井川遥、山田優…時代を彩った「メトロガール」を覚えていますか

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井川遥。ウイスキーのイベントに出演(2017年8月)

2004年「営団地下鉄」民営化で「メトロガール」開始! 井川遥、山田優、宮﨑あおい、新垣結衣、杏、武井咲、堀北真希、石原さとみ その系譜を辿る

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために続く自粛。JR各社や大手私鉄など公共交通機関も、軒並み利用者を激減させている。

今はガマンの時だ。そこで本企画は、1日平均の利用者758万人(2018年)、首都東京の大動脈「東京メトロ」を彩ってきたイメージキャラクター、名付けて「メトロガール」たちに焦点をあて、あの賑わいの少しでも早い復活を念じつつ、時代を振り返ろうと思う。

今やすっかり「石原さとみ」で定着しているメトロガール。だが、2004年の井川遥に始まって、それ以降、山田優宮﨑あおい新垣結衣武井咲堀北真希、そして石原さとみという、様々な女優・モデルたちが担ってきた。

近年は西武鉄道が吉高由里子や土屋太鳳、大阪メトロが本田翼をイメージキャラクターに起用するなど、鉄道会社も有名女優を起用したCMを数多く打つようになっているが、東京メトロが2004年の民営化以降に展開してきたCMシリーズはこの先駆けとなるものであった。

本企画では、これを「5つの時代」に分けて振り返る。第1期は2004年~2006年。登場するのは井川遥、なんと山田孝之! そして山田優である。


キャッチコピーは「ココロも動かす地下鉄へ」 井川遥と山田孝之がW主演

あなたは「営団地下鉄」を覚えているだろうか。いや、知っているだろうかと聞いた方がいいのかもしれない。正式名称を「帝都高速度交通営団」という古風な名前のこの組織は、太平洋戦争が始まる直前、1941年7月に設立された特殊法人だった。

現在の「東京メトロ」は、2004年に営団地下鉄が民営化して誕生した組織である。それをPRするためにつくられたのが、東京メトロの最初のCMであった。

イメージキャラクターは井川遥と山田孝之が姉弟という設定でダブル主演。ちなみに東京メトロのイメージキャラクターの中で、ダブル主演なのも、男性が起用されたのも、このCMだけだ。

今ではありとあらゆる役柄をこなす山田孝之だが、当時まだ20歳。2003年に初主演したドラマ『WATER BOYS』でブレイク。2004年2月には上戸彩や中村獅童らとともに「エランドール賞」新人賞を獲得したばかりの若手有望株であった。

一方の井川遥は当時27歳。1999年に東洋紡水着サマーキャンペーンガールに選出され芸能界デビュー。グラビアアイドルとしては遅咲きの23歳のデビューながら、「癒し系アイドル」として人気を博し、2002年頃から女優としての活動を開始している。

東京メトロに聞いたところ、当時どのような狙いで2人を起用したのかを示す資料は残っていないとのことだったが、フレッシュなイメージにあやかりたいという思いだったのではないか。

ストーリーはシュールの一言だ。

最初のシリーズでは街を歩いていた山田孝之が突然、地下鉄出入口の看板に話しかけられる。「私、変わろうと思うんです」。そして看板が営団地下鉄から東京メトロに変わる。

白熊(?)の被り物をした人がジャグリングをしていたり、井川遥に同行していたりと、ちょっと奇妙な世界観が特徴だ。お堅いイメージだった「営団」からの変化を示したかったのだろうか。それ以降のCMシリーズとは全く違うテイストだけに、記憶に残っているという人と、記憶に残っていないという人に分かれるかもしれない。

2005年「東京スピード」 山田優を起用し若手女優路線が本格化

翌2005年からはテイストをガラリと変え、モデルで女優の山田優を起用した新シリーズがスタートする。

コンセプトは「東京スピード」

CM発表会の説明によると「スローライフもいいけれど、ファッションも食事もエンタテインメントも、様々な魅力が一杯につまった街、東京だから出来るスピードライフを楽しもう」という狙い。

山田優。海外女性ファッション誌のイベントに参加(2018年10月)

東京メトロ発足1周年を迎え、営団地下鉄が東京メトロに変わったことを告知する段階から、東京メトロのイメージそのものを訴求する段階へと、一歩踏み出した作品だった。

ところが、CMが始まった直後の2005年4月25日、JR福知山線列車脱線事故が発生。「スピード」はイメージが悪いということで、急遽「東京ポジティブ」に改題して展開し直すという不運に見舞われた。

前作とは打って変わって、東京の夜景に浮かぶリングの中を電車が駆け抜ける、ちょっとバブリーな演出が印象深い一作。仕事終わり、地下鉄に乗って東京の楽しいものを次々に探しに行く若い女性を山田優が演じている。東京メトロとしては、山田優を起用することで、若い女性からの認知度を上げたいという狙いがあったようだ。

地下鉄のCMではあるが、鉄道の描写は空を走るCGの電車のみで、かろうじて駅の出入口が映るだけ。銀座で男性にフラれた後に浅草であんみつを食べて立ち直ったり、日比谷で見た映画に影響されて、渋谷のボクシングジムに入門したりと、何事も明るく楽しむ、山田優の元気でコミカルな演技が楽しめる。まさに東京ポジティブ。

山田優は翌2006年も引き続きイメージキャラクターを務めた。鉄道会社のCMといえば高齢者向けや男性向けが多かった中で、若い女性にターゲットを絞ったCMを展開したのはインパクトがあったのではないか。

ここから、東京メトロの若手女優路線が本格化していくのである。その起点が、井川遥であり山田優であったことを、ここに改めて記しておきたい。

「メトロガール」の歴史を辿る本稿。「次の停車駅」は2007年〜2009年の「宮崎あおい」。第1期黄金時代ともいえる、あの頃である……。

▼「メトロガール」ヒストリーを読む▼

〔第1回〕井川遥+山田孝之、山田優編(2004年〜2006年) を読む

〔第2回〕宮﨑あおい編(2007年〜2009年) を読む

〔第3回〕新垣結衣、杏、武井咲編(2010年〜2012年) を読む

〔第4回〕堀北真希(2013年〜2015年) を読む

〔第5回〕石原さとみ(2016年〜2020年) を読む

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  • 枝久保達也

    (鉄道ジャーナリスト)埼玉県出身。1982年生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)に11年勤務した後、2017年に独立。東京圏の都市交通を中心に各種媒体で執筆をしている。

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