メトロガール「最大の謎」新垣結衣、杏、武井咲の不思議な1年交代

  • Facebook シェアボタン
  • Twitter シェアボタン
  • LINE シェアボタン
  • はてなブックマーク シェアボタン
新垣結衣 健康茶のイベントに参加(2018年5月)

2004年「営団地下鉄」民営化で「メトロガール」開始! 井川遥、山田優、宮﨑あおい、新垣結衣、杏、武井咲、堀北真希、石原さとみ その系譜を辿る

新型コロナウイルスの感染拡大防止のために続く自粛。JR各社や大手私鉄など公共交通機関も、軒並み利用者を激減させている。

本企画は、1日平均の利用者758万人(2018年)、首都東京の大動脈「東京メトロ」を彩ってきたイメージキャラクター、名付けて「メトロガール」たちに焦点をあて、あの賑わいの少しでも早い復活を念じつつ、時代を振り返ろうと思う。

メトロガール。2004年の井川遥に始まって、山田優宮﨑あおい新垣結衣武井咲堀北真希、そして石原さとみという様々な女優・モデルたちが担ってきた。鉄道会社各社が有名女優を起用したCMを数多く打つようになっているが、東京メトロが2004年の民営化以降に展開してきたCMシリーズはこの先駆けとなるものであった。

本企画では、これを「5つの時代」に分けて振り返る。第3期は2010年~2012年。登場するのは新垣結衣、杏、武井咲である。


21歳! 新垣結衣登場 等身大のヒロインをナチュラルに演じる

宮﨑あおい時代に引続き「TOKYO HEART」をテーマにしたシリーズ。

3年間イメージキャラクターを務めた宮﨑あおいに代わり、新たに起用されたのは新垣結衣だ。つい最近のCMに感じるが、もう10年前の作品になる。

今では大人の女性としての魅力にあふれた新垣結衣だが、この時まだ21歳。2006年に出演したポッキーのCMでブレイク。2008年の東京ガールズコレクションで「BEST GIRL OF 2007」に選出されるなど、一躍注目を浴びることになる。

当時の報道発表によると、東京メトロが起用した理由は「新垣さんの幅広い年齢層からの高い認知度と人気度に加え、明るく、それでいて都会的で洗練されたイメージが東京メトロの目指すイメージと合致したこと」とのこと。「女優として、歌手として、さらなる成長が期待される新垣さんと同様に、東京メトロも、今後より一層の成長をしていきたい」との思いが込められていた。

ケータイ小説(懐かしい)を映画化した『恋空』(2007年)のヒロインや、劇場版(2018年)が大ヒットすることになるドラマ『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』の第1シーズン(2008年)など、女優としての活躍が始まっていた。

その後、ドラマや映画で主役やヒロインを務めるようになり、さらに認知度を高めていくが、「メトロガール」起用当時はちょうどスターになっていく過程だった。

ストーリーは、東京に暮らすひとりの女性としての新垣結衣が、メトロに乗って、東京の様々な人々や場所と出会い、心が動き、そして心がつながっていく様子を描くもの。

前作の宮﨑あおいが“地下鉄の女神”なら、今作の新垣結衣は等身大の利用者。

沿線の様々なスポットを訪れた先で出会う人々と触れ合う中で見せる、彼女のあどけない笑顔が人気を博した。特に「浴衣でメトロ」編の、浴衣を着た新垣結衣が根津、千駄木で見せる素顔のような表情がまぶしい。楽曲は「きっとこの世界の共通言語は 英語じゃなくて笑顔だと思う」というフレーズが印象的な、高橋優の「福笑い」。

杏 25歳、オトナの魅力 東京事変の楽曲に乗ってアクティブに

イメージキャラクターを変えて継続した「TOKYO HEART」が成功し、このテーマがメトロのCMのキャッチコピーとして定着したようにも思えたが、新垣結衣は1年で終了。2011年から始まったのが、女優でモデルのを迎えた「TOKYO WONDERGROUND」シリーズだ。

