朝ドラ「なつぞら」モチーフとなった女性 驚きの晩年とは? | FRIDAYデジタル

朝ドラ「なつぞら」モチーフとなった女性 驚きの晩年とは?

アニメーター奥山玲子さん『爆報! THE フライデー』で特集

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「爆報! THE フライデー」の取材を受ける小田部羊一さん(「奥山玲子銅版画集」刊行記念展覧会の会場となった書店「一日」吉祥寺にて)朝ドラ『なつぞら』が最終回を迎えた。『なつぞら』ロスの声もあるなか、ドラマが描いた時代の「その後」を知る方法がある。

同ドラマでヒロイン奥原なつ(広瀬すず)のヒント、モチーフとなった人物がアニメーター奥山玲子さんだ。奥山さんはドラマが描いた1970年代以降を、どのように生きたのだろうか?

そんな疑問に答えてくれる番組が放送される。

〔朝ドラ「なつぞら」にはモチーフとなった一人の女性がいた! 驚きの晩年〕と題し、奥山玲子さんの若き日の活躍から晩年までも特集するのが『爆報! THE フライデー』(TBS系 10月4日よる7:00~)だ。

番組は、奥山さんの夫で”おしどりアニメーター”として知られ、『なつぞら』ではアニメーション時代考証を担当した小田部羊一氏に密着取材。ご自宅にほど近い仕事部屋では長時間のインタビューを行っている。

そして、高畑勲監督や宮﨑駿監督も認める敏腕アニメーターだった奥山さんの活躍ぶりや、今の時代に通じる「働く女性の課題」である、結婚、出産、共働きに関する驚きのエピソードも、親友の証言や再現映像などで描かれるという。

奥山玲子さんと銅版画のプレス機(1990年代)。この部屋で『爆報!THEフライデー』の取材が行われた。(写真提供:小田部羊一氏 書籍『漫画映画漂流記』より)
奥山玲子さんと銅版画のプレス機(1990年代)。この部屋で『爆報!THEフライデー』の取材が行われた。(写真提供:小田部羊一氏 書籍『漫画映画漂流記』より)

ここで、妻・奥山玲子さんの活動(の一部)をご紹介しよう。

1935年、宮城県仙台市生まれ。宮城学院高等学校卒業。東北大学教育学部中退。1957年東映動画(現・東映アニメーション)入社。『白蛇伝』(58年:動画)、『わんぱく王子の大蛇退治』(63年:原画)、『太陽の王子ホルスの大冒険』(68年:原画)、『マジンガーZ対デビルマン』(73年:原画)、『マジンガーZ対暗黒大将軍』(74年:原画)、『アンデルセン童話 にんぎょ姫』(75年:作画監督)など、さまざまな作品で活躍した。※『なつぞら』がモチーフにしたのは、おおよそこの時期までだ。

その後も、『母をたずねて三千里』(76年:作画監督補)、『龍の子太郎』(79年:小田部氏と共同でキャラクターデザイン、作画監督)、『火垂るの墓』(88年:原画)、『注文の多い料理店』(93年:原画)、『冬の日』(2003年:絵コンテ・原画)など数多くのテレビアニメ、劇場アニメなどに携わった。

1985年から東京デザイナー学院アニメーション科講師を務め、1988年より銅版画の制作も開始した(『奥山玲子銅版画集』が2019年に刊行)。そして2007年。奥山さんは惜しくも71歳の若さで亡くなっている。

実は奥山さんの死は半年もの間、世間には伏せられてきた。それは一体なぜなのか? 『爆報! THE フライデー』では、その理由についても小田部羊一氏に取材しているという。

夫・小田部さんの活動(の一部)についても、改めて紹介しよう。

1936年、台湾台北市生まれ。1959年、東京藝術大学美術学部日本画科卒業後、東映動画株式会社(現:東映アニメーション)へ入社。『わんぱく王子の大蛇退治』(63年)、『太陽の王子ホルスの大冒険』(68年)、『長靴をはいた猫』(69年)、『どうぶつ宝島』(71年)などの劇場長編映画で活躍。『空飛ぶゆうれい船』(69年)で初の劇場作品作画監督。東映動画退社後、高畑勲、宮﨑駿と共にメインスタッフとして『パンダコパンダ』(72年)、『アルプスの少女ハイジ』(74年)で活躍した。※『なつぞら』がモチーフにしたのは、おおよそこの時期まで。

