えるレコーディング映像は、ちょっとしたドキュメンタリーを観ているよう。映像作品として手元に置こうと思ったら、税込2000円弱は安いくらいだ。

「騒動続くも安泰…?ジャニヲタが『smile』に見る幸せな未来」(8月31日配信)

29日から3日間で計5公演開催されたSexy Zone(以下:セクゾ)の配信ライヴは、松島聡の復帰というドラマがあっただけでなく、彼らのデビューからの9年で培ったパフォーマーであり歌い手としての包容力が爆発していて、「セクゾの時代」の到来を予感させる、官能や耽美や感傷が大渋滞したステージだった。公演後のファンクラブの会員向けの配信(アフタートーク)が思いの外充実していて、菊池風磨というジャニーズ屈指のトークセンスを持つ男の本領は、ああいう場でこそ発揮されるのだと思った。

「Sexy Zone SMAP的楽曲でヨーロッパを目指すべき理由」(10月31日配信)

そしてV6である。彼らのライヴの素晴らしさを数行でまとめることは不可能だが、すっかり課金マニアと化した筆者が、V6のファンクラブには入っていなかった。ファンクラブに入っていない自分をあれほど呪った夜はない。1回きりの公演で、まさかそこまで充実したファンとのアフタートークが用意されているとは……。本編終了後、筆者がSNSをチェックしたところ、どうしても聴きたかった超絶カッコいいダンス曲「Full Circle」がファンクラブ枠でのみ披露されたようなのだ(涙)。

結論:ジャニーズのコンテンツを心ゆくまで楽しむためには、課金をケチってはいけない。嵐のライヴも、ファンクラブ会員は1万円近い出費となり、「通常のコンサートと変わらないじゃん!」と嘆くコメントも散見されたが、あの松本潤が、今までファンをガッカリさせたことがあっただろうか? 代々木体育館が会場のV6も、「セットにこんなにお金かけて大丈夫ですか?」「そんなに走っちゃって、そんなに踊っちゃって大丈夫ですか?」とこちらが心配になったほどなのだから、言わんや嵐をや。

ここまで大勢の人を惹きつけてきた嵐のこと、ファンの生命維持に必要な何か……しかもこれから何年も胸に抱き続けるであろう“生きる希望”を、確実に、誠実に、届けてくれるに違いない。

  • 取材・文喜久坂京

    ジャニヲタ歴25年のライター。有名人のインタビュー記事を中心に執筆活動を行う。ジャニーズのライブが好きすぎて、最高で舞台やソロコンなども含め、年150公演に足を運んだことも。

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