杏。食文化交流のイベントに参加。(2015年5月)

「WONDERGROUND」とは、「地下」を意味する「UNDERGROUND」と、「ワンダーランド」、「素晴らしさ」を意味する「WONDER」をかけた造語。楽曲は東京事変の「新しい文明開化」が使用された。

「TOKYO HEART」シリーズとは打って変わり、颯爽としたアクティブな女性を杏が演じる。

起用理由は「杏さんの持つ都会的なイメージや様々な分野に積極的に取り組む姿勢が、東京メトロのイメージや企業姿勢と重なる」というもの。2011年はちょうど歌手、女優、タレントへと活動の幅を広げようとしていた時期だった。

これまでの山田優、宮﨑あおい、新垣結衣は、いずれも初起用時21歳だったが、杏は大人びた25歳。CMのテイストも「かわいい」から「カッコいい」へのイメージチェンジをねらうのかと思いきや、杏も1年で終了してしまう。

歴代最年少19歳 武井咲登場

毎年イメージキャラクターを変更することになった「迷走」の第3期のトリを飾ったのは、東京メトロのCMでは最年少となる当時19歳の武井咲だ。

武井咲。ヒロインを務めた『るろうに剣心』完成披露イベントにて(2014年6月)

起用理由は「若年層からシニア層までの幅広い方々に支持を受けており、いま最も活躍している女優の一人である」武井咲の「様々な領域に積極的に取り組む姿勢が、東京メトロのイメージや新キャンペーンのコンセプトと重なる」ことが挙げられている。

しかし、これは2010年、2011年と大きく変わらず、まだ「迷い」が続いていることを感じさせた。

今シリーズは「We are the Tokyo Navigator」をテーマに、東京を案内し、東京の魅力を再発見してもらうというもの。キャッチコピーは「行ってみないと分からない。行ったつもりが一番もったいない」。楽曲は、斉藤和義がこのCMのために書き下ろした「メトロに乗って」が使われている。

第1作は銀座線の新型車両「1000系」を紹介しつつ、東京スカイツリーを訪れる。
第2作は浴衣で隅田川花火大会。
第3作では月島のもんじゃ焼きと門前仲町の深川めしを楽しむ。
そして第4作は副都心線と東急東横線の相互直通運転開始を知らせるといったストーリー。

これまでのシリーズの「良いところどり」を狙ったような内容だったが、武井咲もやはり1年で終了してしまった。3年で3人のイメージキャラクターを起用して第3期は終わりを迎えた。

今も活躍する3人、選球眼はまちがっていなかっただけに、少し惜しさを感じさせる結果となった。「3年連続1年交代」となったが、それぞれもっと掘り下げれば、新しい魅力を描けそうな、新垣結衣、杏、武井咲だった。

「メトロガール」の歴史を辿る本稿。次の「停車駅」は、2013年〜の堀北真希による長期シリーズだ。それは次に石原さとみへと繋がっていく。

▼「メトロガール」ヒストリーを読む▼

〔第1回〕井川遥+山田孝之、山田優編(2004年〜2006年) を読む

〔第2回〕宮﨑あおい編(2007年〜2009年) を読む

〔第3回〕新垣結衣、杏、武井咲編(2010年〜2012年) を読む

〔第4回〕堀北真希(2013年〜2015年) を読む

〔第5回〕石原さとみ(2016年〜2020年) を読む

▼枝久保達也の関連記事を読む▼

満員電車で「新型コロナ」感染は起きるのか?鉄道のプロが解説 を読む

「東京封鎖は現実的に不可能だ」交通問題のプロが解説 を読む

緊急事態下の鉄道「ヘタな対策」では感染リスクが上昇する可能性 を読む

 

  • 枝久保達也

    (鉄道ジャーナリスト)埼玉県出身。1982年生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)に11年勤務した後、2017年に独立。東京圏の都市交通を中心に各種媒体で執筆をしている。

Photo Gallary3

Photo Selection

あなたへのおすすめ記事を写真から

関連記事