宮﨑あおいが“地下鉄の女神”に!「メトロガール」黄金時代回顧録 | FRIDAYデジタル

宮﨑あおいが“地下鉄の女神”に!「メトロガール」黄金時代回顧録

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紅茶飲料のイベントに出席した宮﨑あおい(2017年10月)
紅茶飲料のイベントに出席した宮﨑あおい(2017年10月)

2004年「営団地下鉄」民営化で「メトロガール」開始! 井川遥、山田優、宮﨑あおい、新垣結衣、杏、武井咲、堀北真希、石原さとみ その系譜を辿る

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために続く自粛。JR各社や大手私鉄など公共交通機関も、軒並み利用者を激減させている。

本企画は、1日平均の利用者758万人(2018年)、首都東京の大動脈「東京メトロ」を彩ってきたイメージキャラクター、名付けて「メトロガール」たちに焦点をあて、あの賑わいの少しでも早い復活を念じつつ、時代を振り返ろうと思う。

メトロガール。2004年の井川遥に始まって、山田優宮﨑あおい新垣結衣武井咲堀北真希、そして石原さとみという様々な女優・モデルたちが担ってきた。鉄道会社各社が有名女優を起用したCMを数多く打つようになっているが、東京メトロが2004年の民営化以降に展開してきたCMシリーズはこの先駆けとなるものであった。

本企画では、これを「5つの時代」に分けて振り返っている。第2期は2007年~2009年。登場するのは宮﨑あおいである。

最旬の女優・宮﨑あおいが演じた「地下鉄の女神」

2007年からは、いよいよ宮﨑あおいが登場する。いわば「第一期黄金時代」ともいえるのがこの2007年から2009年の「TOKYO HEART」シリーズだ。未だに宮﨑あおい時代のCMが一番好きだった、という人も多い。

前任のイメージキャラクターである山田優も当時、テレビドラマやバラエティー番組などで活躍する一線級のモデル・タレント・女優だったが、宮﨑あおいはまさに旬の女優であった。

宮﨑あおいは当時21歳。2005年には中島美香とダブル主演を務めた映画『NANA』が興行収入40億円突破の大ヒット。2006年にはNHKの連続テレビ小説『純情きらり』でヒロインを演じたばかり。東京メトロのイメージキャラクターを務めていた2008年にはNHK大河ドラマ『篤姫』の主役も演じ、全50話の平均視聴率は24.5%という大車輪の活躍であった。

東京メトロとしても、2008年の副都心線開業に向けて盛り上げを図っていた時期だけに、思い切った起用をしたということだろう。

演出面では、元気の良さを前面に出していた山田優とは異なり、宮﨑あおいの透明感と存在感を活かした作りが際立つ。

演出は数多くのMVを手掛ける「風とロック」の箭内道彦氏。当時、箭内氏はメディアの取材に対し、宮﨑あおいの役柄を「東京に暮らす人々を見守り、応援する存在」と語っている。これは言葉では伝えづらいところだが、映像を見ると、まさにそうとしか言いようのない存在を演じ切っている。

第一作では、ビルの屋上に立つ宮﨑あおいのカットから始まり、夕焼けの東京、ベテラン車掌が乗務する銀座線、そして地下鉄と人々の様々なシーンが映し出される。

彼女はこうした日常を見守るように、手を望遠鏡のようにしながら微笑んでいる。もし、“地下鉄の女神”がいるとしたら、きっとこんな感じではないだろうか。

今作からは楽曲にもこだわっており、「RIPSLYME」が、このCMのために書き下ろした「Tales」が使われている。この曲は箭内氏の「大都会東京における、様々な人間模様や人のつながりをテーマに名曲を作って欲しい」というオーダーから生まれたという。ここからも、CMで描きたかった世界観が垣間見える。

副都心線開業と連動し「取り組み」を通年紹介 楽曲も充実  

企業イメージCMの要素が強かった2007年に対し、副都心線の開業イヤーとなった2008年は、「DO! TOKYO HEART」をテーマに、メトロの取り組みを紹介するCMとなった。

第1弾は「DO!サービスマネージャー」編、第2弾は同年6月14日に開業した「DO!副都心線」編、第3弾はホームドアの設置をはじめとする「DO! ホームドア」編、第4弾はエキチカ施設「Echika池袋」と商業ビル「Esola池袋」を紹介する「DO! 池袋」編だ。

これまで天上から見届けていた宮﨑あおいが、地上に降りてきて、地下鉄の現場を見て回るような印象を受ける。

駅における案内専門の係員であるサービスマネージャーを紹介するCMは2004年の井川遥・山田孝之のシリーズでも存在したが、1年間かけて取り組みを紹介したのは16年間通じてこのシリーズだけである。

民営化から3年が経過して東京メトロの認知度が上がり、当初の役目を果たした後のCMの在り方を模索しているようにも見える。楽曲は「銀杏BOYZ」だ。

そして宮﨑あおいの最終年となった2009年は、テーマを「TOKYO HEART」に原点回帰し、ストーリー仕立ても2007年に近くなった。

2007年が夕焼けだったのに対し、今度は快晴の青空。またもビルの屋上から街を見下ろす宮﨑あおいの優しい微笑みが印象的だ。楽曲は「ユニコーン」が提供している。

ただ2009年のシリーズが、2008年の試行錯誤を経て2007年のテイストに戻ったということは、東京メトロの迷いを感じる。人気の高かった宮﨑あおいを3年目で終了させ、その次の展開を模索してゆく。

「メトロガール」の歴史を辿る本稿。「次の停車駅」は2010年。新垣結衣から始まり、杏、武井咲へと続く、あの頃である……。

〔第1回〕井川遥+山田孝之、山田優編(2004年〜2006年) を読む

〔第2回〕宮﨑あおい編(2007年〜2009年) を読む

〔第3回〕新垣結衣、杏、武井咲編(2010年〜2012年) を読む

〔第4回〕堀北真希(2013年〜2015年) を読む

〔第5回〕石原さとみ(2016年〜2020年) を読む

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  • 枝久保達也

    (鉄道ジャーナリスト)埼玉県出身。1982年生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)に11年勤務した後、2017年に独立。東京圏の都市交通を中心に各種媒体で執筆をしている。

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