その後も、『母をたずねて三千里』(76年)のキャラクターデザイン・作画監督を担当。その他、劇場作品の『龍の子太郎』(79年)、『じゃりン子チエ 劇場版』(81年)でキャラクターデザイン・作画監督として活躍。

1985年、開発アドバイザーとして任天堂(株)に入社。ゲームの世界で、「スーパーマリオブラザーズ」シリーズのキャラクターデザイン監修、「ポケットモンスター」シリーズのアニメーションの監修などを行う。2007年に任天堂退社後、フリーに。2015年度第19回文化庁メディア 芸術祭で功労賞を受賞している。

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実に華々しい奥山さんと小田部氏の活躍ぶりだが、『爆報! THE フライデー』〔朝ドラ「なつぞら」にはモチーフとなった一人の女性がいた! 驚きの晩年〕では、情報バラエティ的手法で奥山さんの活躍ぶりと人生のエッセンスが明かされる。

テレビ以外にも『なつぞら』が描いた時代の「実像」と「その後」を知る方法がある。小田部氏の近著『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』だ。本書では、おふたりの、もの創りとくらしぶりの詳細が記されている。

『なつぞら』が放送されたことで、日本のアニメーションの草創期を知る機会が、テレビや書籍へと増えた。

 『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』

『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』の書影(右は帯つき)。カバーイラストは小田部羊一氏描き下ろし。著:小田部羊一 聞き手:藤田健次
『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』の書影(右は帯つき)。カバーイラストは小田部羊一氏描き下ろし。著:小田部羊一 聞き手:藤田健次

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「FRIDAYデジタル」は他メディアに先駆けて19年2月に小田部羊一氏にロングインタビューを実施した。4月1日の第1弾(下記)を皮切りに第3弾まで公開した記事は、そのインタビューの一部である。記事の大反響を受けて刊行したのが、書籍『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』である。本書は2月のインタビューを再構成し、8月に実施した2回目のロングインタビューも盛り込み、さらに奥山・小田部夫妻と同時代を開拓したアニメ―ション演出家3人、アニメーター3人のインタビュー&寄稿を加えて構成した240ページのボリュームとなっている。

〔Part 1〕”アニメーター”奥山さんのこと…「動画」と「童画」を」勘違いしてアニメーションの世界へ/毎日違う服、挑む同僚たち/『太陽の王子ホルスの大冒険』中傷画と鬼山さん/奥山さんの聞くもの、創るもの

〔Part 2〕”夢の工場”東映動画のこと…日本画からアニメーションの世界へ/東映動画での会社生活/東映動画という学校/

〔Part 3〕”パートナー”ふたりのこと…ペラっと/ダンスがきっかけ/いつも奥山さんが後押し

〔Part 4〕”夫婦回顧”さらに、ふたりのこと…長い道のりのスタート/産休明けの母乳/『ハイジ』キャラクター誕生秘話と25年目のスイス旅行/ぎっくり腰と『母をたずねて三千里』/”羊”と”玲”であんていろーぷ/日本文化と日本画を積極的に取り入れた『龍の子太郎』/強いけど、弱くてかわいい奥山さん/東京から京都へ。そして今にして思うこと。

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奥山・小田部さんと共に漫画映画を開拓した演出家たちの証言

・勝間田具治 『アンデルセン童話 にんぎょ姫』作画監督 奥山玲子との仕事…実写からアニメの世界へ/『アンデルセン童話 にんぎょ姫』、今明かされる実写パートの秘密/『にんぎょ姫』での作画監督の奥山さんとの共同作業/短い制作期間で見せた現場の意地/改めて思う、奥山さんとの仕事/勝間田さんから見た、小田部さんと奥山さん

・葛西治 『龍の子太郎』古巣に戻った夫婦を支えた東映動画スタッフ…『龍の子太郎』が動き出すとき/2人を迎え入れた「準備室」/はじめて語られる『龍の子太郎』メイキング/クリエイトコーナーと浦山監督/キャスティング秘話/葛西さんから見た、小田部さんと奥山さん

・池田宏 『空飛ぶゆうれい船』『どうぶつ宝島』からスーパーマリオの世界へ…はじめに/初めての出会いはアメノハヤコマ/お互い新人だった『空飛ぶゆうれい船』/アメリカ大使館で学んだ『ストーリーボード方式』/『どうぶつ宝島』から生まれた日本型アニメーションの「波」/池田さん、東映動画から任天堂へ/任天堂に小田部さんを呼んだワケ/奥山さんの本当にやりたかったこと/小田部さんの本当にやりたいこと

奥山・小田部さんと共に漫画映画を開拓したアニメーターたちの証言

・山下(中谷)恭子 寄稿「懐かしい奥山玲子さん」

・ひこねのりお 「妖しい踊りと結婚の告白」…「おめでとう」が出会いの言葉/奥山さんからの突然の告白/『わんぱく王子の大蛇退治』、そして東映動画の思い出/ひこね夫妻から見た、小田部さんと奥山さん

・宮崎(大田)朱美 「奥山さんから続く女性アニメーターの路」…大田朱美さんから見た、出来たての東映動画と奥山さん/職場の思い出/びっくりした小田部さんの仕事ぶり/『太陽の王子ホルスの大冒険』と労働問題/奥山さんの道をかきわけながら進んだ、共働き生活/アニメーターを辞めて家庭に/宮崎さんから見た小田部さんと奥山さん/奥山さんから続くもの、そして得たもの

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『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』のレビュー(一部)

【それこそ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東映動画』と形容したくなるほど、50年代末から70年代末にかけての東映動画とその周辺の模様をわかりやすくも丁寧に捉えた好著であった。】「キネマ旬報」〔戯画日誌〕欄(9月5日掲載)映画評論家:増當竜也氏

【故・奥山玲子さんの夫、小田部羊一さんは一久さん顔負けの「育児する夫」だったのです。『漫画映画漂流記』では、昭和40年台の共働きの大変さがリアルに記されています。】「たまひよONLINE」(9月13日掲載)

【『漫画映画漂流記』には、奥山さんがいかにして道なき道をきたのかも綴られています。小田部さんや宮崎(朱美氏、宮﨑駿監督夫人)さんをはじめ、演出家やアニメーターたち、の証言も盛りだくさんの一冊。アニメーション勃興期に、アニメーションをどのように作って行ったのか、子どものいる共働きをどう乗り越えてきたのか。「漫画映画」と「共働き」について多くの資料とや証言で綴られている。】「FRaU」(デジタル版)(9月14日掲載)

【美人でファッショナブル。女性社員の先頭に立ち、子育てをしながら働く道を切り開いた。そんな愛妻との思い出をまとめた『漫画映画漂流記』が刊行された。】「朝日新聞」〔ひと〕欄(9月26日掲載)小原篤記者

【『漫画映画漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』関連記事】

〔第1弾(4/1)〕朝ドラ『なつぞら』広瀬すずヒロインのヒント・奥山玲子さんの全て
〔第2弾(4/22:公開終了)〕小田部羊一氏と東映動画の「スゴい人々」

〔第3弾(6/10:公開終了)〕奥山玲子さん&小田部羊一夫妻「創作の日々」

〔第4弾(8/17)〕本当の最終回へ『なつぞら』のリアルとその後を小田部羊一氏が語る
〔第5弾(8/31)〕『なつぞら』の原点・奥山さんの親友が語る共働き・子育ての実像
〔第6弾(9/4)〕『なつぞら』原点 奥山玲子・小田部羊一夫妻は漫画映画を開拓した
〔第7弾(9/28)〕最終回『なつぞら』ヒントとなったおしどりアニメーターの開拓史

特集上映「高畑勲の軌跡」(ユジク阿佐ヶ谷)の関連イベントとして開催された小田部羊一さんのトークショー。『なつぞら』の秘蔵エピソードや最近相次いて刊行された『奥山玲子銅版画集』『漫画映画漂流記』、まもなく刊行される『奥山玲子アニメ画集』などについて語られた
特集上映「高畑勲の軌跡」(ユジク阿佐ヶ谷)の関連イベントとして開催された小田部羊一さんのトークショー。『なつぞら』の秘蔵エピソードや最近相次いて刊行された『奥山玲子銅版画集』『漫画映画漂流記』、まもなく刊行される『奥山玲子アニメ画集』などについて語られた
『なつぞら』打ち上げ「撮影終了を祝う会」で出席者に配られたTシャツを披露する小田部氏。胸には「な」のデザイン
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『なつぞら』打ち上げ「撮影終了を祝う会」で出席者に配られたTシャツの背中側を披露する小田部氏。会場は拍手喝采
『なつぞら』打ち上げ「撮影終了を祝う会」で出席者に配られたTシャツの背中側を披露する小田部氏。会場は拍手喝采

⇒たちまち重版!『漫画映画 漂流記 おしどりアニメーター奥山玲子と小田部羊一』 を購入する

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